自分自身の能力を向上させる事。
それを意味する言葉としてよく使われるものに、
- 「自己研鑽」
- 「自己啓発」
- 「自己研磨」
があります。
あなたはそれぞれを混同して使っているかもしれません。
でも実際にはきちんとした使い分け方があります。
ポイントは、抽象的か具体的かになるので、この後の解説を参考にして、きっちり使い分けできるようにしてください。
自己研鑽の意味と使い方の例
「自己研鑽」とはどういう意味でしょう。
まず、自己研鑽の「自己」は当然自分自身を表します。
「研鑽」の「研」は「みがく・(刀などを)とぐ・調べ究める」を意味し、「鑽」は「穴をあける・深く究める」という意味を持ちます。
なので、自己研鑽とは「自分自身のスキルや能力を高め、磨きをかけること・学問や研究を究めること」を意味します。
使い方の例文は
- これからも自己研鑽に努めていきたいと思います。
- 彼は自己研鑽を怠らず、日々練習をしている
- ますます自己研鑽に励んでください。
- 地元の人々とのふれあいから知識・見識を学び、自己研鑽を深めています。
などのように、自ら能力やスキルなどを磨くことを表現するようなときに使われます。
また続く言葉に、
- 積む
- 続ける
- 図る
- 重ねる
などと使われることが多いので、セットで覚えておいてもいいかもしれません。
「自己研鑽」は主体的に学んだり、知識を深めたりすることなので、会社に義務づけられたり、他の人に強制されたりしたような場合は使用しない方がいいかもしれません。
例えば
- 新人研修を通じ、自己研鑽に励みます。
- 速く組織になじめるよう、終業後も自己研鑽に努めて下さい。
のような場合は、「自己研鑽」と意味合いが違ってきてしまいますので、注意してください。
自己啓発の意味と使い方の例
「自己啓発」の「自己」は、「自己研鑽」と同じく自分自身を表します。
「啓発」は、「人が気づかないところのものを教え、より高い認識理解に導くこと」を意味しています。
つまり「自己啓発」は「自分のことを、自分自身で高みに導くこと」を意味します。
- 自己啓発本をたくさん読んで人生が変わった。
- スキルを上げるために自己啓発セミナーに参加した。
と言ったように、生きがいやモチベーションなどの精神面を高めるための行為を指します。
また、ビジネスシーンにおいては、意識改革や意識向上のために使われることが多いです。
「自己啓発」は、意識面の成長によって能力が向上する事を目的としているので、目に見えて変化が現れたり、結果がすぐに出るようなものではありません。
ですので、まず必要なのは、自分がどの様になりたいのか・何を学びたいのかを決めることが重要になります。
やみくもに本を読んだり、セミナーに参加するだけでは自己満足で終わってしまうので、目的意識をもって行動することが重要になります。
自己研磨の意味と使い方の例
「自己研磨」の「自己」は自分自身を表します。
「研磨」は、「物の表面を滑らかにするために、とぎ磨くこと」の他に、「知識・技術などをより高度なものにするために努力すること」を意味しています。
ですので、「自己研磨」は「努力して自分の能力に磨きをかけること」意味します。
ほとんどの辞書には掲載されていませんが、ビジネスシーンや一般的にも広く浸透している表現になっています。
- 小さな自己研磨の積み重ねが成功の秘訣です。
- 自己研磨を怠った結果、彼はまだ次のステップに行けないでいる。
- 目標を達成するため自己研磨に励む。
と言ったように、学問だけでなく、何かしら努力している物全般的に使用されます。
意味合いは「自己研鑽」とほぼ同じになるので、使い方も似たようなものになります。
自己研鑽、自己啓発、自己研磨の違いは?使い分けと簡単な覚え方は?
「自己研鑽」「自己啓発」「自己研磨」はどれも、自分を磨き向上させることですが、少しずつ使い方に違いがあります。
「自己研鑽」は、学問や研究を究めるという意味でもあるように、資格を取得したり英会話を身につけたりといった、具体的な行為を指す場合に使います。
一方「自己啓発」は、生きがいやモチベーションなどの精神面を高める抽象的な行為を指す場合に使います。
「自己研磨」の場合は、「自己研鑽」とほぼ同じ使い方をします。
あえて違いをあげるならば、「自己研鑽」は「学問や研究を深く究めること」という意味から「自己研磨」に比べ、知識や知的能力の分野を強く意図していると言えるかもしれません。
使い方に迷ったときは、
- 「自己啓発」:「意識を高める」などといった抽象的な行為。
- 「自己研鑽」:「資格を取得する」などと言った具体的な行為。
- 「自己研磨」:「自己研鑽」とほぼ同じだが、知識や知的能力の分野を除いたもの。
と覚えておくとわかりやすいかもしれませんね。
まとめ
以上、「自己研鑽」「自己啓発」「自己研磨」の違いを解説してきました。
それぞれ意味合いは違いますが、自身の能力を向上させるためには、どれも欠かせないものになります。
どれか一つを行ったから終わりではなく、それぞれを継続して行っていく事が大切なのかもしれませんね。