「その旨」って「そのむね」と読むんですね。
「そのうま」と読んでいる人をけっこう見かけます。
「その旨をお伝えください」「その旨承知しました」といった言葉は、社会人になるとよく耳にします。
実際に使っている人も多いと思いますが、本当に正確に使用しているのでしょうか。
ここでは、「旨を伝える」の意味や読み方、使い方などを、詳しく解説していきます。
間違った使い方をしない様に、しっかり確認してください。
「その旨を伝える」の意味や読み方は?間違い例と正しい例は?「うま」「しゅ」「し」「ぬし」「胸」「主」「趣」ではありません
「その旨を伝える」は
「そのむねをつたえる」
と読みます。「うま」ではありません。
「旨」には他にも、
- 美味しい、味が良いという意味の 「うま(い)」
という読み方や、
- 「旨意」「要旨」「趣旨」など、考えの内容を意味する熟語としての場合の 「し」→(しい)(ようし)(しゅし)
という読み方があります。
「旨(むね)」という読み方の場合
- 中心となるもの、重要なもの
- 述べた事の中心
という意味を持ちます。
なので、「その旨を伝える」は
- 「自分の考えや物事の内容を相手に伝える」
という意味になります。
「うまをつたえる」や「しをつたえる」では意味が通じなくなってしまいますね。
「旨(むね)」の使い方としては、主に
- 同じ言葉を繰り返すことを避けるとき、長くなる文章を短縮するとき
に使用します。
例えば、
例文
「人身事故で電車が止まっており、約束の時間までに到着するのは難しいかと思われますので、恐縮ですが、担当の方にお伝え願いますでしょうか」
「承知しました。その旨担当の方に伝えておきます」
という文章があります。
この場合、「その旨」には
- 人身事故で電車が止まっている
- 約束の時間に間に合わない
という意味が含まれており、
- 同じことを繰り返さず、分かりやすい文章に短縮する
という役割を果たしています。
そのため、「その旨」を使う場合は必ず
- 「その」が指す内容
が無いと文章が成り立たなくなります。
つまり、何の前置きもないのに、
- 「その旨お伝えください」
- 「その旨承知しました」
だけでは使えません。
また、「その旨」を頻繁に使い過ぎると、何を伝えたいかあいまいになり、相手に意味が伝わりづらくなるので、
- 使用は最小限に
抑えることが大切です。
「旨を伝える」は敬語?ビジネスメールでの使い方は?例文でわかりやすく解説
「旨」は「その旨」や「~の旨」といった形でよく使われ、ビジネスシーンで頻繁に用いられる表現です。
「その旨」や「~の旨」自体は敬語ではありませんが、丁寧でかしこまった表現なので
- 目上の人に使っても失礼のない表現
になります。
ただしその場合、
例文
- 「もしも不備がありましたら、お手数ですがその旨をお伝えください」
- 「明日は会合にご参加いただけるということですので、その旨を担当に伝えておきます」
などのように、
- その前後に適当な敬語を使用する
ようにしましょう。
ちなみにこの例文の場合、最初の文は
- 不備があった場合は自分に伝えて欲しいという意味
二つ目の例文は
- ここには居ない第三者(この場合担当者)に伝えておくという意味
になります。
「その旨」には「その旨を伝える」以外にも、ビジネスシーンでよく用いられる使い方が幾つかあります。
「その旨承知しました」
相手から伝達があった場合、
- そのことについて「理解しました」
ということを伝える場合に使われます。
例文
「その旨承知しました。再度確認しまして明日には提出できると思います」
といった使い方をします。
「その旨お知らせください」
こちらは、
- 内容や考えを聞きたいとき
に使われます。
例文
「筆談を希望される場合は、その旨お知らせください」
のように用い、
- 「筆談を希望する意思がある場合は伝えて下さい」
といった意味になります。
「その旨ご了承ください」
こちらは、
- 予め知っておいてもらいたいことを丁寧に伝えたいとき
に使われます。
例文
「当日は状況に応じ、行先変更の可能性がありますので、その旨ご了承ください」
といったように用います。
「その旨お申し付けください」
こちらは、
- 伝えたいことがあれば伝えて下さい
といった意味を持ちます。
例文
「ご用がありましたら、フロントの方にその旨お申し付けください」
のように使われます。
「その旨ご返信ください」
こちらは、
- 相手に対し何かアクションを求めるとき
に使用します。
例文
「当日のスケジュールを確認しましたら、その旨ご返信ください」
「当日の予定が決まりましたら、その旨ご返信ください」
のように使います。
最初の例文の場合は
- スケジュールを確認したという内容を返信
次の例文は
- 当日の予定についてを返信
します。
「旨を伝える」の類語、言い換えは?英語では何ていう?
「旨を伝える」という表現は、基本的にビジネスシーンで使われるので、日常生活の中では少し堅苦しく感じられます。
相手に柔らかく伝えたい場合は、類義語を使って言い換えるのがいいでしょう。
言い換えの一つ目は
- 「そのことについて」
になります。
例文
「次回お会いしたときに、その旨話しあいましょう」→ 「次に会ったときに、そのことについて話し合いましょう」
となります。
言い換えのもう一つは
- 「今話した内容」
になります。
例文
「その旨、確かに確認いたしました」→ 「今の話の内容、確かに確認しました」
となります。
どちらも、ビジネスシーンで使えないことはありませんが、「その旨」よりは砕けた表現になるので、あえて言い換える必要はありません。
「その旨」の英語表現として一般的なものは
- 「to that effect」
になり、英語の契約書などで多用されています。
単語それぞれには「その旨」につながる意味はないので、「to that effect」のセットで「その旨」という意味になります。
ですので、「その旨をお伝えください」の英語表記は
- 「Please pass on my message to that effect」
という形になります。
「その旨を伝えるの意味」のさいごに
「旨を伝える」の意味や読み方、使い方などを解説してきました。
「その旨を〜」は、ビジネスシーンでは頻繁に使われます。
まとめ
- 旨はむねと読む。
- 旨には考えている事や物事の内容という意味がある。
- 旨を伝えるはその考えや物事を
誰かに伝えるという意味の文章。
旨を伝えるという言葉は普段の生活でも、よく耳にすることがあります。
書面・メール・口頭等、どの様な場面でも使えますので、うまく活用して、相手とのコミュニケーションを円滑にしてくださいね。