「大葉としそって、同じものではないの?」
サラダなどによく使われるドレッシングに、青じそドレッシングがあります。
さっぱりとした味わいは幅広い世代に愛されていて、スーパーでは様々なメーカーの青じそドレッシングが売られています。
ドレッシングの他にも、お刺身の付け合わせや天ぷらなど、青じそは色んな料理で使われていますね。
「あれは大葉だから青じそとは違うでしょ?」と思ったあなた。
実は…大葉は青じそなんです!
他にもエゴマ油の原料である「エゴマ」や、イタリア料理などで馴染みのある「バジル」も全部シソ科の香味野菜なんですよ。
でも呼び方が違うんだから、それぞれは違うはず。
そこで今回は「しそ」と「大葉」、さらに「エゴマ」「バジル」について、それぞれの特徴や違いをご紹介します。
「しそ(赤紫蘇、青紫蘇)」とは?見た目の特徴など
まずそもそも、「しそ(紫蘇)」とはどんな野菜なのでしょうか。
しそはシソ科シソ属の植物の総称であり、中でも食用とされる赤紫蘇や青紫蘇のことを指すのが一般的です。
原産地は中国で、食中毒を起こして危険な目にあった若者(子供)に「紫」のしその葉を煎じて飲ませたところ、元気になった(「蘇」った)ことから、この植物を「紫蘇」と呼ぶようになったと言われています。
この由来から分かる通り、元々は赤紫蘇のことを指す言葉でした。
同じシソ科の中でも葉の色が赤いものと青いもの(緑色のもの)があったため、
- 赤いものを「赤紫蘇」
- 青いもの(緑色のもの)を「青紫蘇」
と呼び分けるようになりました。
語源となったしそ(赤紫蘇)は名前の通り、赤紫色で卵型の葉を持ちます。
縁(ふち)はノコギリの歯のようにギザギザしており、種類によっては葉が縮れているものもあります。
清涼感のある独特の香りと辛味を持つ香味野菜として知られています。
赤紫蘇は生のままではアクが強くてえぐみがあるので、塩もみしてから梅干しと一緒に漬け込んだり、乾燥させてご飯のふりかけ(ゆかり)として使ったりします。
「大葉」とは?見た目の特徴など
大葉はシソ科シソ属の植物で、緑色の葉を持つ「青紫蘇」を「葉の形状のまま使用する場合」に使われる別名です。
元々しそは、葉の他にも若芽や花穂、実も食用として用いられるため、それらと区別するために「大葉」と呼ぶようにしていたのが、今では一般的な名称として使われるようになりました。
清涼感のある香りは防腐・殺菌作用を含むため、
- 生のまま刺身のつま(付け合わせ)として使われる
- 刻んで豆腐やサラダなどの薬味やドレッシングとして使われる
- 鶏肉や魚を巻いたものやそのまま揚げて天ぷらにする
など、様々な用途で使われます。
「エゴマ」とは?見た目の特徴など
エゴマ(荏胡麻)とは、大葉や赤紫蘇と同じくシソ科の植物で、東南アジアが原産とされています。
大葉と非常によく似た見た目をしているため、見分けるのは至難の業でしょう。
ただ、エゴマは大葉以上に独特の風味を持ち、日本人の中でも好き嫌いが分かれるため、大葉と比べると葉を食用にすることはあまりありません。
最近は韓国料理の普及により生食用のエゴマの流通も増えてきましたが、元々日本では種から油を取るために栽培されていました。
このエゴマ油にはオメガ3(オメガスリー)と呼ばれる人間の体内では作れない栄養素(必須脂肪酸)が豊富に含まれているため、健康食品として注目されています。
ちなみにこの油は熱に弱く、加熱料理には向かないので、他のサラダ油などと混同しないようにしてくださいね。
「バジル」とは?見た目の特徴など
バジルはインドや熱帯アジアが原産とされている植物で、他の三種と同じくシソ科の植物です。
バジルといえば、ピザやパスタなどのイタリア料理のイメージが強いですね。
でも実はアジアが原産地なんです。
しそに比べると、葉の表面や縁がつるんとしていて、食欲をそそるような香ばしい香りが特徴です。
ピザやパスタ、サラダに使う他にも、すり潰したものを調味料と混ぜ合わせて、ジェノベーゼソースとしても使用されます。
冷凍や乾燥させることで保存ができるため、家庭菜園でも育てられることの多い野菜の一つです。
「しそ」「大葉」「エゴマ」「バジル」の違いは?
それぞれの野菜について簡単にご紹介したところで、「しそ」「大葉」「エゴマ」「バジル」の違いを簡単に比べてみましょう。
「しそ」「大葉」「エゴマ」「バジル」の違い
- しそ→シソ科シソ属の植物の総称であり、食用とされる赤紫蘇や青紫蘇のことを指すのが一般的。
葉の縁がギザギザしている他、種類によっては表面が縮れている。
葉の色が赤紫色のものは「赤紫蘇」、青色(緑色)のものは「青紫蘇」と呼ばれる。
赤紫蘇は塩もみして梅干しと一緒に漬けたり、乾燥させたものをふりかけとして使ったりすることが多い。
葉だけではなく花穂や若芽、実も食用として用いられる。 - 大葉→青紫蘇の葉を指す時に使われる別名。
赤紫蘇は生食には向かないが、青紫蘇は生のままでも食べられる。
刺身の付け合わせや天ぷらにして食べられることが多い他、刻んで薬味やドレッシングとしても使える。 - エゴマ→青紫蘇の葉(大葉)とよく似た見た目だが、香りのクセが強い。
韓国料理の付け合わせとして生のエゴマを添えることもあるが、日本では種子から取れるエゴマ油の方が一般的。 - バジル→イタリア料理には欠かせない香味野菜。
葉の表面やふちがつるんとしており、食欲をそそる香ばしい香りを持つ。
ピザやパスタの他、すり潰して調味料などと合わせたジェネベーゼソースとしても使用される。
さいごに
「しそ」「大葉」「エゴマ」「バジル」、どれも独特の風味を持つ野菜ですね。
味付けのバリエーションとしても使える他、食事の彩りとしても大活躍です。
それぞれの違いがわかったところで、ぜひ料理のバリエーションに加えて、楽しんでみてくださいね。