- 「寒いから一枚羽織っていきなさい」
- 「現場では作業着を着ます」
- 「新婦はベールを纏って入場しました」
それぞれ
衣類を身に付けている
という事は分かりますが、実際はどの様に身に付けるのが正しいのでしょうか?
今回は、「羽織る」「纏う」「着る」の違いについて解説していきますので、これらの言葉を使い分ける参考にしてください。
ちなみに今回の「羽織る」「纏う」「着る」のように、使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「羽織る」の意味は?英語では何ていう?言い換えや対義語は?使い方を例文で解説
「羽織る」とは元々「羽織を身に付ける」という意味でした。
「羽織」とは和装で、着物の上に重ねて身に付ける丈の短い着物のことを言います。
正装の一つで、防寒・塵除け、おしゃれ着としてなど、様々な目的に応じて着用します。
そこから転じて、現在では
- 防寒用として薄手の洋服を一枚重ねて着ること
- 「寒いのでカーディガンを羽織っていきなさい」
- 衣服を体の上に軽くかけて身に付けること
- 「風呂上がりにガウンを羽織る」
のように使われます。
服の袖に腕を通すなど、きちんと身に付けるというよりも
- 薄手の服を肩から掛けるように身に付ける
- ボタンをはめない
などのように、簡単に脱げる状態を指すという特徴があります。
そのため、言い換える場合も
- 身に付ける
- 引っかける
のようになります。
また、英語で表現する場合も、「wear」よりも、「載せる」や「置く」といったニュアンスの
「put on」
がふさわしいですね。
適当な対義語はありませんが、挙げるとすれば「脱ぐ」ではないでしょうか。
「纏う」の意味は?英語では何ていう?言い換えや対義語は?使い方を例文で解説
「纏う(まとう)」には
- 身に付ける
- からまる、巻きつく
という意味があります。
- 「彼女は立派なドレスを纏って入場した」
- (しっかり袖を通して着る)
- 「その人は怪しいマントを身に纏っていました」
- (体の一部に絡ませている)
などのように、主に、衣服を身に付ける状況で使用されますが、
- 「彼女は母親に似た雰囲気を纏っていた」
- 「昨日はお気に入りの香水を纏って出かけました」
- 「最近誰かに付き纏われている感じがする」
などのように、衣服以外のものの場合でも使われます。
分かりやすく言うと、対象の表面を覆うという意味で使われます。
そのため、言い換える場合も
- 覆われる
- 包まれる
- 装う
のようになります。
また、英語で表現する場合も「おおう」「包む」といった意味の「clothe」を使った
「Be clad in」
がふさわしいですね。
対義語はやはり「脱ぐ」が一番当てはまるのではないでしょうか。
「纏う」の漢字の読み方と書き方!【拡大】音読みもわかりやすく解説
「纏う」は「まと(う)」と読みます。
ごちゃごちゃしていて、書きにくいですよね。
文字を拡大してみると、このようになっています。
拡大しても難しいと感じるのは、私だけでしょうか?
「纏」という漢字は他にも
- 「まつ(る)」
- 「まつ(わる)」
- 「まとい」
- 「まと(める)」
という読み方があり、いずれも「訓読み」になります。
意味も、
- まとう
- まつわる
- めぐらす
- からまる
- たばねる
といったものや、日本固有の物として
- まとめる
- まとい(竿の先に飾り付けたもの。火消しの印)
といったものがあります。
「音読み」では「テン」と読み、仏教用語で、煩悩のこと、まつわりつくものという意味があります。
「羽織る」「纏う」「着る」の違いと使い分けは?
「羽織る」「纏う」「着る」は、どれも、物を身に付けるという意味で共通しています。
しかし、それぞれ身に付け方に違いがあります。
「羽織る」「纏う」「着る」の違いまとめ
- 「羽織る」
衣服を軽く掛けるように身に付ける
というニュアンスで使われます。
つまり、
袖を通さない、ボタンをはめない
といったように、簡単に脱げるような状態を表します。
- 「纏う」
絡みつくように表面を覆う、身に付ける
というニュアンスで使われます。
また、「纏う」の場合、衣服だけでなく、香りや、その人が持つ雰囲気、空気感などと言ったものに対しても使われます。
- 「着る」
服をしっかり身に付ける
というニュアンスで使われます。
つまり、「着る」の場合は、きちんと腕を袖に通す、ボタンをはめる
といったように、簡単に脱げないようにしてある状態を表します。
さいごに
以上、「羽織る」「纏う」「着る」の違いについて解説してきました。
どれも「身に付ける」という場合に使うので、あなたも混同して使用しているかもしれませんね。
日常的にもよく使う言葉なので、意味をよく理解して上手に使い分けて下さい。