出産の時には産婦人科にお世話になりますよね。
産婦人科の看板を見て、ふと思ったんです。
生まれると産まれるはどう違うのでしょうか?
どちらも小学校で習う漢字であり、お子さんに質問される可能性が高いです。
もしかすると、もうすでに聞かれて、あなたは困っているのでは。
最後まで読んでいただければ、わかりやすく教えてあげられるようになりますよ。
それではどうぞ。
生まれる(生む)の意味は?
元々は、うまれる(うむ)という大和言葉に、中国語の文字である漢字が当てられて、意味が分かれました。
結論から言うと、
生まれるは「卵や胎児を母体の外に出す。物・作品・記録など今まで存在しなかったものを作り出す」という意味です。
出産に限らず、非常に広いケースで使われるのが特徴です。
生という字の訓読みが「いきる、いかす、いける、うまれる、うむ、おう、はえる、はやす、き、なま」などのように、たくさんありますよね。
ですので、広い意味で使われるのは想像できるのではないでしょうか。
漢字としての熟語を見ても多彩です。
- いきるという意味の「生活」
- うむ・うまれるという意味の「生年月日」
- いのちの意味の「生命」
- うまれながらの意味の「生来」
- 未熟の意味で「生硬」
- まじりけのない意味で「生粋」(きっすい)
など色々ですね。
子どもを産むの意味でも使われます。
でもその場合、卵や子どもが母体から「出る」意味合いなんです。(「出す」ではない)
母親も母親以外も主語になり得ます。
そして出産した瞬間から何年たっても、うまれるは使うことが出来るのです。
- 「子を生む」
- 「生んだ子より抱いた子」
などと使うと同時に、
- 「新しい文学作品を生む」
- 「新記録を生む」
- 「新製品を生む」
- 「利子を生む」
- 「格差を生む」
- 「十九世紀が生んだ天才数学者」
などのようにも使います。
生むは出産の意味にも使い、その場合「出る」の意味合いが強く、出産以外でも色々な意味があることが分かります。
産まれる(産む)の意味は?
上記の生むに対して、「産む」は卵や胎児を母体の外へ「出す」意味合いが強く、ほぼ出産に限られた言葉です。
それは母親を主語とする場合が多いことにつながります。
産の訓読みは「うむ、うまれる、うぶ」に限られます。
また、漢字としての産の意味も「生む、生まれる、出身地、出産地」という意味に限られます。
熟語を見ても産地、国産、産業など、うむの意味とその周辺というという感じですね。
産むは出産に限られた言葉です。
主に母親を主語とし、母体から「出す」意味合いが強いことが分かります。
生まれると産まれるの違いと使い分けは?卵や人間はどっち?
生まれるは出産も含め、広く使われる万能選手でした。
産まれるは出産に特化したスペシャリストです。
生まれるは母体から「出る」ところに重点があり、産まれるは母体から「出す」ところに重点がありましたね。
生まれるは母親も母親以外も広く主語として迎え入れるのに対して、産まれるは母親を主語とする傾向が強い言葉です。
生まれるは出産からいくら時間がたっても使える言葉でしたが、産まれるは出産時に焦点を合わせる傾向が強い言葉でした。
卵や人間にどっちを使うかというと、どっちも使います。
ただ、
- 「卵を産んだ」
- 「子供を産んだ」
という表現は、出産に焦点を絞っているニュアンスだということです。
- 「卵を生んだ」
- 「子供を生んだ」
という表現も使いはしますが、スペシャリストに任せられるところはスペシャリストに任せた方が、よりハイセンスで教養があると思われるかもしれません。
まとめ
生まれると産まれるの違いを短く言うと、
- 生まれるは一般的
- 産まれるは出産に特化している
となるでしょう。
オールラウンドプレイヤーとスペシャリストの違いですね。
色々な辞書を引いてみると、両方の表記が出てきます。
あえて違いを強調して書くならば「産みの苦しみ」であり、「知恵を生む」であるわけです。
生まれると産まれるの違いが分かったら、今度は「生長」と「成長」の違いを調べてみると、言葉の奥行きが深まるかもしれませんね。