「ゆずりは」という植物がありますが、漢字で書くと、木へんに葉と書く字になります。
また同じ読みで、同じ意味の、「楪」という字もあります。
ではなぜ、「木」、「葉っぱ」といった、同じような意味の文字から成り立っているのでしょう。
今回は、「ゆずりは」の漢字の意味や読み方について解説していきます。
木へんに葉って書いてなんて読むの?苗字や地名での使用例や読み方は?
木へんに「葉」と書く漢字は、訓読みのみで、「ゆずりは」と読みます。
訓読みのみということは、日本だけで使われている漢字になるので、木へんに「葉」と書く漢字は、和製漢字(国字)と言えます。
福岡に、この漢字一文字で「ゆずりは」という苗字の方がいるそうです。
でも、同じ「ゆずりは」という読み方の苗字のほとんどが、「楪」という漢字なんですね。
同様に、「ゆずりは」という地名もありますが、こちらも「楪」という漢字が使われています。
木へんに葉っぱの下の、部分「枼」を書いて「楪」はなんて読むの?苗字や地名での使用や読み方は?
「楪」の読み方は、
- 音読み:ヨウ、チャ、チョウ、ジョウ、ショウ
- 訓読み:ゆずりは
になります。
音読みの場合の意味は、「木製の小さなお皿」という意味です。
つまり、元々中国では「楪」は、木製の小さなお皿を指す漢字でした。
日本では、その漢字の作りから、「ゆずりは」という植物の名前を当てたものと考えられます。
「楪」という漢字を使った苗字は、「ゆずりは」と読むものが、主に広島、福岡、北海道などで確認されています。
また、大阪には、「いずりは」と読む方もいるそうです。
一文字ではありませんが、「楪葉」で「ゆずりは」と読む人が、富山県、長崎県(五島)で確認されています。
地名では、
- 「楪」一文字で、山形、福島、岐阜、愛知、大分
- 「楪葉」の文字で、青森、福島、福岡
などで使われています。
(いずれも読み方は「ゆずりは」です)
「ゆずりは」とは?なぜ「葉」や「枼」なの?漢字の意味や成り立ちをわかりやすく解説
「ゆずりは」とは、本州中部以西の山林に自生している、ユズリハ科の常緑高木のことです。
つまり日本では、この漢字は植物の名前を意味します。
「ゆずりは」の名前の由来は、新しい葉が出てから古い葉が落ちるという生態から、新しい葉にその場所や役割を譲るという意味で、「ゆずりは」と呼ばれるようになったといわれています。
ちなみに、「ゆずりは」は、譲葉とも書きます。
また、葉の中にある主脈がはっきり目立ち、弓の弦のように見えることから、「弓弦葉」(ゆずるは)と呼ばれていたことが由来とも言われています。
いずれにしても、「葉」に特徴のある植物ということで、木の葉の象形を表し、葉を意味する「枼」という字を使い、「楪」という字になったと思われます。
ちなみに、木へんに「葉」と書く漢字は、「楪」の異字体なので、日本での意味は同じになります。
「ゆずりは」とは?どんな植物で何に使われる?
「ゆずりは」は、本州中部以西の山林に自生している、ユズリハ科の常緑高木です。
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ゆっくり成長する特徴があり、木材としても重厚で耐久性があります。
よほどのことがない限り、傷まない木なので、縄文時代には石斧の柄として使われていました。
しかし現在では、木材としてはほとんど使われていません。
新しい葉が出てから古い葉が落ちるという生態から、世代交代、若返り、譲渡、新生などといった花言葉があり、縁起の良い植物とも言われています。
そのため、正月飾りや、
- 卒業する人
- 心機一転再スタートを切る人
- いつまでも若々しくいて欲しい人
などに贈られることもあります。
また、
- 縁起のよい木ということから、庭木や記念樹
- 常緑樹で葉に厚みがあることから、防火樹
としても使われてます。
さいごに
以上、木へんに「葉」と書く漢字の意味や読み方について解説してきました。
漢字一文字の珍しい苗字は、他にも
- 鰻(うなぎ)
- 甕(もたい、かめ、おう、よう、つるべ)
- 七(さとる、なな)
- 野(の)
など多数あります。
色々と探してみるのも面白いかもしれませんね。
ちなみに、木へんに「葉」と書く漢字は、苗字では使えますが、法律上、下の名前としては使えないそうです。