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「わたる」の漢字!使い分けを例文で解説!公用文や常用漢字では「渡る」「亘る」「渉る」「航る」「亙る」のどれを使う?

わたる 漢字 使い分け

「わたる」という言葉を漢字にする場合、一般的には、「渡る」という字が思い浮かびます。

ただし、「渡」という字は、「渡航」「渡来」などと言った、移動するというイメージがありますね。

でも、

  • 「長年にわたる
  • 「広範囲にわたる

このような文章の場合は、「渡る」の漢字を使うと少し違和感を感じませんか?

実は、「わたる」と読む漢字には、種類があって、使い分けは少々難しいのです。

そこで今回は、そんな「わたる」の漢字や使い分けについて、わかりやすく解説していきます。

「わたる」を漢字で書くと?どんな種類がある?公用文ならどれ?常用漢字は?

「わたる」の漢字には、

  • 漢字も読み方も常用漢字表にある
    • 「渡る」
  • 漢字は常用漢字で、読み方が常用漢字表にない
    • 「弥る」「度る」「航る」「済る」「渉る」「絶る」
  • 常用外漢字で名前に使用できる
    • 「亙る」「亘る」「杭る」「涉る」「彌る」 

があります。

こんなにたくさんの種類があったんですね。

この中で公用文で使えるのは、漢字も読み方も常用漢字表にある、「渡る」のみになります。

「わたる」の漢字!使い分けは難しい?コツや覚え方を例文で解説!

「わたる」の漢字で一番に思いつくものは、「渡る」だと思います。

他にも、場面ごとで使い分けられているものに、

  • 「亘る」
  • 「渉る」
  • 「航る」
  • 「亙る」

といったものがありますね。

それぞれの「わたる」の意味と使い方を詳しく見ていきましょう。

「渡」は、水を表す「氵(さんずい)」と、ものさしをわたして測量するという意味の「度」から成り立っています。

つまり、「水をわたる」ことを意味しています。

そこから、

「渡る」の例文1

  • 「小舟で川を渡る
  • 「手を挙げて横断歩道を渡る

このように、川や海、橋や道路などの向こう側へ移動するということを表す時に用います。

他にも、

「渡る」の例文2

  • 「色々な街を渡り歩く」(あちらこちらと移る
  • 「彼は世渡りが上手だ」(世の中を生きていく
  • 「機密情報が他社に渡ってしまった」(物や権利が他人に移る
  • 「会議は三日間に渡った」(ある範囲に及ぶ

このように、幅広い意味で使えるのが「渡る」の特徴になります。

ですので、ほとんどの場合、この「渡る」を使っていれば問題ありません。

では、他の「わたる」はいつ使うんでしょうか?

他の「亘る」「渉る」「航る」「亙る」の場合は、

  • 使い方が限られていて

それぞれの

  • 漢字の意味を理解する

ことで、使い分けしやすくなりますよ。

「亘る」の場合、本来「亘」という字は、物が旋回する象形から、めぐるという意味を表します。

しかし、「亙」の字形と混同され、わたるの意味も表すようになりました。

ですので、「亘る」は、

「亘る」の例文

  • 「再三に亘る警告にも関わらず」
  • 「幅広い分野に亘る知識」
  • 「数か月に亘る話し合い」

このように、ある範囲、数値、時間、期間などに及ぶといった意味での使い方に限定されます。

そのため、「渡る」のような、地点間の移動といった意味では使われません。

次に「渉る」の場合です。

「渉」という字は、水を表す「氵(さんずい)」と、左右の足跡の象形から「あるく」という意味の「歩」から成り立っていますね。

つまり、水の中を歩くということを意味しています。

ですので、「渉る」は、

「渉る」の例文

  • 「浅瀬を渉る
  • 「対岸に渉る

このように、川などで隔てられた地点を、水に浸かりながら移動するという限定的な意味で使われます。

次に、「航る」の「航」はもっと分かりやすいですよ。

航という字は、渡し舟を表す「舟」と、行くという意味の「亢」から成り立っていますね。

つまり、舟で行くという、見たままの意味になります。

ですので、「航る」は

「航る」の例文

  • 「豪華客船で大西洋を航る
  • 「旅客機でアメリカへ航る

このように、水上や空中を移動するという限定的な意味で使われます。

「水」に関係するということで、「渉る」と似ていますが、

  • 「渉る」は「水中」を「歩いて」移動する
  • 「航る」は「水上」を「」で移動する

ことを指すという違いがあります。

次に「亙る」の場合です。

「亙」という字は、「日本の横線」+「欠けた月」の象形から成っています。

つまり、(月が空の一方から一方へ)わたることを意味しています。

ですので、「亙る」は、

「亙る」の例文

  • 「被害は広域に亙ります」
  • 「彼の知識は多方面に亙っています」

このように、ある範囲に及ぶといった意味での使い方に限定されます。

「亘る」と同じ意味で使われるのは、「亘」の字が「亙」の字形と混同されて使われるようになったことによります。

「長期に」「2日間に」「再三に」「細部に」はどの「わたる」を使う?

「長期にわたる」は、長い期間続く、長い間連続するといった意味になりますよね。

したがって「亘る(亙る)」が正解です。

「2日間にわたる」は、2日間途切れず引き続いてといった意味になります。

したがってこちらも「亘る(亙る)」が適しています。

「再三にわたる」は、一定期間のうちに何度も繰り返すといった意味になります。

したがってこちらも「亘る(亙る)」が適しています。

「細部にわたる」は、ある範囲まで及ぶ、広い範囲まできまなく及ぶといった意味になります。

したがってこちらも「亘る(亙る)」が適しています。

この場合は、「渡る」の表記でも問題ありません。

しかし、「渡る」の場合は、移動することが基本的な使い方になります。

ですのでこの場合は、ある範囲、数値、時間、期間などに及ぶといった限定的な使い方の、

「亘る」が「渡る」よりも、意味的には適しています。

ただし、公的な文章の場合は、

  • 常用漢字である「渡る」
  • ひらがなで「わたる」

このどちらかを使います。

さいごに

以上、「わたる」の漢字の使い分けについて解説してきました。

「わたる」には様々な漢字がありますが、「渡る」以外はどれも限定的な使い方になります。

それぞれの漢字の意味を理解して、上手に使い分けて下さいね。

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