日本語には、同じ読み方でも漢字が違うと意味合いが違ってきてしまう、同音異義語がたくさんあります。
分かっているつもりでも、いざとなると「あれ、どっちの漢字だったかな」と迷ってしまいますよね。
その中でも間違いやすいものの一つが「つとめる」です。
漢字検定や入試にもよく使われるので、あなたも苦い思いをしたこともあると思います。
そんな「つとめる」の漢字はどれを使えばいいの?といったあなたの悩みをこの記事を読んで解決しましょう。
方法として一番わかりやすいのは、それぞれの漢字の意味を理解し熟語を覚えておくことです。
これから、それぞれの漢字の意味や例文を交えて使い方を説明していきますので最後までご覧くださいね。
務めるの意味と使い方の例
務を使った熟語には、
- 総務
- 事務
- 財務
- 専務
- 常務
- 政務
のような、決まった職質や職務に対して使われることが多いです。
また、務めるの意味は「ある役割や役目を引き受け、それを行うこと」となっています。
使い方の例としては
- 結婚式で司会を務めてくれと頼まれました。
- プロジェクトのリーダーを務めるよう言われた。
- 課長職を務めるのも楽じゃないですね。
- 新しいドラマで主役を務めることになりました。
等があります。
つまり、「務める」を用いるのは、自分が与えられた役割や職務等を果たす仕事を行う時に使用するということになります。
努めるの意味と使い方の例
努がつく熟語としては「努力」、これ一つ覚えておくだけで十分だと思います。
「努」という字はもともと、力を尽くして働く奴隷を意味していて、そこから一生懸命力を尽くして行うことを「努力する」というようになりました。
また、努めるの意味は「精を出して仕事をする・努力して事を行う」又は、「無理をしたり、我慢して行う」となっています。
例文としては
- 成績を上げるため勉強に努める。
- 今よりもサービスの向上に努めていきます
- 健康のため体重の維持に努めていきたい
- 諸問題の解決に努めてまいります。
等があります。
つまり「努める」は、自分のためや人のためなどに、力を尽くし精いっぱい努力する時に用いるということになります。
勤めるの意味と使い方の例
勤のつく熟語としては、
- 通勤
- 勤務
- 出勤
- 退勤
- 夜勤
など、会社や仕事に関係に関して使われることが多いです。
さらに、勤めるの意味は「職に就く・官庁、会社などで職員として働く・勤務する」と、会社で仕事をすること、そのものになります。
勤めるの使い方の例は
- 私は学校に勤めています。
- 最近勤めに出ることが多くなった
- 私の夢は大手企業に勤めることだ
- 何度も勤め先を変わった
等になります。
ただし、勤めるには「仏道に励む・仏事を営む」という意味もあるので
法事を勤めることになった
といった場合にも使います。
いずれにしても「勤める」は、会社などに雇われ仕事を行う時に使用する漢字ということになり
ます。
また「務める」も仕事に関するときに使いますが、こちらは役割や職務に対して使われ、「勤める」は会社や職場に対して使われるという違いがあります。
勉めるの意味と使い方の例
結論から言うと、「勉める」は「努める」の常用外漢字になります。
なので意味の方も「精を出して仕事をする・努力して事を行う」と、「努める」と同じになります。
勉のつく熟語としては、
- 勉強
- 勤勉
- 勉学
等、学習や努力するようなものに関してよく使われます。
勉めるの例文は、
- 試験に備え勉強に勉める。
- 体を治すため療養に勉める。
- 夢の現実に勉める。
等、「努める」と変わらない使い方になります。
あえて違いを探すのなら、「勉」の成り立ちは、新生児が生まれ出るところを表した「免」
と、力強い腕を表した「力」を合わせたものなので、前向きに力を出すイメージになりま
す。
一方、「努」は力を尽くして働く奴隷を表しているので、無理やり力を出すようにさせられているイメージになります。
ですので、「勉める」はポジティブ・「努める」はネガティブな意味とも言えますが、いずれにしても一般的には常用漢字の「努める」を使用するので、無理に「勉める」を使用する必要はありません。
孜めるの意味と使い方の例
結論からいうと、「孜める」に関してはほぼ覚える必要はないです。
「孜」には「一生懸命つとめる、集中する」等「努」と同じ様な意味があるからです。
孜孜忽忽(目標に向かって努力すること)や、孜孜不倦(嫌な気分でもやめずに努力すること)という熟語もありますが、日常ではほぼ使うことはありません。
ただ、前向きな意味を持つ字なので、元総理大臣の羽田孜さんのように、名前に使われたりすることはよくあります。
ですので、「孜める」を使用する機会はほぼ無く、「努める」を使用していれば問題ないです。
劭めるの意味と使い方の例
「劭める」に関しても「孜める」同様、日常的にはほぼ使用することは無いので(漢字検定一級レベルの難読漢字です)、覚える必要はないです。
「劭」には「つとめる・はげむ・努力する」以外に「うつくしい・うるわしい」等の意味がありますが、「孜」と違い名前に使われることはほとんどありません。
例文に関しても、ほとんど見かけることはありません。
意味的には「努める」と同様なので、そちらを使用すれば問題ありません。
「つとめる」の漢字の使い分けと簡単な覚え方は?
以上6種類の「つとめる」を解説しましたが、実際に覚えるのは「務める」「努める」「勤
める」の3種類でいいと考えます。
それぞれの使い分け方は
- 「務める」・・・与えられた役割や職務を果たす時
- 「努める」(「勉める」)・・・自分や人のために努力して力を尽くした時
- 「勤める」・・・会社等に雇われ仕事を行う時(勉める・孜める・劭めるは「努める」と同じになります)
となります。
もっと簡単に覚えたい場合は、それぞれの漢字を使った熟語から連想するのがいいですね。
- 「任務」
- 「努力」
- 「出勤」
の3つあれば十分ではないでしょうか。
まとめ
以上「つとめる」に関して解説してきました。
改めて調べてみると、「つとめる」だけでも、これだけ多くの種類と使われ方がありました。
漢字の使い分けは入試だけでなく、様々な試験やビジネスシーンでもよく使われます。
年を取ってから恥をかかないように、頭の柔らかいうちからたくさんの文章を読んだり書いたりして、使い方に慣れておくことも必要かもしれませんね。