「勧める」「薦める」「奨める」「進める」。
これらはどれも「すすめる」と、読むことができる漢字です。
- 美味しい料理を”すすめる”
- 友達に、自分の気に入った本を「すすめる」
ときに、「勧める」「薦める」どちらを使えばいいか迷ったことはありませんか。
他にも「すすめる」には「奨める」「進める」と言った漢字もあります。
これらは、どれも同じ読み方な上に、似たような意味を持っているため、違いが分からない!と思うかもしれません。
いざ漢字で書くとなると、違いを知ってなければ、使い分けが難しいですよね。
もし間違った使い方をしてしまうと、恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません!
そこで今回は、「勧める」「薦める」「奨める」「進める」の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます!
正しく使い分けることで文章の意図がより伝わりやすくなるので、よく理解して上手く使えるようにしてください。
ポイントは、それぞれの漢字を使った
「熟語」をイメージすること
になります。
ちなみに今回の「薦める」「勧める」のように、同じ読み方で使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「勧める」の意味や使い方を例文で解説!英語では何ていう?言い換えはできる?
「勧める」には
- 人がそのことを行うように誘いかける
- 物を供して、飲食または使用してもらおうとする
- 積極的に実行するようにたすけ励ます
という意味があります。
一つ目の意味の場合は、
- 「怪我をしているので病院に行くことを勧めた」
- 「私たちのサークルへ入ることを勧めます」
などのように、
相手に何かを行って欲しいと誘う
ときに使います。
二つ目の意味の場合は
- 「酒を勧められたが、車で来ていたので断った」
- 「お客様に椅子を勧めた」
などのように、
物を提供し、食べたり使ったりしてもらいたい
ときに使います。
三つ目の意味の場合は
- 「老後に備えて貯蓄することを勧めます」
- 「健康のために定期的な検診を勧められた」
などのように、
良いこととして相手に何かを行うよう強く励ます
ときに使います。
一見、「勧める」の意味も、「薦める」と一緒のような感じがしますね。
しかし、「勧める」の違うところは「勧誘する」という意味があることです。
これは「薦める」には無い意味なんです。
そのため「勧める」には、「何かをするようにはたらきかけること」という意味があるのです!
言い換える場合は、「誘う」をつかって
- 「私たちのサークルへ入るよう誘った」
- 「酒に誘われに誘われたが、車で来ていたので断った」
のようになります。
英語にする場合、一般的には「推薦する」といった意味の
- 「recommend」
でもいいですが、もう少し強い「忠告する」「知らせる」といった意味の
- 「advise」
- 「advise someone to go to a hospital(病院に行くことを勧める)」
- 「I adviseyou to stop smoking(禁煙を勧めます)」
の方がニュアンス的に伝わりやすいかもしれません。
「薦める」の意味や使い方を例文で解説!英語では何ていう?言い換えはできる?
「薦める」には
- ある人や物をほめて、採用するように説く
という意味があります。
- 「次の会長にふさわしい人としてAさんを薦めました」
- 「どの参考書が良いか聞かれたので、B社のものを薦めました」
- 「以前食べた美味しい料理を薦めました。」
- 「友達を生徒会に薦めました。」
などのように用い、
良いと思った物事を紹介し採用してもらいたい
といったニュアンスになります。
このように、他の人に何かをおススメする時は「薦める」を使うようにしましょう!
言い換える場合は「推薦する」
- 「次の会長にふさわしい人としてAさんを推薦した」
や、「提案する」
- 「どの参考書が良いか聞かれたので、B社のものを提案した」
のようになります。
英語の場合も「推薦する」といった意味の
- 「recommend」
- 「recommend to the chairman(会長に推薦する)」
提案するといった意味の
- 「propose」
- 「Propose a new project(新しいプロジェクトを提案する)」
となります。
「奨める」の意味や使い方を例文で解説!英語では何ていう?言い換えはできる?
「奨める」の意味は「勧める」と同じです。
主に
- 「病院の先生に早寝早起きを奨められた」
のように
人を指導する立場や地位のある人が、相手にそれを行うように促し励ますとき
に使われます。
ただし、「奨める」は常用外漢字になり、公用文などでは使用できないので、一般的に使うことはあまりありません。
「進める」の意味や使い方を例文で解説!英語では何ていう?言い換えはできる?
「進める」には
- 前へ行かせる、前方へ移動させる (歩みを進める)
- 物事を進行させる (工事を進める)
- 物事の内容や程度を更に高める、進歩させる (合理化を進める)
- 地位やポジションをあげる、高める (階級を一段階進める)
- 刺激して盛んにする、促す (食が進む)
という意味があります。
英語では
- 「move forward」
- 「The car is moving forward(車が前に進む)」
- 「proceed」
- 「Proceed with the project(企画を進める)」
- 「advance」
- 「He advanced to the position of manager(彼の地位が支配人に進んだ)」
のようになります。
言い換える場合は
- 「車が前に移動する」
- 「企画を進行する」
- 「支配人に昇進した」
となります。
「勧める」「薦める」「奨める」「進める」の違いと漢字の使い分け方は?
「勧める」「薦める」「奨める」「進める」の違いまとめ
- 「勧める」→
- 物事を行うよう誘い促す
- 「薦める」→
- 物事を採用してもらうように紹介する、褒める
- 「奨める」→
- 指導する立場の人が、それを行うよう励まし促す
- 「進める」→
- 前方へ移動させる、進行する
このようになります。
それぞれ
- 「勧誘」
- 「推薦」
- 「奨励」
- 「前進」
と熟語に置き換えると、使い分けがわかりやすくなります。
なお、「勧める」と「奨める」は、同じ意味やニュアンスとして理解してもかまいません。
ですが「奨める」は常用外漢字になるので、一般的には「勧める」を使用します。
店、料理、飲食物、病院(検査、診察、手術)はどの「すすめる」を使う?
店、料理、飲食物の場合
- 一緒に入ろう、食べようというニュアンスならば 「勧める」
- 例文「ぜひこのお店に入るよう勧めます」
- 入ったり食べたりするものを選んでもらいたい、というニュアンスならば 「薦める」
- 例文「どの店が良いか相談されたので、このお店を薦めました」
となります。
病院の検査、診察、手術の場合
- それを行うように促すニュアンスなら 「勧める」
- 例文「完治のためにも手術を勧めます」
- 続行するというニュアンスなら 「進める」
- 例文「問題なければ手術を進めます」
となります。
さいごに
以上、「勧める」「薦める」「奨める」「進める」の違いについて解説してきました。
「薦める」と「勧める」の違いは大きく分けると、「おススメするか、働きかけるように言うか」ということ。
- 良い物や人を紹介したい時には「薦める」
- 行動をうながす時には「勧める」
を使うようにすると覚えれば、使い分けが簡単ですね。
これで「薦める」と「勧める」の違いはバッチリですね!