「承知しました」は、「わかりました」という気持ちを表す敬語表現です。
ビジネスシーンでは毎日のように使われる、使い勝手の良いフレーズですね。
また、「了解しました」も同じような意味になり、これも使い勝手の良いフレーズですので、どちらの表現を使うか迷うのではないでしょうか。
そこで今回は、「承知しました」の使い方について、わかりやすく解説していきます。
「承知しました」に違和感がある理由は?どんな具体例がある?
「承知しました」は、「分かりました」をより丁寧に言い換えた言葉で、ビジネスシーンでも使える敬語表現です。
しかし、使う相手や言葉のイメージで違和感を感じる場合があります。
一つは、部下もしくは同僚に使う場合です。
例えば、部下から、「明日の会議は来月に変更になりました」という連絡に対して、「変更の件、承知しました」と返事をした場合、少し違和感があります。
これは、「承知しました」が、謙譲語に当たる言葉になるためです。
謙譲語は、自分の地位を低めて相手を立てる言葉です。
基本的に、目下の人が目上の人に対して使う言葉になります。
ですので、「承知しました」を部下や同僚に使うと、違和感を感じてしまいます。
また、「承知」の持つ意味によって、違和感を感じる場合があります。
「承知」には、依頼、要求などを受け入れるという意味があります。
そのため「承知しました」は、相手の依頼や要求に応じる意思を伝えるといった時に使われます。
ただし、「承知」には、事情などをすでに知っていること、分かっていることという意味もあります。
また、言われるまでもなく、十分知っているという意味の、「百も承知」という言葉もあります。
そのため、「承知しました」が「言われなくても分かってます」と言うイメージでとらえられ、違和感を感じるようになるのです。
他にも、使う人の年代によっても、違和感を感じる人がいます。
「承知しました」と同じような意味を持つ言葉に、「了解しました」があります。
以前はどちらもビジネスシーンで使われていました。
しかし、2010年頃に、目上の人に「了解しました」は不適切なので、「承知しました」を使うべきとのマナーが広まりました。
本来、「了解しました」もビジネスマナーとして問題はないので、現在ではどちらも使われていますが、「了解しました」が不適切と言われていた時期にマナーを学んだ世代の人が、こだわって「承知しました」を使うことに対し、違和感を感じる人もいるようです。
「承知しました」と「了解しました」との違いは?
「承知」も「了解」も、内容や事情を理解するという意味を持ちます。
ただし、「承知」の場合は、理解し許す、要求などを受け入れるという意味になります。
ですので、「承知しました」は、内容や事情を理解して受け入れましたということになります。
一方、「了解」は、理解し承認するという意味です。
ですので「了解しました」は、内容や事情を理解しましたということになります。
つまり、「承知しました」と「了解しました」は、相手の内容や事情を、
- 理解して受け入れてくれる→「承知」
- 理解するだけ→「了解」
この違いになります。
「承知しました」と「了解しました」の使い方と使い分けは?
「承知しました」も「了解しました」も、相手の言ったことに対して、「わかりました」ということを示すときに使います。
ただし
- 「承知しました」は、相手の依頼や希望などを、聞き入れる場面
- 「了解しました」は、理解したことを表す場面
に用います。
例えば、相手から商品の金額変更の依頼が来た場合は、以下のように使い分けます。
「承知しました」と「了解しました」の使い分け
- 変更を受け入れる場合 → 「金額変更の件、承知しました」
- 変更を受け入れるか分からないが、内容を理解したことを伝える場合 → 「金額変更の件、了解しました」
また、
- 目上の人 → 「承知しました」
- 同僚や目下の人 → 「了解しました」
と使うことが、一般的なマナーとされています。
ただし、これは本来どちらを使っても、問題ないのですが、受け取る人によっては、不快感を覚える場合があるので、相手との距離感を見て使い分けた方がいいかもしれませんね。
「承知しました」の言い換え!上司や目上の人、部下にはどう言う?
「承知しました」の言い換えに、「かしこまりました」があります。
「かしこまる」には、身分の高い人の前で謹みをあらわすという意味があります。
よって、依頼などを受け入れる意を表す丁寧な言い方として使います。
ですので、上司や目上の人に対して用いられます。
同僚や部下に対しては、「了承しました」を用います。
「了承しました」は、納得/承諾することを意味する丁寧語になります。
「了承」は、物事に対して、「同意する」というニュアンスになるので、少し上から目線のような感じになります。
ですので、目上の人には失礼に当たるため、同僚や部下に対して使います。
さいごに
以上、「承知しました」の使い方について解説してきました。
謙譲語で丁寧な表現なので、ビジネスシーンでは重宝されますが、状況によっては不自然になったり、違和感を感じたりしてしまいます。
正しい意味を理解して、時と場合、相手によって使い分けられるようにしてくださいね。