「噴飯もの(ふんぱんもの)」という言葉を、腹立たしいという意味で使っている人が、約50%近くもいるそうです。
実はこれは誤った使い方になります。
本来の意味はどの様なものになるのでしょう。
正しい使い方と間違った使い方を、どちらも理解しておけば、困ることはありませんよ。
そこで今回は、「噴飯もの」の読み方や使い方について解説していきます。
ちなみに今回のように、使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「噴飯もの」の意味や読み方は?例文で解説
「噴飯もの」は、「ふんぱんもの」と読み、おかしくてたまらない出来事・様子という意味で使われます。
例えば、
「噴飯もの」の例文1
「あのお笑い芸人のギャグは噴飯ものだ」
という場合は、「あのお笑い芸人のギャグは本当に面白くて笑ってしまう」という意味になります。
ただし、最近では、
「噴飯もの」の例文2
- 「脱税で摘発された政治家が、政治浄化を語るなど噴飯ものです」
- 「人の失敗を散々バカにしていたのに、同じ失敗をするなんて噴飯ものだ」
などのように、
- 笑いものになるようなみっともない事柄
- 軽蔑の意味を込めた笑い
のようなニュアンスで使われることが多くなっています。
ですので、先ほどの例文、あのお笑い芸人のギャグは噴飯ものだ」も、「あのお笑い芸人のギャグは笑ってしまうほどひどい」というニュアンスで使われる場合もあるので、注意が必要です。
「噴飯もの」の由来や語源は?
「噴飯もの」の由来は、その字の通り、人がご飯を口から噴き出す様子を言葉にしたものになります。
ご飯を口から噴き出すというのは、どの様な状況でしょう。
あなたも、学校の給食で牛乳を飲んでいるときに、笑わされて噴き出してしまった経験があるのではないでしょうか?
その様に、笑い過ぎて、口の中の食べ物などを噴き出してしまうほど、おかしくてたまらないという状況が、「噴飯もの」の語源となっています。
「噴飯もの」英語ではなんて言う?
「噴飯もの」は英語では、「be quite absurd」と訳されます。
「absurd」は、
- 「ばかげた」
- 「こっけいな」
といった意味になります。
そこに、形容詞の「quite」を付けて、「本当にばかばかしい」という意味で使われます。
現在、「噴飯もの」意味として多く使われる、笑いものになるようなみっともない事柄としては近い表現になります。
しかし、もともとの意味である、おかしくてたまらない出来事・様子としては、
- 「I couldn’t help but laugh(笑わずにはいられなかった)」
という表現の方が近いかもしれません。
「噴飯もの」の言い換えや間違った使い方は?例文も
「噴飯もの」の言い換えとしては、
- 「片腹痛い」:他人が実力以上の事を行っているのが滑稽で苦々しく思うさま
- (この成績で合格できると思うなんて片腹痛いわ)
- 「ちゃんちゃらおかしい」:身の程知らずな他者の行いがあまりにばかげていて笑ってしまうさま
- (その実力でプロを目指すなんてちゃんちゃらおかしい)
- 「笑止千万」:とてもくだらなくて滑稽であるさま
- (食いしん坊の君が断食をするなんて笑止千万な話だ)
などがあります。
これらは「噴飯もの」の、「軽蔑の意味を込めた笑い」といった意味での言い換えになります。
本来の、「おかしくてたまらない出来事・様子」と言った意味での言い換えの場合は、
- 「吹き出す」:こらえきれずに笑いだす
- (彼の話は面白過ぎてつい吹き出してしまった)
- 「愉快」:楽しく気持ちのいい事
- (彼は本当に愉快な人です)
などになります。
この様に「噴飯もの」は、軽蔑の意味としても、そのままの意味としても、吹き出して笑うということを表しています。
しかし、最近では、
「噴飯もの」の誤用例
「A君のした行いはとても卑怯で実に噴飯ものだ」
このように、腹立たしくて仕方ないことという意味と、誤用して使われることが多くなっています。
これは、「噴」という字が、腹を立てる、怒ると言った意味の、「憤(いきどお)る」という漢字に似ているためです。
- 怒りが発散できずにイライラすること
- 腹が立ってどうにも我慢できない気持ち
と言った意味の、「憤懣(ふんまん)」が、字も読みも似ている、と言ったようなところから、誤用されるようになったのではと考えられます。
「噴飯もの」と「へそで茶を沸かす」の違いは?
「へそで茶を沸かす」は、
- おかしくてたまらない
- ばかばかしくてしょうがない
という意味になります。
「噴飯もの」と同じような意味になりますが、「噴飯もの」と、少しニュアンスが違います。
「へそで茶を沸かす」の例文
- 「彼女が君のプロポーズを受けるなんて、へそで茶を沸かす様なものだ」
- 「へそで茶を沸かすような話ばかりしないで、実力にあった計画を立てなさい」
このように、嘲りや、からかい、皮肉の意味の笑い(嘲笑)として使われます。
「噴飯もの」のように、単におかしくて笑うという意味で使うことはありません。
さいごに
以上、「噴飯もの」の読み方や使い方について解説してきました。
半数以上の人が間違った使い方をしている言葉なので、この機会に正しい使い方を覚えてみて下さいね。