「人は無意識のうちに、他人にレッテルを貼ってしまいがちです。」
と、日常でこの「レッテルを貼る」という言葉をよく耳にします。
そもそも「レッテル」とはどのような意味なのでしょう?
なぜ「ラベル」ではないんでしょう?
今回は、「レッテルを貼る」の意味や由来について、わかりやすく解説していきます。
ちなみに今回のように、使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「レッテルを貼る」の意味や由来は?例文で解説
「レッテルを貼る」とは、ある人物や物事などに対し一方的に評価を付ける事を意味する言葉です。
例えば、初対面の人の顔がものすごく怖い顔だったとします。
この時先入観で、「あの人は怖い人」という評価を一方的に付けてしまう行為が、
- 「レッテルを貼る」
になります。
レッテルを貼るの例文
- 「彼は簡単なミスが多いので、ダメな奴だとレッテルを貼られている」
- 「髪の毛の色が茶色いだけで、不良のレッテルを貼られた」
などのように、基本的に、ネガティブな意味として使われます。
「レッテルを貼る」の「レッテル」は、オランダ語で、文字、商標や商品に付ける札、タグという意味を表す、
- 「letter」
が語源になります。
そこから、
- 「商品の目印として付ける札」
- →「性質や特徴について一面的に評価したもの」
- →「ある人物や物事などに対し一方的に評価を付ける事」
となったのが、「レッテルを貼る」の由来になります。
「レッテルを貼る」英語ではなんて言う?
「レッテルを貼る」は英語で、
- 「to label as ~」
という表現になります。
オランダ語の「letter」が意味する、文字、商標や商品に付ける札、タグは英語にすると
- 「label」
になるので、英訳する場合は、「letter」ではなく「label」という表現になります。
明治時代では、商標や商品に付ける札やタグを表す言葉として、「レッテル」が用いられていました。
ですので、日本では「一方的に評価を付ける事」を、「ラベル」ではなく「レッテル」を使うようになりました。
「レッテルを貼る」の言い換えや間違った使い方は?例文も
「レッテルを貼る」の言い換えとしては、
- 「烙印を押す」
があります。
「勝手な決めつけで汚名を着せること」という意味があります。
烙印を押すの例文
一度失敗しただけで、『無能』の烙印を押されてしまった
このように使います。
「レッテルを貼る」よりも強い決めつけに対して用いられます。
また、
- 「色眼鏡で見る」
も「レッテルを貼る」の言い換えになります。
「先入観をもって偏ったものの見方をする」という意味です。
色眼鏡で見るの例文
男だから、女だからと人を色眼鏡で見るのは古い考え方だ
このように使います。
他にも、
- 「偏見」(偏った見方)
- 「フィルターをかける」(物事を判断するときに、イメージや第一印象に左右される)
などが、言い換えとしてあります。
「レッテルを貼る」の間違った使い方は、
レッテルを貼るの誤用例
彼女の作ったお菓子は美味しいというレッテルを貼られている
このように、良い意味で使うことは間違いになります。
良い意味で使う場合は、
- 「折り紙付き」
- 「太鼓判を押す」
などを使いましょう。
「レッテル」と「スティグマ」「ラベリング」の違いは?
「スティグマ」の場合も、「レッテル」と同様ネガティブな意味で使われます。
しかし、個人の持つ特徴に対し、差別や偏見など否定的な意味づけをされ不当な扱いを受けることという違いがあります。
具体的には、精神疾患、HIV、LGBTQのような、社会的に立場の弱い人に対する「差別」や「偏見」のことを言います。
「レッテル」の場合は、一方的でネガティブな評価のみで使うのに対し、「ラベリング」は一方的に評価するが、
- 「仕事の出来る人」↔「仕事の出来ない人」
- 「足の速い人」↔「足の遅い人」
のように、ネガティブだけでなく単に分類する用語として使われます。
「独断」「偏見」「固定観念」「先入観」「ステレオタイプ」の違いは?意味や使い分けを例文で解説
なや美 「独断」「偏見」「固定観念」「先入観」「ステレオタイプ」ってよく聞きますが、どういった違いがあるのですか? 確かに似ているけど、それぞれ意味が違うから、今から説明するね はなまる ...
続きを見る
「持論」「自論」「偏見」の違いは?意味や使い分けを例文で解説
自分の考え方を主張する機会は度々訪れます。 会社での会議や集会はもちろん、定期的に行われる選挙も、自身の意見や見解に近い人へ投票を行うため、ある意味持論を主張する場と言えるでしょう。 自分の考え方を主 ...
続きを見る
さいごに
以上、「レッテルを貼る」について解説してきました。
日常生活で、つい他人にレッテルを貼ってしまうことが多いと思います。
見かけだけで判断しないよう、気を付けて人とかかわってください。