春が旬の野菜の一つに「ふき」があります。
また、天ぷらなどで楽しめる「ふきのとう」もあります。
どちらも「ふき」という言葉が入っていますが、同じものなのでしょうか?
さらに、似たような言葉で「野ぶき」「つわぶき」「やまぶき」もあります。
これらは違うものなのでしょうか?
今回は、「ふきのとう」「野ぶき」「つわぶき」「やまぶき」「ふき」の違いについて、わかりやすく解説していきます。
「ふきのとう」とは?旬の時期や味、食べ方は?
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「ふきのとう」とは、「ふき」の根茎から出る若い花茎の事です。
簡単に言うと、「ふき」の花の蕾のことで、漢字では「蕗の薹」と書きます。
めちゃくちゃ難しい漢字ですよね。
ふきのとうは食用として用いられ、天然物だと一般的には、2月下旬~3月下旬頃が旬の時期になります。
雪が解け始めるころ、地面から芽を出し始めるので、
- 西日本:1~2月頃
- 北海道や積雪の多い地域、山間部:3~5月頃
のように、地域によって収穫時期が異なります。
しかしいずれにしても、春の訪れを感じさせてくれる山菜になります。
独特な苦味や香りが特徴で、定番の食べ方には、
- 天ぷら
- おひたし
- ふき味噌
などがあります。
花が咲いてしまうと苦みが増すので、おひたしやふき味噌のような和え物にする場合は、つぼみが小さく閉じたものを使用します。
その際は、しっかりあく抜きをします。
逆に、苦みを楽しみたい場合は天ぷらがお勧めです。
その場合は、花が咲いていても問題ありませんし、あく抜きも必要ないので、採れたてを楽しむことが出来ますよ。
「野ぶき」とは?見た目の特徴や用途は?
「野ぶき」は、一般的に「やまぶき」の別名とされ、同じものとして扱われます。
本来は「ふき」とは別のものになります。
葉は「ふき」に似ていますが、茎は太くならず、秋に白い小さい花を咲かせます。
新芽を食用にもできますが、主に茎や葉の部分を薬用として用います。
「つわぶき」とは?旬の時期や味、食べ方は?
「つわぶき」とは、日本の海岸地帯や山野に自生する常緑(年中葉が青々茂っている)多年草で、漢字では「石蕗」と書きます。
「ふき」とついていますが「ふき」ではないので、「ふき」のような筋は無く、「ふきのとう」も生えてきません。
日陰でもよく育ち、育て方も簡単なので、観賞用として人気がある一方、食用としても楽しむことが出来ます。
寒くなる頃に黄色い花を咲かせ、花期が終わると地下茎から「葉柄(ようへい)」(茎と葉を繋いでる部分)が伸び、この部分が食用になります。
ほのかな苦みと独特の香りが特徴になり、若葉の頃は比較的アクも少なく食べやすいので、3月~4月の早春の味覚として楽しまれます。
葉や茎の表面に綿毛がたくさんついていて、葉の緑が濃く、シャキッとしているものがいいとされています。
油と相性がいいので、炒め物に適しているほか、しっかり味を浸みこませる
- 煮物
- 佃煮
なども多くつくられ、きゃらぶきの材料としてもよく使われます。
「やまぶき」とは?旬の時期や味、食べ方は?
「やまぶき」とは、山野に自生している天然の「ふき」のことを言います。
栽培されている「ふき」と比べ、
- 茎が細め
- 長さが短い
- 根元が赤みを帯びている
- 風味が強い
という違いがあります。
3月~5月の春から初夏にかけてが旬になります。
アクがとても強いので、生のままではえぐみが強すぎてとても食べられるものではありません。
「ふき」とは?旬の時期や味、食べ方などは?
「ふき」とは、キク科フキ属の多年草のことで、日本原産の近縁種の少ない独特の野菜です。
地下茎から地表に伸ばした「葉柄(葉の柄の部分)」の部分が食用とされ、「ふき」と言った場合はこの部分を指します。
天然物のふきは、4月から6月頃が旬になります。
スーパーなどで売られている茎が太くて長いふきは、ビニールハウスで栽培したものが多く、ほぼ1年中出回っています。
ほろ苦い味と独特の風味が特徴で、あく抜きをした後
- 煮物
- 和え物
- 炒め物
など、色々な食べ方が出来ます。
「ふきのとう」「野ぶき」「つわぶき」「やまぶき」「ふき」の違いと見分け方は?
それぞれの特徴を比較して、違いや見分け方を見ていきましょう。
「ふきのとう」と「ふき」の違い
「ふきのとう」と「ふき」は、同じ植物の「花蕾」の部分か「葉柄」の部分かという違いになります。
場所が違うので、当然、見た目も全く違います。
「やまぶき」と「ふき」の違い
「やまぶき」は、自生している天然のふきのことになるので、基本的には「ふき」の一種になります。
- 茎が細め
- 長さが短い
- 根元が赤みを帯びている
といった、「ふき」との見た目の違いがあります。
「やまぶき」と「野ぶき」は同じもの
「やまぶき」は山野に自生している所から、「野ぶき」とも呼ばれることもあります。
ただし、本来の「野ぶき」はふきとは違うもので、茎は太くならず主に茎や葉の部分を、薬用として用います。
「つわぶき」と「ふき」の違い
「つわぶき」と「ふき」は、葉柄を食用にすることや、見た目も似ています。
しかし、
- 「つわぶき」:キク科 ツワブキ属
- 「ふき」 :キク科 フキ属
という違いがあり、別のものになります。
見た目や特徴も以下のように違います。
つわぶき | ふき | |
見た目の特徴 | 葉は濃いグリーン、表面にはつやつやした光沢がある | 葉は明るいグリーン、表面に産毛のようなものが生えている |
冬場の様子 | 冬でも青々と葉が茂っている | 冬は地上部が無くなるか、少なくなる |
花の様子 | 秋に黄色い花が咲く | 春に株元からふきのとうがでる |
食べる際の筋のあるなし | 筋がない | 筋がある |
と、このような違いがあります。
さいごに
以上、「ふきのとう」「野ぶき」「つわぶき」「やまぶき」「ふき」の違いについて解説してきました。
ちなみに山菜には、わらびやぜんまいなどもあります。
こちらの違いについては、こちらの記事でまとめていますので、併せてご覧くださいね。
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見た目が似ていても、それぞれに違う良さがあるので、比べて食べてみるのも面白いかもしれませんね。