3〜4月に旬を迎える食材の一つ、タケノコ。
スーパーに皮付きのタケノコが並び始めると、春の訪れを感じますよね。
そうでなくともタケノコご飯や筑前煮などの煮物料理、チンジャオロースなどの中華料理でもよく使われるため、季節を問わず馴染みのある食材だと思うかもしれませんね。
では、ここで問題です。
「タケノコ」は漢字で書くと「竹の子」や「筍」と表せますが、意味に違いはあるのでしょうか?
いざ言われてみると、普段から意識して使い分けることがあまりないように感じませんか?
今回はそんな漢字の意味も含めて、タケノコにまつわるお話をしていきます。
「竹の子」と「筍」の違いは?
ではまず、タケノコの漢字の意味についてご説明致します。
とはいえ、「竹の子」も「筍」も、竹の地下茎から出てくる若芽のことを指し、実は意味に違いはありません。
ただ、一般的には「竹の子」の表記だと、植物としてのタケノコを指し、「筍」だと食べ物・食材としてのタケノコを指す傾向にあります。
- (植物である)竹の子供と書くから「竹の子」=植物
- 旬(食べ頃の時期)の竹だから筍=食材
と考えると分かりやすいと思います。
食べることができる時期を「筍」、旬を過ぎて食べられなくなったがまだ若い竹を「竹の子」と指すこともあるようです。
「メンマ」とは?筍との違いは?
ラーメンなどによくトッピングとして乗せられている「メンマ」。
実は、あれも筍を加工した食品だということをご存知でしたか?
「メンマ」は中国や台湾が主な産地である竹の一種です。
- 麻竹(まちく)の若芽をアク抜き
- 乳酸発酵
- 日干し
- 一度水で戻す
- 茹でる
- 常温に戻るまで寝かせる
…という過程を繰り返して完成します。
日本でよく食用として見かける筍は孟宗竹(もうそうちく)という種類が一般的であり、芽を出してすぐのもの(食用部がまだ地中に埋まっている時期)が主に食材として流通しています。
それに対して、「メンマ」として使用される麻竹の筍は、1メートル程度まで成長した若芽が収穫されます。
原産地である中国や台湾で、日干し乾燥まで加工された後に日本国内へ運ばれ、食品工場などで味付けをされた上で、ようやく私たちにも馴染みのあるメンマが完成するのです。
余談ですが「メンマ」という名称は日本独自のもので、「(ラー)メン(の上に乗せる)麻(竹)」を省略して「メンマ」と名付けたのが由来だと言われています。
「破竹」とは?筍との違いは?
筍には上記の孟宗竹や麻竹の他に「はちく」という種類があります。
「破竹の勢い」などの慣用表現と同じように「破竹」と表記されることもありますが、正確には「淡竹」と書きます。
土の中から筍を掘り起こす孟宗竹と違い、地面から30センチ〜40センチほど出てきたものを収穫します。
孟宗竹の筍に比べるとえぐみが少なく、アク抜きのために茹でたりしなくても食べられるようですが、見かける頻度はかなり低いです。
ちなみに「破竹の勢い」という慣用表現は、竹の最初の一節を割る(破る)と残りの節も一気に割れていくことから、勢いが凄まじく止められそうにないことを指します。
「笹の子」とは?筍との違いは?
ここまでタケノコにまつわる様々なお話をしてきましたが、笹の子(ささのこ)と呼ばれる食材もあるのをご存知ですか?
孟宗竹の筍に比べると少々マイナーではありますが、ネマガリダケという種類の筍のことを「笹の子」と呼び、東北や北海道などの一部地域ではメジャーな山菜として食されています。
「なんで竹なのに笹の子?」と思われたでしょうか。
ネマガリダケは正確にはチシマザサ(千島笹)という名前ですが、根本が弓のように曲がっていること、そして竹と笹は同じイネ科の植物の仲間であることから「根曲竹」という別名が付きました。
こちらも孟宗竹の筍に比べると、全国的な流通はありません。
郷土料理を出すお店などで、もし見かけたら召し上がってみてはいかがでしょうか。
さいごに
「竹の子=植物、筍=食材」という漢字の表記による微妙な意味の違いから「メンマ」「破竹」「笹の子」と呼ばれる食材の話まで、簡単に解説をまとめてみました。
いかがでしたでしょうか。
貴方がタケノコについて新しい知識を何か一つでも得るお手伝いが出来ていたのなら幸いです。