「貼る」と「張る」。
この2つは、どちらも「はる」と読むことができる漢字です。
- ポスターを”はる”
- テープを紙に”はる”
- クモが巣を”はる”
などなど、日常生活の場面でもよく使われる漢字ですよね。
しかしこの2つは、どちらも同じ読み方です。
違いを知らないと、いざ漢字で書く時にどちらを使えばいいのか、迷ってしまいます。
また、使い分けを知らないと、どっちを使えばいいのか迷うこともあるでしょう。
でも、今更こんなことを他の人に聞くのも少し恥ずかしいですよね・・・
そんなあなたのために、今回は「貼る」と「張る」の違いと使い分けについて解説していきます!
ちなみに「貼る」「張る」と同様、同じ読み方で迷ってしまいやすい言葉をまとめた、こちらの記事も参考にどうぞ。
「貼る」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「貼る」は常用漢字ではないので、単体では辞書には載っていません。
同じような意味を持つ「張る」のなかで、
「この意味なら使えますよ」程度で補足的に書かれています。
そこに書かれている「貼る」の意味が、
- 糊などでくっつける
- 板などを平らに並べて打ち付ける
になります。
例えば、貼るの意味1「糊などでくっつける」で例文
「手帳に付箋を「はって」見やすくする」
という文章があるとします。
通常付箋には「糊や接着剤」がついているので、この場合の漢字は、
「手帳に付箋を「貼って」見やすくする」
となります。
また、
「部屋のクロスを「はりかえる」」
の場合も、クロスは壁に糊などで接着させるので、
「部屋のクロスを貼り替える」
となります。
次に、貼るの意味2「板などを平らに並べて打ち付ける」で例文
羽目を「はる」
という文章があるとします。
こちらの例文は、意味2の「板などを平らに並べて打ちつける」パターンになります。
普段はあまり使われない使い方ですが、この場合も漢字は、
羽目を貼る
が正解となります。
英訳する場合も「糊で貼る」という意味を持った
- 「paste」: to paste the wall with paper (壁に紙を貼る)
- 「stick」 : stik a stamp on a letter (手紙に切手を貼る)
などが使えます。
また「貼る」を別の言葉に言い換える場合は、
- 「くっつける」
- 「接着する」:物と物をすき間なくぴったりつける
といった言葉になります。
「張る」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「張る」には多くの意味があります。
一般的によく使われるものは、
- 広がりのびる
- 伸ばして広げる
- 一面に覆う
- いっぱいにする
といったものになり、使い方は
- 「木が根を張る」 → 広がりのびる
- 「テントを張る」 → 伸ばして広げる
- 「池に氷が張る」 → 一面に覆う
- 「浴槽に水を張る」 → いっぱいにする
のように使います。
「張」という字は
ピンと伸ばす、大きくする、広げる
といった意味を持つので、用例としては、「テントや糸など「張力」のかかるもの」に対して使われることが多くなります。
また、建築において
- 「タイルを張る」
- 「フローリングを張る」
のように、「床一面に敷き詰める」ようなときにも「張る」が使われます。
このとき、英訳も
- 広げて伸ばすという意味の 「spread」 spread its roots(根を張る)
- 広げて張るという意味の 「put up」 put up a tent(テントを張る)
- 一面に覆う、満たすという意味の 「fill」 fill a bath with water(風呂に水を張る)
といったものになります。
「張る」を別の言葉に言い換える場合も
- 「根を張る」 → 「根を伸ばす」
- 「テントを張る」 → 「テントを建てる」
- 「池に氷が張る」 → 「池が氷で覆われる」
- 「浴槽に水を張る」 → 「浴槽を水で満たす」
などのように、「張る」の意味によって表現が変わります。
「貼る」と「張る」の違いと使い分け方は?
「貼る」と「張る」の意味から考えると、
- 「貼る」=糊などを付けて平らな面にくっつける(接着させる)こと
- 「張る」=引っ張ったり広げたりすること
という違いになります。
簡単な使い分け方は
「貼る」「張る」の使い分け
- 糊などを使って密着させる場合は「貼る」
- それ以外の場合は 「張る」
になります。
注意しなければいけないのが、「貼る」は常用漢字ではないので、テレビやメディア業界では使われず、
「張る」又は「はる」
で統一されています。
読み書きの世界では、基本的に「貼る」は使われていません。
ただし、建築業界では慣習的に「貼る」も「張る」も使われています。
ここでも基本的な使い方は
- 接着剤ですき間なくつけるもの(壁紙、クロスなど)は「貼る」
- 釘やビス、モルタルなどでつけるもの(タイル、フローリング、シートなど)は「張る」
になります。
ボード、障子、壁紙、シール、ポスターは「貼る」「張る」どっち?
貼るのか、張るのか、ちょっと迷ってしまいやすい言葉を集めてみました。
あなたは正しく答えられますか?
ボード → 基本的にビスなどで固定されるので「張る」
障子 → 糊を使いますが、単純に接着させるだけでなく、霧を吹いて乾かし、紙をぴんと張った状態に仕上げることから「張る」
(ただし、障子紙を障子に張るのではなく、別のものに接着する場合は、「貼る」を使う場合もあります)
壁紙 → 接着剤ですき間なくつけるので「貼る」
シール → 表面に絵や文字を印刷した糊付きの紙なので「貼る」
ポスター → 糊などを使って貼り付ける場合は「貼る」
ポスター → 鋲などでとめて掲示するような場合は、「張る」
となります。
「「貼る」と「張る」の違いについて」のさいごに
「貼る」「張る」の違いを解説してきました。
「張る」には多くの意味があり、使われ方も多岐に及びます。
逆に、「貼る」は比較的限定的な使われ方をしていますので、
「貼る」とは違うと思ったら「張る」
と覚えておけば分かりやすいかもしれません。