仕事でやりとりをしていると、「これは注意して気にしておいて欲しいな」という事柄が多く出てきますよね。
そんなとき、
- 「ご留意ください」
- 「ご承知おきください」
といった言い回しを使ったことはありませんか?
ところがこの言い回しだと、相手によっては失礼に聞こえてしまうことも……!?
そこで今回は、そんな「相手に注意を促す時の言い回しや正しい使い方」について、例文も含めていくつかご紹介いたします。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
また、この他にも、ビジネスにおいて紛らわしい言葉の違いは、たくさんあります。
こちらでチャレンジしてみてくださいね。
→ 言葉の違いのまとめ!日本語雑学クイズにも使える!あなたはいくつ説明できる?
「ご留意ください」の意味と使い方の例文
「留意」とは、「心に留める」こと。
ある物事を心に留めておいて、気をつけるよう意識するという意味があります。
そこに「ください」を合わせることで、相手に気をつけてもらうようお願いする言い回しとなります。
さてここで注意して欲しいことがあります。
相手に何かを要求する意味をもつ「ください」をそのまま使ってしまうと、目上の方や取引先の方には失礼に思われてしまう可能性があること。
こういう場合は、「〜くださいますようお願い申し上げます」などと言い換えると良いでしょう。
こちらの記事でも詳しくお伝えしていますので、ご覧くださいね。
ご留意くださいの使い方は?
「ご留意ください」の例文
- スケジュールに変更が発生する場合がございますので、ご留意くださいますようお願い申し上げます。
- 次回開催については後日ご連絡致しますのでご留意くださいませ。
「ご承知おきください」の意味と使い方の例文
「承知」には「相手の依頼や要求を受け入れる」や「事情を知っておく」という意味があります。
何かを頼まれた時などに「分かった」と同じニュアンスで「承知しました」と使われる事もありますよね。
「ご承知おきください」は、大まかに言うと「(事情を)知っておいてください」という意味です。
ただし、こちらもそのまま使ってしまうと、不躾で失礼に思われてしまう可能性があるので、言い回しには注意が必要です。
「ご承知おきください」の例文
- 本日は棚卸しのため営業時間が短縮となりますのでご承知おきください。
- 明日の会議で使用する書類がこちらです。ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。
「ご注意ください」の意味と使い方の例文
「注意」とは、「悪い事態にならないよう用心する」こと。
「留意」と比べるとより警告度合いが高くなり、より強く意識して欲しいという意味になります。
気をつけなければ悪い事態が起きてしまう場合、ある物事について普段より強く意識して欲しい場合は「ご注意ください」を使うようにしましょう。
「ご注意ください」の例文
- 足元が大変滑りやすくなっておりますのでご注意ください。
- 集合時間が大変早くなっておりますのでご注意くださいますようお願い致します。
「ご自愛ください」の意味と使い方の例文
「自愛」には「自分を大切にする」という意味があり、特に身体の健康面について使われる事がほとんどです。
「ご自愛ください」は「ご自身のお体をお大事になさってください」という意味です。
ビジネスメールや手紙のやりとりにおいて、時候の挨拶などと一緒に末尾に書くことで、相手を思いやる言葉として頻繁に使われるので覚えておきましょう。
「ご自愛ください」の例文
- 寒さが厳しくなって参りましたので、風邪など召されませんようご自愛ください。
- お忙しいかと存じますが、何卒ご自愛くださいませ。
「お含みおきください」の意味と使い方の例文
「含み置く」には「心に留めておく」「了解しておく」という意味があります。
「留意」や「承知」と似ていますね。
ただし、こちらは「ご留意ください」や「ご承知おきください」と比べると、より丁寧な印象を与えるため、目上の方や取引先の方とのやりとりでもよく使われます。
裏を返すと、同僚や部下に対して「お含みおきください」を使うと不自然になりますので、注意が必要です。
「お含みおきください」の例文
- ◯日は出張のため不在となりますことをあらかじめお含みおきください。
- 今日中にご連絡がいただけない場合はご予約をキャンセル致しますので何卒お含みおきくださいませ。
「ご留意ください」「ご承知おきください」「ご注意ください」「ご自愛ください」「お含みおきください」の使い分けの方法は?
さて、ここまで「相手に注意を促す時の言い回しや正しい使い方」についていくつか見てきました。
改めて意味の違いや使い方について簡単にまとめてみましょう。
「ご留意ください」「ご承知おきください」「ご注意ください」「ご自愛ください」「お含みおきください」の使い分け
- ご留意ください → 心に留めておいてください
- ご承知おきください → (こちらの事情を)知っておいてください
- ご注意ください → (悪い事態にならないように)より一層気をつけてください
- ご自愛ください → お体をお大事になさってください
- お含みおきください → 「ご留意ください」「ご承知おきください」を丁寧に言い換えたもの
気をつけて欲しい事柄について、悪い事態が起きてしまう場合や強く意識しておいて欲しい場合は、「ご留意ください」よりも「ご注意ください」が最適です。
既に確定している事柄を相手に周知するときは「ご承知おきください」を使います。
目上の方や取引先の方とのやりとりでは「お含みおきください」を使うと、より礼儀正しく丁寧な印象を与えることができるでしょう。
「ご自愛ください」は他のものと比べると、使う場面は限定されます。
ビジネスメールや手紙の文末、または取引先の方との別れ際の挨拶などで使われる頻度が高いので覚えておくと良いですね。
さいごに
簡単に言えば「気をつけてください」で片付けられてしまう言葉も、言い回しを変えればより丁寧な印象を与える事が可能です。
この記事を参考にしていただいて、職場内や取引先との円滑で気持ちの良いコミュニケーションに役立てていただければ幸いです。