「直す」と「治す」。
この2つの言葉は、どちらも「なおす」と読むことができる漢字です。
- 「機械を”なおす”」
- 「病気を”なおす”」
- 「性格を”なおす”」
など、「何かを修正、改善する時」に、この2つはよく使われますね。
しかしこの2つ、どちらも同じ読み方なので、いざ漢字で書こうとすると、違いが分からない!と思ったことはありませんか?
「直す」と「治す」のどちらも「小学校で違いを先生から教えて貰ったけど忘れたちゃった」かもしれませんね。
でも、今更こんなことを他人に聞くことなんて、恥ずかしくてできない!
そんなあなたのために、今回は「直す」と「治す」の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます!
使い分けのポイントは、
何をなおすのか?
を考えることです。
この機会に、それぞれの違いや使い方を理解してくださいね。
ちなみに今回の「直す」「治す」のように、同じ読み方で使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてください。
知識を深めよう!
「直す」「直る」の意味や使い方を例文で解説!英語では何ていう?言い換えはできる?
「直す」には
- 元の良好な状態に戻す (機嫌を直す)(故障した機械を直す)
- 良好な状態に改める (姿勢を直す) (誤記を直す)
- 別の状態に変える (単位をメートルに直す) (進路に合わせて向きを直す)
という意味があります。
つまり「直す」は、以下のようなシチュエーション、
- 「異常になったものを正常な状態に戻す」
- 「今の状態から改善する」
- 「特定の状態のものを、他の状態に変える」
場合に使われます。
また、使われる対象も多岐にわたります。
例えば、「機械」や「車」といった「物」だけでなく、
- 「言葉づかい」
- 「文章」
- 「発音」
- 「服装」
- 「姿勢」
- 「機嫌」
といったようなものにも、「直す」が使われます。
英語にする場合も使われる意味によって変わります。
例えば
「機械を直す」 → 「機械を修理する」
と言い換えられるので、「修理」という意味の「repair」を使って
「repairing the machine」
になります。
「姿勢を直す」 → 「姿勢を正す(改善する)」
と言い換えられるので、「改善」という意味の「improve」 を使って
「improve one`s attitude」
になります。
「単位をメートルに直す」 → 「単位をメートルに変える」
と言い換えられるので、「変える」という意味の「change」を使って
「change unit to metric system 」
になります。
ちなみに「直る」は
目的語を必要としない自動詞
になります。(「直す」は他動詞になるので、「~を」のような目的語が必要になります)
「直す」と基本的な意味や使い方は変わりませんが、「直す」は状態を
- 戻したり、改善したり、変えたりする過程
を表しているのに対し、「直る」は
- 戻したり、改善したり、変えたりした結果
を表します。
ですので
「故障していたパソコンが直る」
という文章は、
「故障していたパソコンが直った」
と言い換えることが出来ます。
「治す」「治る」の意味や使い方を例文で解説!英語では何ていう?言い換えはできる?
「治す」は
病気やけがなどをなくして、健康な状態にする
という意味になり、
- 「薬を飲んで風邪を治す」
- 「歯医者に行って虫歯を治す」
などのように使います。
使われる対象が多岐にわたる「直す」と違い、「治す」は
- 病気やけがに対して使われる
事がほとんどになります。
「治す」は「治療する」と言い換えられるので、英語にする場合「治療する」といった意味の
「cure」
を使います。
- 「風邪を治す」は「風邪を治療する」となり→ 「cure a cold」
- 「虫歯を治す」は「虫歯を治療する」となり→ 「cure tooth decay」
となります。
ちなみに「治る」は「直る」と同じく、他動詞です。
つまり「直す」「直る」の関係と同様になります。
「直す」「治す」は方言?関西弁ではどんな意味?
「なおす」を
しまう、片づける
という意味で使うことがあります。
これは、主に関西で使われる表現で
- 「この掃除道具、あっちになおしといて」 → 「この掃除道具、あちらにしまっておいて」
- 「そろそろおもちゃなおしときや」 → 「そろそろおもちゃ片づけてね」
のような使い方をします。
これは、「なおす」の意味の中の
元の良好な状態に戻す
が転じて、
「元の位置に戻る」 → 「片づける」
となったと言われています。
ちなみに、
「荷物を片しておいてください」
の「片す」も「片づける」という意味の方言になります。
元は関東圏で使われていましたが、今ではほとんどの地域で意味が通じるようになっています。
「直す」「治す」の違いと漢字の使い分け方は?
「直す」と「治す」の違いは
「なおす」対象の違い
になります。
「治す」は
病気やけがをなおす
という場合に限られます。
それに対して「直す」は、
病気やケガ以外の幅広い場面
例えば
物、性格、間違いなど
が対象になります。
したがって、一番簡単な使い分け方は
病気やけがの場合に使うか、それ以外の場合に使うか
になります。
「直す」の例文
「直す」の例文
- 壊れた機械を元通りに直す。
- 盆栽の枝ぶりを直す。
- 英文を日本語訳に直す。
このように「直す」は、
- ある状態から元の状態に修正する
- 良い物に改めたりする
こんな時に使うのが正しい使い方となります。
「やりなおす」という言葉も、「やり直す」と書くのが正解ということですね。
「治す」の例文
「治す」の例文
- 骨折したところを入院して治す。
- 歯科医に行って虫歯を治す。
- 擦りむいたところが治る。
このように「治す」は、身体に起こった怪我や病気などを”なおす”時に使うのが、正しい使い方になります。
「治療」や「治癒」など「治」を使った言葉を思い出せば、「治す」の使い方は分かりやすいですね!
自転車、バイク、機械、寝癖、性格はどっちの「なおす」を使う?
「自転車」「バイク」「機械」「寝癖」は全て、「病気やケガではない」ので、
「直す」
を使います。
「性格」は、一般的には
「直す」
になりますが、
病的な物が原因がある場合(うつ病や脳の損傷など)は
「治す」
になります。
「「直す」「治す」の違いについて」のさいごに
以上、「直す」「治す」の違いについて解説してきました。
この二つを使うときは
- 病気やけがについて使う
- それ以外で使う
ということをしっかり把握しておけば、簡単に使い分けることが出来ます。
この違いに気を付けて、正しい日本語を使ってくださいね。