「付近」と「附近」は類義語として、同じものとして紹介されることもあります。
「附近」という漢字はあまりなじみがないかもしれませんね。
どちらも読みは「ふきん」ですが、違いはあるのでしょうか。
知っておくと、いざという時、役に立ちますよ。
そこで今回は、「付近」と「附近」の違いをわかりやすく説明していきます。
また、似たような意味の、「近傍」「周辺」「近辺」との違いも説明していきますので、最後までごらんくださいね。
ちなみに今回の「付近」と「附近」のように、同じ読み方で使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「付近」の意味は?例文で解説
「付近」とはすぐ近くのという意味です。
類義語としては
- 「周囲」
- 「界隈」
などがあります。
- 「付」とは、手渡すやくっつけるという意味
- 「近」とは距離が小さいという意味
があるので、漢字として考えても、すぐ近くという意味になりますね。
付近の例文
この付近にコンビニは一軒しかない
「付近」とはすぐ近くのことを指します。
「付近」と「附近」の違いは?
「付近」と「附近」には違いはありませんが、基本的には「付近」を使うことが推奨されています。
理由は、戦後GHQが行った教育改革があります。
教育改革の一環として、難しい漢字を可能な限り、日常的に使わないようにする方針が採られました。
そのため、基本的に使われるのは「付近」です。
ただし、日本国憲法には「附」の漢字が使われていますので、「附」の漢字が常用漢字として使えないわけではありません。
「附近」を使っても問題があるわけではありませんが、現状「付近」が一般的です。
「付近」と「近傍」の違いは?
「付近」と「近傍」は、ほぼ同じ意味と考えて問題ありません。
漢字で考えてみた場合でも、意味としてはほとんど違いがありません。
- 「付」の意味は、ぴったりくっつける、持たせる
- 「近」の意味は、すぐそば
- 「傍」の意味は、そば、となり
と考えれば、ほぼ同じ意味だと理解できます。
「付近」「近傍」ともに、「隣り合っているくらい近く」という意味を持っていると考えられます。
ただ、「近傍」は日常的にはあまり使われることはなく、数学などで使われることが多いです。
その場合でも、ある一点の近い所という意味があります。
「付近」と「周辺」の違いは?
「付近」と「周辺」では、指し示す範囲の形が違います。
- 「周」という漢字は「回る・巡る」という意味を持っています。
- 「辺」はほとり・近く・はし、という意味を持っています。
そのため、「周辺」は、特定の地点からの円形の範囲を指しています。
「付近」には近くという意味はあっても回る、という意味はありません。
周辺の例文
旅行に備え、テーマパーク周辺の地図を買っておいた
「付近」と「近辺」の違いは?
「付近」と「近辺」の違いは、その範囲の広さの違いにあります。
「付近」は、ぴったりとくっつくほど近いという意味でしたね。
それに対して「近辺」の「辺」という漢字の意味を考えると、「近辺」の方が範囲が広いと考えられます。
近辺の例文
放火事件の解決のため、警察は近辺で聞き込みを行った
さいごにまとめ
「付近」と「附近」に関しては使われている漢字が違うだけで同じ意味です。
ただ、戦後の教育改革によって「付近」が使われるようになったため、「付近」を使うのが一般的でしょう。
「付近」と「近傍」に関しても今は同じですが、「近傍」は数学の用語としても使われます。
「付近」と「周辺」を使い分けるのであれば、範囲の形を考えましょう。
純粋に近くにということであれば「付近」、円形の範囲で考えた場合は「周辺」を使いましょう。
「付近」と「近辺」の使い分けは範囲の広さです。
「近辺」の方が指している範囲が広くなります。
とはいえ、これらの言葉に明確な違いはなく、どれを使っても問題はありません。
人によって「近い」という定義は変わるので、確実に伝えたい時は、具体的な数字を添えるのがいいでしょう。