「いばらの道って言うけど、いばらって何?」
ドラマやマンガなどで、苦難な状況や困難な状況を例えるときに、「茨の道」という表現をよく使いますが、なぜ「茨(いばら)」なのでしょう。
今回は、「茨の道」の意味や由来などについて詳しく解説していきます。
使う機会も多いと思うので、この機会に知っておくと便利かもしれません。
「茨の道」の意味や語源は?間違い例と正しい例は?「行く」「歩む」どっち?
「茨の道」とは
- 困難な状況や苦難の多い人生
という意味を例えた慣用句です。
「茨」とは
- 薔薇やカラタチなどとげのある植物の総称
のことで、その様な植物の生えた道を歩く困難さに、人生における苦難や困難を例えたことが由来となっています。
例文
- 「今の成功をつかむまで、どれだけ茨の道を歩んできただろう」
- 「祝福されていない二人の結婚は、茨の道になるだろう」
などのように、人生を振り返った時に苦難が多かった場合や、これからの将来について困難が予想されるような場合などに用いられます。
例えば、
「A君は来年私立中学を受験するらしいよ」
「でも、この前のテスト、僕より点数悪かったはずだよ」
「そうだよね、通知表も僕より成績悪かったし」
「A君、これから勉強大変そうだね」
このような時のA君の状況が「茨の道」になります。
ですので、先ほどの会話を言い換えると、
- 「A君が私立中学校に受かるのは茨の道だ」
という表現になります。
このように「茨の道」は、基本的に、
- 「今までの経緯」
- 「これからの将来」
に対して用いられる言葉であって、
- 「茨の道を進む」
- 「茨の道を諦めて道を外れる」
といった表現では使われますが、
- 「茨の道を戻る」
のような表現では、ほぼ使われません。
ちなみに、「茨の道」を表現した言い回しに、
- 「茨の道を行く」
- 「茨の道を歩む」
がありますが、どちらを使っても問題ありません。
例文
- 「例え茨の道を行くことになっても、夢をあきらめません」
- 「例え茨の道であっても、夢をかなえるため歩んでいきたい」
このように、どちらも、自ら困難な道を選び進んでいく様子を表現する言い回しになるので、状況によって使い分けるようにしましょう。
「茨の道」の類語、言い回し、対義語は?英語では何ていう?
「茨の道」と同じような意味の言葉に「前途多難」があります。
「前途多難」は
- これから先に多くの災難や困難が待ち受けていること、待っていると予想されること
という意味になります。
「前途」の「途」は
- 「道」
- 「道のり」
という意味を持ち、
「多難」の「難」は
- 「困難」
- 「災難」
という意味を持ちます。
進む(前の)道に困難が多くあると言うことは、「茨の道」とほぼ同じ意味を持つ言葉と言えます。
では、反対の意味を持つ言葉には何があるでしょう。
「茨の道」の反対の意味を持つ言葉に「前途洋々」があります。
「前途洋々」は
- 今後の人生が大きく開けて、希望に満ち溢れている様子
という意味があります。
「前途洋々」の「前途」は先ほどと同様に、
- 進む(前の)道
という意味があり、
「洋々」は
- 水が満ち溢れ広がり流れる様子=明るく広がり、可能性に満ちた様子
という意味があります。
困難な状況や苦難な人生を表した「茨の道」とは、反対の意味の言葉と言えますね。
「茨の道」の英訳は「rocky road」になります。
「rocky road」は直訳すると
- 「岩だらけの道」
という意味になり、そこから転じて
- 「苦難の道」
という意味で使われるようになりました。
日本語では、「苦難・困難」なことを「とげのある植物」に例えていますが、英語では、「岩や岩石」に例えているのが、それぞれの国の生活環境を表していますね。
「茨の道」と「けもの道」の違いは?
「茨の道」と同じような意味を持つ言葉として「けもの道」が挙げられます。
本来の「けもの道」は
- 山野において野生動物が通る道、大型の哺乳類が日常的に使用している経路
のことを意味します。
そこから、
- 人の通らない道=普通とは違う道
となり、
- 「一般の平穏な生活とは違う人生や生き方」
の比喩として使われています。
「普通とは違う」という点では同じような意味になりますが、
「茨の道」の場合は、
- 「普通とは違う困難な道」
というニュアンスになります。
対して「けもの道」の場合は、
- 「普通は進まないような道」
というニュアンスが含まれている違いがあります。
山登りで例えると
- 一般的な登山道=「普通な人生」
- 足元の悪い急斜面な道=「茨の道」
- 断崖絶壁を鎖で登る=「けもの道」
のような感じになります。
さいごに
以上、「茨の道」の意味や由来などについて解説してきました。
いままで多くの茨の道を通って来た人も、これから茨の道にぶつかる人も、それを乗り越えることで、自分自身が大きく成長出来るようになるといいですね。