「しみる」という言葉には、
- 「染みる」
- 「沁みる」
- 「滲みる」
- 「凍みる」
など、多くの漢字があります。
どれも同じ読み方なので、使い分けが難しいですよね。
そこで今回は、「染みる」「沁みる」「滲みる」「凍みる」の違いについて、わかりやすく解説していきます。
どの言葉を使えばいいのか迷った場合は、参考にしてください。
ちなみに今回の「染みる」「沁みる」「滲みる」「凍みる」のように、同じ読み方で使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「染みる」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「染みる」は
- 深く浸透すること
- 色見のある物が付着する様子
を表す言葉になります。
染みるの例文
- 「はねた醤油が服に染み込んでしまった」
- 「長時間煮込んだので大根に味がよく染みている」
- 「彼は結婚してすっかり所帯染みてしまった」
- 「彼の話し方は年寄り染みている」
このように、
- 液体が他のものに付着して深く広がったり、色がつくこと(例文1,2)
- 影響を受け、その傾向を持つようになること(例文3,4)
という意味があります。
英語では、「しみわたる」「ひろがる」といったニュアンスの
- 「permeate」
「悪習などに染まる」といったニュアンスの
- 「be infected」
などで表現します。
ですので、言い換える場合は
染みるの言い換え
- 「醤油が服に広がってしまった」
- 「大根に味がよく染み渡っている」
- 「所帯にそまってしまった」
- 「年寄りっぽくそまってしまった」
のようになります。
「沁みる」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「沁みる」は、心身に刺激を受けることを表す言葉になります。
「沁みる」には
沁みるの例文
- 「消毒液が傷口に沁みて痛い」
- 「焚火の煙が目に沁みる」
- 「人の情けが身に沁みる」
このように、
- 液体や気体などの刺激を受けて痛みを感じる(例文1,2)
- 心にしみじみと感じる(例文3)
という意味があります。
英語では、「ひりひりする」といったニュアンスの
- 「burn」
「しみじみと感じる」といったニュアンスの
- 「feel keenly」
などで表現します。
言い換える場合は、
沁みるの言い換え
- 「傷口を刺激して痛い」
- 「煙が目を刺激する」
- 「人の情けをしみじみ感じる」
- 「寒さをしみじみ感じる」
と、このようになります。
「滲みる」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「滲みる」は「浸みる」の古い形で、液体が少しずつ広がることを表す言葉になります。
滲みるの例文
- 「紙にインクが滲みてしまった」
- 「地面から水が滲み出てきた」
このように、
- 液体や気体が他のものに付いて、じわじわ広がる(例文1)
- 液体がうっすらと出てくる(例文2)
という意味になります。
「滲」という字は、一般的には「にじむ」という読み方をします。
ですので、言い換える場合も
滲みるの言い換え
- 「インクがにじんでしまった」
- 「水がにじみ出てきた」
と、このようになります。
英語にする場合も、「広げる」といったニュアンスの
- 「spread」
や
「にじみ出る」といったニュアンスの
- 「ooze」
などで表現します。
「凍みる」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「凍」という字は
- こおる
- いてつく
- こごえる
という意味を持ちます。
そこから転じて、「凍みる」は
- 寒気が厳しくて、こおりつく
- 寒さが厳しくて、こおるように感じる
という意味になります。
ですので、
凍みるの例文
- 「冬の夜道は凍みる」
は、「冬の夜道は寒さや冷たさをひしひしと感じる」といったニュアンスになります。
言い換える場合も、
凍みるの言い換え
- 「冬の夜道はひえる」
- 「冬の夜道はいてつく」
と、このようになります。
英語にする場合も、「凍る」「とても寒い」といったニュアンスの
- 「freeze」
や、「凍らせる」といったニュアンスの
- 「congeal」
などで表現します。
「染みる」「沁みる」「滲みる」「凍みる」の違いと使い分け方は?
「染みる」「沁みる」「滲みる」「凍みる」の違いまとめ
- 「染みる」:液体によって色がつくこと、影響を受けること
- 「沁みる」:刺激を受けて痛みを感じること、心に感じ入ること
- 「滲みる」:液体がじわじわ広がること、しみでること
- 「凍みる」:こおるように感じること
といった意味の違いがあります。
使い分けのポイントは
「染みる」「沁みる」「滲みる」「凍みる」の使い分け
- 付いた液体の「色がついている」時は「染みる」
- 色がなく「浸透しているだけ」の時は「滲みる」
- しみるものが「人の体・心」が対象の場合は「沁みる」
- 「寒さや冷たさ」を感じる場合は「凍みる」
となります。
歯、身、心、目、目薬はどれも「心身に刺激を受けること」になるので
「沁みる」
を使います。
ex.
- 歯に沁みる
- 身に沁みる
- 心に沁みる
- 目に沁みる
- 目薬が沁みる
という、使い方ですね。
音楽の場合は、
- 「心」にしみる場合は 「沁みる」
ex.
- 音楽が心に沁みる
- 松尾芭蕉の俳句「閑さや岩にしみいる蝉の声」のようなニュアンスの場合は、「染みる」
ex.
- 音楽が染みる
を使います。
さいごに
以上、「染みる」「沁みる」「滲みる」「凍みる」の違いについて解説してきました。
それぞれ「しみる」物の対象によって、使い方が違ってきます。
ただし、「染みる」以外は「常用外漢字」になります。
公的な書類で使うときに迷った場合は、平仮名で表記する方がいいかもしれませんね。