「泡を食うっていうけど、泡っておいしいの?」
驚いたり慌てたりすることを「泡を食う」と言います。
ではなぜ「泡」を「食べる」ことが驚くことになるのでしょう。
今回は「泡を食う」の意味や由来について解説していきます。
日常生活でもこの言葉のような状況は多いので、この機会に知っておくと便利かもしれませんね。
「泡を食う」の意味や語源は?間違い例と正しい例は?「粟を食う」はどう?
「泡を食う」の意味は
- ひどく驚き慌てること
になります。
普通に過ごしているときに予想外のことが起きたり、ショックを受けるなどで慌ててしまい、冷静な判断が出来なくなることを言います。
具体的な状況として、例えば
- 「朝起きたら、いつも学校に行く時間がとっくに過ぎていたんで、大慌てで家を出たらパジャマを着たままだったよ」
このような状況が「泡を食う」になります。
「泡を食う」の「泡」は、「慌(あわ)てる」という動詞の「あわ」に「泡」を当てたものになります。
ちなみに、「慌てる」に「泡」を当てたのは、もともと「あわてる」は「泡立てる」の略とされていました、
ブクブク泡立つ様子が、騒がしく落ち着かないところからいところから転じたと考えられています。
なので、「粟」でも「淡」でもなく「泡」の字があてられたと思われます。
「食う」は格闘ゲームなどで「攻撃を食う(らう)」や、「肩透かしを食う」と同じで、「身に受ける」「こうむる」といった意味になります。
ですので、両方を合わせた「泡を食う」は
- 慌てる事態を身に受ける=ひどく驚き慌てること
を意味するようになりました。
使い方は
例文
- 「誰もいないはずの部屋から人が出てきたので、彼は泡を食って逃げ出した」
- 「お化けが見えたと言って、お風呂から泡を食って出てきた」
と、このように使います。
「驚く」だけではなく、「慌てる」という状況が「泡を食う」になるので、基本的に「泡を食って~した」という表現になります。
そのため、
- 「帰宅したら泥棒と鉢合わせたが、泥棒が泡を食っていた」
という様には使いません。
この場合、
- 「帰宅したら泥棒と鉢合わせたが、泥棒が泡を食って逃げていった」
のように使います。
「泡を食う」の類語、言い回し、対義語は?英語では何ていう?
「泡を食う」と似た意味の言葉に「気が動転する」があります。
「気が動転する」は
- とても驚いて平常心を失うこと、驚き慌てること
という意味になります。
一時的な軽い錯乱状態を意味していて、同じ状況が続くと、ほとんどの人が冷静さを取り戻していきます。
また、若い人が使う言葉として「パニくる」があります。
「パニくる」は「パニック」の動詞化で
- 慌てふためく
という意味になります。
それほどではない場合でも、大げさに使われることもあるので、額面通りに取れない時も多くあります。
「泡を食う」の反対の意味の言葉として「肝が据わる」があります。
「肝が据わる」は
- 落ち着いていてめったなことには驚かない
という意味になります。
「肝」は精神力の強さ、「据わる」はどっしりして落ち着いており、何事にも動じない様子を表しています。
「泡を食う」とは正反対ですね。
ちなみに、「据わる」を「座る」と表記することは間違いになります。
「座る」では、ただ「腰を下ろす」だけの意味になってしまうので、注意してください。
「泡を食う」の英訳としては「be confused」があります。
「be confused」は
- 混乱する
という意味になり
- 「to be confused because of something unexpected」
(思いがけない出来事に混乱する(うろたえる))
のように使います。
また、「to lose one`head」も「泡を食う」の英訳となります。
- 慌てる、度を失う
という意味になり、直訳すると「頭を失う」になり
頭を失う=考えられなくなる=動転する=慌てる
という表現になります。
「泡を食う」と「目を白黒させる」の違いは?
「目を白黒させる」も「泡を食う」とよく似た意味の言葉になります。
ただし「目を白黒させる」の場合、
- 「びっくりする、慌てる」
という意味のほかに
- 「苦しさのあまり目玉を激しく動かす」
という意味があります。
ですので、「目を白黒させる」の場合は
例文
- 「足を骨折したときは、あまりのあまりの痛さに目を白黒させた」
- 「食べ物がのどに詰まり目を白黒させた」
このように、苦痛を伴う驚きなどを表現するときに使用するという違いがあります。
さいごに
「泡を食う」の意味や由来について解説してきました。
ちなみに、「一泡吹かせる」の「泡」も「慌てる」から来ている言葉で、
- 不意を突いて相手を驚き慌てさせること
と、意味も似通っています。
意味からだけでなく、同じ漢字から類似表現を探してみるのも面白いかもしれませんね。