「私は、あなたの担任です」
「私が、あなたの担任です」
どちらも、「自分が担任である」と言うことを表現していますが、何が違うのでしょう。
今回は、助詞である「が」と「は」の 違いや使い分けのコツを分かりやすく解説していきます。
またあなたが、お子様にもわかりやすく教えられる方法も合わせてお伝えしています。
使い方が違うと、意思がうまく伝わらなかったり、誤解を招くこともあるので、しっかり理解できるようにしてくださいね。
「が」と「は」の 使い分けは?6つの用法の違いによる使い方を解説
「が」と「は」には、次の6つの使い方があります。
これらを覚えておくと、使い分けがしやすくなりますよ。
「が」と「は」の6つの使い方
- 強調
- 知っているもの、知らないもの
- 主観の「は」・客観の「が」
- 比較の「は」・排他の「が」
- 主格(主語)がかかる範囲の違い
- 対象の「が」
それぞれを以下に詳しく解説していきます。
「が」と「は」の使い方1:強調
まず一つ目は
文中で一番伝えたいこと(強調したいこと)が
- 「は」の場合「後ろ」
- 「が」の場合「前」
に来ると言うことです。
冒頭の例文を使います。
「私は、あなたの担任です」で一番言いたいことは、
「自分はあなたの担任なんですよ」
と言うことになります。
一方、「私が、あなたの担任です」で一番言いたいことは、
「あなたの担任は、他でもない私なんですよ」
と言うことになります。
「が」と「は」の使い方2:知っているもの、知らないもの
二つ目は、「情報のルール」として
- 「伝えたい情報(新しい情報)」には「が」
- 「分かっている情報(古い情報)」には「は」
を使います。
例えば、友達と
今日転校生が来たんだけど、その転校生は帰国子女なんだって
という会話をしたとします。
前半の会話は、「転校生」が来たことを知らない人に、初めて「転校生」の存在を知らせている(新しい情報)ので、「が」が使われます。
後半の会話は、すでに「転校生」の存在は共通理解になっている(旧情報)ので、「は」が使われます。
「が」と「は」の使い方3:主観の「は」・客観の「が」
三つめは、「文の性質のルール」として
- 「現象や状況を見たまま表現する(現象文))」ときには「が」
- 「現象や状況を話し手が判断や評価を加えて表現する(判断文)」ときには「は」
を使います。
例えば、行列の出来ている店を見て、
「あのお店に行列ができているよ」
と、見たままの状況を言う(現象文)ときには「が」を使います。
一方、
「あのお店は、きっと人気店だよ」
と、行列だから人気店なはず、という自分で判断して言う(判断文)ときには「は」を使います。
「が」と「は」の使い方4:比較の「は」・排他の「が」
四つ目は、「比べているのか、一つを選ぶのか」として
- 「主題が対比の意味を持つとき」には「は」
- 「主題が排他の意味を持つとき」には「が」
を使います。
例えば、
犬は好きですが、猫は好きではありません
のように、同じジャンル(動物、ペット)の他のものと対比させたいときには、「は」を使います。
この時、「犬は好きです」と、対比する対象を言わない場合もあります。
この場合も、「犬は好き(だけど他は苦手)」というニュアンスが含まれています。
これが
犬が好きです。
になると、「犬だけが好き」というニュアンスになります。
このように、
- 他のものではなくこれだけです
といった、排他の意味を持つときは、「が」を使います。
「が」と「は」の使い方5:主格(主語)がかかる範囲の違い
五つ目は、「主格がどこまで続くのか」として
- 「主格が文末まで続くとき」には「は」
- 「主格が節の中で終わるとき」には「が」
を使います。
これは、その文章の中で行動する人が、文章の前半と後半で、「同じ」か「違う」かと言うことになります。
例えば、
「私はごはんを食べるとき、テレビを見ます」
という文章の時、
- 「ご飯を食べる」のは「私」
- 「テレビを見る」のも「私」
になるので、「主格が文末まで続いている」(前半と後半の動作主が同じ)ということになります。
それに対して
「私がごはんを食べるとき、父はテレビを見ます」
という文章の場合は、
- 「ごはんを食べる」のは「私」
- 「テレビを見る」のは「父」
になるので、「主格が節の中で終わっている」(前半と後半の動作主が違う)ということになります。
「が」と「は」の使い方6:対象の「が」
六つ目は、「格助詞」として、「が」には「対象の働き」もあります。
例えば、
- 「ステーキが食べたい」(食べたい対象が「ステーキ」)
- 「私は野球が好きです」(好きな対象が「野球」)
- 「後姿が見えます」(見える対象が「後姿」)
などは、対象を「が」で表すことが決まっています。
「が」と「は」の 違いと使い分けを小学生にわかりやすく説明するには?教え方のコツを解説
「が」と「は」の違いは、上記したように様々な形があります。
その中で、一番シンプルで便利な基準が、
- 伝えたいことが前の場合は「が」
- 伝えたいことが後ろの場合は「は」
の違いになります。
これを教えるやり方として、大事なポイントがあります。
そのポイントとは、
- 「主題」「主語」「述語」などの難しい言葉は使わない
- 自分自身にやらせる
- ゲーム的要素を入れる
これらを踏まえることが大切になります。
そのための方法として、
「単語をつなげて文章を作ってもらう」
というやり方があります。
例えば、「私」と言う単語と、「学級委員」という単語をつなげて文章を作る問題で、「自分が」ということを強調する文章と、「学級委員」ということを強調する文章を作るようにします。
答えは
- 「自分」を強調した場合は → 「私が学級委員です」
になり、
- 「学級委員」を強調した場合は → 「私は学級委員です」
になります。
また、
- 「A先生」
- 「学校」
- 「一番」
- 「怖い」
と、少し単語を多くしても、上記した違いを覚えるだけで、
- 「A先生」を強調した場合は → 「A先生が学校で一番怖い」
- 「怖い」を強調した場合は → 「A先生は学校で一番怖い」
という文章を作ることができます。
こういったゲーム的要素を取り入れることで、小学生でも簡単に「が」と「は」の使い分けが理解できるようになりますよ。
ちなみに助詞である「は」と「わ」の使い分けもわかりにくいですね。
よろしければ、こちらの記事も参考にしてみてください。
さいごに
以上、「が」と「は」の違いや、使い分けのコツを解説してきました。
「は」と「が」の違いには、多くのパターンがあります。
普段から文章を目にした時に、
- 「は」が使われているのか?「が」が使われているのか?
- どんな基準(6つの用法)で使い分けているのか?
こういった点を考えて、意識してみることで、慣れるようにしていきましょう。