「おおう」という言葉には、
- 「覆う」
- 「被う」
などの他にも多くの漢字があり、どれも同じ意味を表します。
ただ、それぞれニュアンスが違いますので、覚えておくと鼻が高いですよ。
そこで今回は、「おおう」の漢字の違いや使い分け方をわかりやすく解説していきます。
ちなみに今回の「覆う」「被う」のように、同じ読み方で使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「覆う」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「覆う」には幾つか意味があります。
1.
- 「落ち葉に覆われた道」
- 「昨日の大雪で街が雪に覆われてしまった」
などのように、
あるものが一面に広がって下のものを隠す
という意味。
2.
- 「ベールで顔を覆う」
- 「あまりの惨状に目を覆ってしまった」
などのように、
あるものを他のものの上に広げ、外部からさえぎられた状態にする
という意味。
3.
- 「日が落ちてあたりは闇に覆われた」
- 「会場内が熱気で覆われています」
などのように、
隅々まで行き渡り一杯に満たす
という意味。
4.
- 「新しい企画は、関係者以外には秘密のベールで覆われています」
のように、
客観的事実を包んでわからなくする
といった、いろいろな意味を持っています。
ニュアンスとしては、「覆面」という言葉もあるように
- 何かを広げ内部のものを隠す
- あるものが広がって視覚的に見えなくする
といった感じになります。
「覆う」を言い換える場合は
「包み込む」
になります。
英語では、
- 「広げる」や「伸ばす」といった意味の
- 「spread」
- spread a cloth on the table(テーブルをクロスで覆う)
- 「一面を覆う」といった意味の
- 「blanketed」
- be blanketed with snow(一面雪に覆われる)
のように表現します。
「被う」の意味は?英語では何ていう?言い換えは?使い方を例文で解説
「被う」は「覆う」の
同音同意の異字
になるので、意味は「覆う」と同じです。
ただし、「被」は「被せる(かぶせる)」という意味合いもあるので、
- 「寒い地域の動物たちは長い体毛で被われている」
のように「何かの上にかぶせて隠す、守る」といったニュアンスになります。
英語にする場合も、
- 「かぶせる」といった意味合いの
- 「cove」
- She covered the mouthpiece of the phone with her hand(彼女は電話の送話口を手でおおった)
このように表現します。
「被う」を言い換える場合は
「包み隠す」
になります。
「覆う」と「被う」の違いと使い分け方は?
「覆う」と「被う」は
意味の違いがない同音同義語
とされています。
ただし、ニュアンスとして
「覆う」と「被う」の違い
- 「覆う」:「そのものが広がって(広げて)下のものを隠す(見えなくする)」
- 「被う」:「あるものを他のものにかぶせて隠す」
と、このような違いがあります。
ですので、
- 「昨日の吹雪であたり一面雪におおわれた」
のような場合は、
一面に広がった雪で地面が見えなくなった
というニュアンスなので「覆う」を使います。
また、
- 「入り口が分からないように草でおおった」
のような場合は、
入り口を隠すために草をかぶせた
というニュアンスなので「被う」を使います。
「蔽う」「蓋う」「掩う」との違いと使い分けは?
- 「蔽う」
- 「蓋う」
- 「掩う」
どれも「おおう」と読み、「覆う」と同義語になるので、意味は同じになります。
「蔽」という文字は
並び生えた草や敗れた衣服を表す象形文字
からなっている所から、
「あるものがボロボロになる、草でおおわれる」
といった意味を表します。
そこから
間に入ってさえぎり隠す
というニュアンスで使います。
「蓋」という文字は「フタ」とも読むところから
ふたをするように、おおいかぶさる
というニュアンスで使います。
「掩」という文字は
手を表す象形文字と、雷を表す象形文字
からなっている所から
頭上の雷から自分を手でおおって隠している
といった意味を表しています。
そこから
手で隠す
というニュアンスで使います。
「覆う」と「かぶせる」「包む」との違いと使い分けは?
「覆う」「被う」には
カバーする、見えなくする
というニュアンスがあります。
「かぶせる」の場合は
- 「帽子をかぶせる」
- 「頭から水をかぶせる」
といったように、
- 「載せる」
- 「浴びせる」
という意味合いで使われます。
ですので
隠したり見えなくする
といったニュアンスを含むとは限りません。
「包む」の場合は
- 紙や布などの中に入れてすっかりおおう
- 物をすっかり取り囲むようにする
という意味からも分かるように、「覆う」よりも
物体を隠す面積が多い
というニュアンスで使います。
英語で言えば
「cover」と「wrap」の違いになります。
「覆うと被うの違いについて」のさいごに
以上、「おおう」の漢字の違いや使い分け方について解説してきました。
それぞれ、ニュアンスによって微妙な違いがありますので、漢字の意味を理解して、上手に使い分けて下さいね。