「白湯」という漢字があります。
よくある薬の説明書には、「白湯(さゆ)で飲んでください」と表記されます。
またラーメン屋さんでは、「白湯(パイタン)ラーメン」と表記されています。
それぞれ同じ漢字なのに、なぜ全く違う読み方になるのでしょう?
それぞれの意味がわかれば、使い分けもできるようになりますね。
今回は、
- 「白湯」の読み方について
- 「さゆ」「パイタン」の違い
- 「さゆ」と「常温の水」「ぬるま湯」「湯冷まし」との違い
- 「パイタン」と「清湯(チンタン)」の違い
これらの疑問について、わかりやすく解説していきます。
ちなみに今回のように、使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「白湯」の読み方や意味は?英語ではなんて言う?
「白湯」には主に、2つの読み方があります。
- 一つは、「さゆ」
- もう一つは、「パイタン」
です。
まず「さゆ」とは、水を10分程度沸騰し続け、不純物を取り除いたお湯(熱湯)のことになります。
主に、
- 薬を飲むとき
- 美容や健康法の一環
に飲まれます。
飲む時は、そのままの温度では飲めないので、50度程度まで自然に冷ましてから飲みます。
英語では、
- 「hot water」
- 「boiled water」
と訳されますが、作り方などを考えると、「boiled water」の方が、より近い意味になるのではないでしょうか。
一方「パイタン」とは、中国語で、豚骨や鳥ガラなどを煮込んで作る、白く濁ったスープのことになります。
中華料理のスープの一つで、日本では主にラーメンスープとして使われています。
英語では、「white(白い) broth(煮汁・だし)」と、見た目そのままの訳になります。
「さゆ」と「パイタン」の違いは?なぜ同じ漢字を使うの?
「さゆ」は、水を沸騰させた、不純物を取り除いたお湯のことを言います。
一方「パイタン(白湯)」は、豚骨や鳥ガラなどを煮込んで作った白く濁ったスープのことを言います。
漢字は「白湯」で同じですが、「さゆ」と「パイタン」は、そもそもが、全く別のものなのです。
では、なぜ全く違うものが同じ漢字表記になったのでしょう?
結論から言うと、「さゆ」と「パイタン」が同じ漢字表記になったのは、単なる偶然なのです。
「さゆ」はもともと、「素湯(すゆ)」と言われていたものが転じて、「さゆ」と呼ばれるようになったのが由来と言われています。
これに「白」という字を当てたのは、以下の理由です。
罪のないことを「潔白」と言うように、何もない、純粋なという意味で、「白」という漢字が使われていました。
ですので、混じりけのない沸騰させたお湯のことを「白湯」と表記するようになりました。
一方、中国語で白く濁ったスープのことを、「パイタン」と言っていて、それを日本の漢字で表記したものが「白湯」です。
そのため、「さゆ」と「パイタン」は全く違うものであるのに、同じ漢字表記になりました。
「さゆ」と「常温の水」「ぬるま湯」「湯冷まし」との違いは?
「さゆ」の絶対条件は、水を10分程度沸騰させたお湯になります。
それに対し、「常温の水」と「ぬるま湯」は、沸騰させているとは限らないという違いがあります。
一般的に、
- 「常温」とは、15〜35度(外気温を超えない程度)
- 「ぬるま湯」とは、30〜40度(手で触って熱くない程度)
と言われています。
「常温の水」「ぬるま湯」のどちらも、
- 冷たいものを少しずつ温めた水
- 熱いものを冷ました水
になるので、沸騰させなくても作れる物になります。
また「湯冷まし」とは、白湯(さゆ)を20度~30度くらいに冷ませたものになります。
大体の温度が決まっているというところが「さゆ」との違いになります。
「パイタン」と「清湯(チンタン)」の違いは?
「パイタン」も「チンタン」も、どちらも、中華料理のスープのことです。
- 「パイタン」は、白く濁ったスープ
- 「清湯(チンタン)」は、色が濁っていない澄んだスープ
のことを言います。
それぞれ、中華料理のスープのことで、
- 豚骨や鳥ガラなどを煮込んで骨髄を溶け出させたり、コラーゲンを出して白濁させる調理法で作るのが「白湯(パイタン)」
- 肉だけから、お湯を煮立たせず、ゆっくり出汁を取った調理法で作った透き通ったスープが「清湯(チンタン)
それぞれ、調理法と見た目が違います。
さいごに
以上、「さゆ」「パイタン」の違いについて解説してきました。
元々全く違うものなので、使い分けは、前後の文章や、表記されている物や場所で判断するしかありません。
使用する環境が全く異なるので、間違うことは無いと思います。
それぞれの意味をしっかり理解して、うまく使い分けてくださいね。