「かかる」を漢字で書くと、種類が多数あります。
中でも、一般的によく使われるのは、
- 「係る」
- 「架かる」
- 「掛かる」
- 「懸かる」
になり、それぞれ違った意味や使い方になります。
「かかる」の漢字を使い分けるとなると、ちょっと難しそうですね。
そこで今回は、「かかる」漢字の使い分けについて、覚え方やコツをわかりやすく解説していきます。
「かかる」を漢字で書くと?どんな種類がある?
「かかる」と読む漢字には、以下のものがあります。
「かかる」と読む漢字一覧
- かか(る)【送り仮名が「る」】
- 「係る」
- 「憑る」
- 「慿る」
- 「罹る」
- 「離る」
- か(かる)【送り仮名が「かる」】
- 「架かる」
- 「恁かる」
- 「掛かる」
- 「斯かる」
- 「繋かる」
- 「繫かる」
- 「懸かる」
- 「攣かる」
こんなにもあります。
めちゃくちゃ多いですね。
この中で常用漢字は、「係」「離」「架」「掛」「懸」です。
ただし、「離」に関しては、漢字は常用漢字ですが、「かかる」という読み方は、常用漢字表にない読み方です。
(一般的な訓読みは「はな(す)「はな(れる)」)
ですので、一般的に「かかる」の漢字でよく使われるのは、
- 「係る」
- 「架かる」
- 「掛かる」
- 「懸かる」
になります。
だいぶ絞られてきましたね。
最終的にこの4つの「かかる」を覚えておけば、ほぼ大丈夫ですよ。
「かかる」の漢字!使い分けは難しい?コツや覚え方を例文で解説!
「かかる」の漢字には多くの種類があります。
でも「掛かる」以外の漢字は、使われる場面が限られているという違いがあります。
まずは、「係る」です。
「係る」の例文
- 「人の生死に係る問題だ」
- 「こちらは申請に係る書類です。」
このように、
- 物事がかかわること
- 関係を持つこと
を表す時に使う言葉になります。
「優勝が係る試合」(重大な結果につながる)
「壁に絵が係る」(ものを引っかける、ぶら下げる)
次は「架かる」の場合です。
「架かる」の例文
- 「道路に歩道橋が架かりました。」
- 「渓谷に架かるあのつり橋を渡りましょう。」
このように、一方から他方へ物を渡すといったことを表す時に使う言葉です。
ですので、以下のような使い方は間違いです。
「椅子に寄り架かる」(他から作用・動作が及ぶ)
「空に月が架かる」(中空にある)
「事件に架かる情報を手にした」(関係する)
このような使い方はできません。
次は「懸かる」の場合です。
「懸かる」の例文
- 「山頂に雲が懸かっています。」
- 「期待が懸かる場面で見事ヒットを打った。」
このように「懸かる」は、
- 中空にある
- 重大な結果につながる
といったことを表す時に使う言葉です。
ですので、以下のような使い方は間違いです。
「車のブレーキが懸る」(他から作用・動作が及ぶ)
「ビルの間に連絡通路が懸っている」(他方へかけ渡す)
「健康被害に懸かる調査結果」(関係する)
このような使い方はできません。
そして最後に、「掛かる」です。
「掛かる」の基本的な意味は、ひっかける、ぶら下げるになりますが、他にも
- 作用、影響が及ぶ
- 時間や労力などを必要とする
- 費やす
- 高いところに位置する
- 心に留める
など、さまざまな使い方が出来るのが特徴になります。
ですので、使い分けに迷った場合は、「掛かる」もしくは、ひらがなで「かかる」を使えば問題ありませんよ。
ただし、病気の場合は、「罹患」(病気にかかる)という言葉もあるように、「病気に罹る」という表現になります。
ちなみに「かける」と「かかる」は自動詞と他動詞の関係です。
「かける」の漢字の使い分けも合わせて覚えておくと便利ですよ。
よろしければ、こちらの記事も参考になさってくださいね。
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「時間」「費用」「病気」「負担」「お前に」にはどの「かかる」が使われる?
「かかる」の漢字。使い分けのコツがわかったところで、例題で練習してみましょう。
例題1:時間が「かかる」
「時間がかかる」を漢字で書くとどうなりますか?
「時間を費やす」という意味なので、「掛かる」が正解です。
例題2:費用が「かかる」
「費用がかかる」を漢字で書くとどうなりますか?
お金を費やすという意味なので、「掛かる」が正解です。
例題3:病気に「かかる」
「病気にかかる」を漢字で書くとどうなりますか?
病気に罹患するという意味になるので、「罹る」が正解です。
例題4:負担が「かかる」
「負担がかかる」を漢字で書くとどうなりますか?
好ましくないことが自身に影響するという意味になるので、「掛かる」が正解です。
例題5:お前に「かかっている」
「お前にかかっている」を漢字で書くとどうなりますか?
期待がかかっているという意味になるので、「懸かっている」が正解です。
さいごに
以上、「かかる」漢字の使い分けについて解説してきました。
「かかる」の使い分けは、判断しづらいニュアンスのものが多くあります。
迷った場合は、
- 「掛かる」
- ひらがなで「かかる」
どちらかを使うようにしてください。