漢字の読み方ひとつで、意味が全く変わってしまう言葉。
どちらで読むのが正しいのか、分からないなんて言うこともあるかもしれませんね。
例えば、漢字は「目下」と書いても、「もっか」と読まず「めした」と読んだ場合は、意味も使い方も別物です。
同じような性質の熟語として「下手」や「人気」がありますね。
そこで今回は、
- 「目下」
- 「部下」
- 「今」
- 「現下」
- 「目先」
これらの意味の違いを、例文を交えながら解説していきます。
参考記事
「目下」の意味を例文で解説(めしたの場合ともっかの場合)
「めした」と読んだ場合の意味は、地位や年齢が自分よりも低い人のことです。
対義語としては「目上」があり、地位や階級が自分よりも上の人を指します。
ただし、目下というと見下すような表現になるため、他人を指して使うなら「部下」「後輩」などの別の言葉に変えた方がいいかもしれません。
逆に自分のことを目下というのは問題ないでしょう。
目下(めした)の例文
彼の目下へ対する態度は威圧的だ
「めした」と読んだ場合は、自分よりも地位の低い人を指します。
次は「もっか」と読んだ場合です。
「もっか」には二つの意味があります。
- 眼前に差し迫った、すぐ先の未来のこと
- 現在のこと
です。
言い換えとして
- 「現在のところ」
- 「差し当たって」
などがあります。
目下(もっか)の例文
- 目下の目標は資格試験の合格です。
- その課題に関しては目下のところ対応中です。
「目下(もっか)」と読んだ場合には、すぐ先の未来や、現在のことを指します。
「現下」の意味と使い方の例
「現下(げんか)」の意味は
- 現在
- 今
のことを指します。
類義語として
- 「現在」
- 「現状」
などがあります。
「目下」のように、少し先の未来を指す言葉ではありません。
現下の例文
- 現下の情勢に鑑みて、我が社の課題解決は急務だ
現下とは現在のことを指します。
「目下(めした)」と「部下」、「目下(もっか)」と「今」「現下」「目先」との違いは?
「目下(めした)」と「部下」の違いは?
「目下(めした)」と「部下」の違いは、その言葉の指す範囲です。
「目下」は自分よりも立場の低い人全てを指しますが、「部下」は仕事上で自分の指示を受けて動く人を指します。
そのため、「部下」は「目下」に含まれますね。
「今」「現下」は同じ意味ですので、「目下(もっか)」の「現在のこと」という意味は同じです。
ただ、「少し先の未来」という意味は「今」「現下」にはないため、そこが違いになるでしょう。
「目先」とは?
「目先」とはすぐ先のことであり、「もっか」と同じような意味があります。
しかし、使われ方としてはネガティブです。
大局を視ず、近視眼的な視点でしか物を見られないという状態を指す言葉として使われます。
- 「目下の目的」
- 「目先の目的」
と比べた場合、
- 「目下の目的」は最終的な目標に向けたマイルストーンのように感じます→ポジティブ
- 「目先の目的」は大局を見ていないように感じられるでしょう。→ネガティブ
「目先」の例文
- 目先の利益にとらわれて、将来を棒に振った
- 彼の行動は目先の事しか考えていないと思う
「目先」はすぐ先の未来のことを指してはいるものの、大局を見ていないという意味で使われます。
そのため、「目下」とは似て非なる言葉といえるでしょう。
ちなみに今回の「目下」のように、使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
さいごにまとめ
「目下」は「めした」「もっか」の二つの読み方があり、それによって意味が全く変わってきます。
「めした」と読んだ場合は「部下」を含む自分よりも立場の低い人のことを指します。
ただし、見下すような表現のため他人を指しての使用は避けた方がいいかもしれません。
「もっか」と読んだ場合、「現下」「今」のように現在の事を指す言葉としても使われます。
それとは別に「少し先の未来」のことも指しますが、同じ意味を持つ「目先」とは使い方が違うので使い分けには注意しましょう。
「目先」は大局を見ずに少し先の事しか考えていない、という意味として使われます。