あなたの周りには、何でも反対する・絶対に意見を変えない、といったような人はいませんか。
その人は「強情」ですか、「頑固」ですか、「偏屈」ですか、「意固地」ですか。
どれも、自分の考えを頑なに改めようとしないというニュアンスで、混同して使われることが多いですね。
でも、本来は「強情」「頑固」「偏屈」「意固地」には明確な違いがあります。
今回は、それぞれの意味や使い方を、例文を交えてわかりやすく解説していきます。
見分け方ポイント、使い分けのコツは、
- 「認めない」
- 「変えない」
- 「素直でない」
- 「つまらない」
になります。
「強情」の意味と使い方の例
「強情」には、意地を張って、なかなか自分の考えを変えないこと。また、そのさま。という意味があります。
「剛情」と表記される場合もありますが、読み方も意味も同じになります。
もともとは「強盛」と書かれていて、字の通り、強くて盛んな事を意味する漢語です。
本来は人の心の状態について使われていましたが、次第に今のような意味に変わっていきました。
「強情」の使い方を例文で見ていきましょう。
「強情」の例文
- 父はとても強情で、道を間違えたことを認めようとしない。
- 写真に撮られているのに、それでも知らないと強情を張っている。
- 彼は強情な人だから、すいませんとは一言も言いませんでしたが、お互いしっかりやろうと言っていました。
このように、人の話や考えを受け入れなかったり、自分の非を認めない事を表現する際に用いられます。
「頑固」の意味と使い方の例
「頑固」には
- かたくなで、なかなか自分の態度や考えを改めようとしないこと。また、そのさま。
- とりついて容易に離れようとしないこと。また、そのさま。
という意味があります。
- 「頑」は「かたくな」とも読み、「融通が利かない」「強い」「丈夫な」などの意味を持ちます。
- 「固」は「かたまる・かたい」とも読み、「かたまる」「かたくな」などの意味を持ちます。
ですので、二つの漢字を合わせた「頑固」は、「かたくなで融通が利かない」という意味になります。
「頑固」の使い方を例文で見ていきましょう。
「頑固」の例文
- 父は頑固な性格で、絶対に自分の意見を曲げようとしない。
- 頑固おやじがやっているラーメン店はいつも行列ができている。
- 彼は頑固者だが、その芯の強さは周りから一目置かれている。
- 頑固な汚れを落とすのは苦労する。
このように、自分の考えや態度を押し通したり、人に対してだけでなく、なかなか除去できないものに対して用いられたりします。
また、ネガティブな表現だけでなく、昔からのこだわりを貫き通す、職人気質を表す時にも用いたりします。
「偏屈」の意味と使い方の例
「偏屈」には、
- 性質がかたくなで、素直でないこと。
- ひねくれていること。また、そのさま。
という意味があります。
- 「偏」は「かたよる」とも読み、「かたよっている」「公正でない」などの意味を持ちます。
- 「屈」は「かがむ」とも読み、「おれまがる」「ちぢむ」などの意味を持ちます。
ですので、二つの漢字を合わせた「偏屈」は、「偏っていて折れ曲がっている」=「かたくなでひねくれている」という意味になります。
「偏屈」の使い方を例文で見ていきましょう。
「偏屈」の例文
- 皆が美味しいという料理を、偏屈な父は最後まで美味しいとは言わなかった。
- 隣の住人は偏屈なところがあるので、あまり付き合いやすいタイプではない。
- 彼は偏屈な性格で、いつも素直に人の言うことが聞けない。
このように、
- 言葉を素直に受け入れない
- 知ったかぶりをする
- ひねくれた回答をする
などの、人の性格を表す際に用いたりします。
「意固地」の意味と使い方の例
「意固地」には
- つまらないことに意地を張り通すこと。
- かたくなに意地を張ること。
という意味があります。
つまり、
- どうしようもないことを頑なに成し遂げようとする
- 間違っているとわかりながら自分の意思を通そうとする
ようなことを言います。
「依怙地」と表記することもありますが、どちらも「いこじ」と読み意味は同じになります。
他人と張り合っても、自分の思うことをやり遂げようという気構えを意味する「意気地」が転じたと言われていますが、ハッキリしたことは分かりません。
「意固地」の使い方を例文で見ていきましょう。
「意固地」の例文
- プライドが高い人は意固地な人が多い。
- 子どもが意固地になってしまい、とても困っている
- 意固地にならず先に謝ってしまえばいいのに。
- 父は変なところに意固地で、家族と一緒に歩こうとしません。
このように、つまらないことでも本人がどうしても譲らない事を示すようなときに用いられます。
「強情」「頑固」「偏屈」「意固地」の違いは?使い分けと簡単な覚え方は?
「強情」「頑固」「偏屈」「意固地」は、それぞれ以下のような違いがあります。
「強情」「頑固」「偏屈」「意固地」の違い
- 「強情」 :人の意見も聞かず、自分の非を認めない事を表現する。
- 「頑固」 :人の意見を聞いても、考えや態度を変えない事を表現する。
- 「偏屈」 :人の意見を聞いても同調せず、素直ではない事を表現する。
- 「意固地」 :人の意見を聞いても、つまらない事で意見を譲らないことを表現する。
「強情」「頑固」「意固地」はどれも、意見を変えない事を表すときに使用します。
「強情」は、自分の非を認めない場合に使うのに対し、「頑固」は意見は変えないが、非を認めないという意味はありません。
また「意固地」は、自分に非があっても認めない所は「強情」と同じですが、その理由が、プライドや他の人と違ってみられたい、といったつまらない事の時に使用します。
一方「偏屈」は、同調できないほど素直ではなく、考え方に隔たりがあるときに使用します。
使い分けの覚え方としては、
- 強情→「認めない」
- 頑固→「変えない」
- 偏屈→「素直でない」
- 意固地→「つまらない」
の4つの「ない」として、言い換えて覚えると分かりやすいですよ。
さいごに
以上、「強情」「頑固」「偏屈」「意固地」の違いや使い方を解説してきました。
基本的に、どれも意見を変えないような人を表す表現として使われますが、
- 「強情」「偏屈」はどちらかというと、悪いイメージを持ちやすい表現になります。
- 「頑固」には「頑固職人」など、「こだわりがある」といったように、プラスのイメージを持つ表現になります。
本来の意味をよく理解し、正しく活用できるようにしてくださいね。