「ボディメカニクスってどういう意味?」
「なぜ水平移動する必要があるのだろう?」
ボディメカニクスって言われても、いつ、どのように使えば効果的なのか迷ってしまう。
分かります。
私も新人介護士の頃は、ボディメカニクスの考え方なんて分かりませんでした。
でも大丈夫です。
ボディメカニクスって、あなたと要介助者の体の負担を減らす画期的な考え方なのです。
これからお話しすることに目を通していただければ、あなたもボディメカニクスに対する知識がつきます。
それによって、腰痛予防が出来て、無駄な疲労を避けられるようになります。
それでは、ボディメカニクスや水平移動についてお話ししていきますね。
ボディメカニクスとは?意味を簡単に解説
ボディメカニクスとは、最小限の力で介護ができる介護技術を意味します。
力任せに介助するのでは、介助する側もされる側も負担が大きくなります。
そこで人間の関節や筋肉、骨が動作する時の力学的関係を利用します。
人間の体の自然な動きを生かし、その上で、てこの原理や重力を使った介助をします。
そうすることで体に負担をかけない介助をすることが出来るのです。
水平移動する根拠は?
なぜ水平移動するのでしょうか?
その理由とは、介助する側も介助される側も安全だからです。
具体的には以下のようなことになります。
- 介助する側の腰への負担が少ないから
- 介助される側が宙に浮かないために安心できるから
それぞれ説明しますね。
水平移動をする根拠1:介助する側の腰への負担が少ないから
水平移動することによって、介助する側の腰への負担は軽くなるのです。
介助というと、持ち上げる動作を思い浮かべることでしょう。
でも、水平移動することによって、持ち上げる必要がありません。
持ち上げない移動をするので、重力の影響を受けなくなります。
そのため、無駄な力を必要とせず、腰への負担は軽くなるのです。
水平移動をする根拠2:介助される側が宙に浮かないため安心できるから
介助される側も、身体が宙に浮かないために安心できます。
もし身体が宙に浮いたら、あなたも不安になるでしょう。
宙に浮くと、落とされたりするといった恐れを感じます。
しかし、水平移動ならば、ほぼ浮かないのです。
そのため、介助される側も安心します。
水平移動のコツや注意点は?
水平移動するうえでのコツや注意点は以下の通りです。
- 水平移動する際には押すのではなく引き寄せる
- 移動する対象の身体を小さくまとめる
- 声かけをする
それぞれ説明しますね。
水平移動のコツ1:水平移動する際には押すのではなく引き寄せる
水平移動する際には押してはいけません。
引き寄せるのです。
なぜなら押そうとすると、前に向かって力が分散するからです。
逆に手前に引こうとすると、力が自分の方に集中しまとまります。
また、手前に引く場合は自分の体重をかけられ、意外と力を必要としません。
例えば床に置かれてある重い荷物を想像してみてください。
押すのと引くのとでは、どちらが楽でしょうか?
おそらく引くほうが楽でしょう。
よって、水平移動する際には引き寄せるように心がけましょう。
水平移動のコツ2:水平移動する対象の身体を小さくまとめる
水平移動する対象の身体を小さくまとめましょう。
足を立ててもらい、腕は体の前で組んでもらうのです。
なぜなら、水平移動する際に対象の身体は接地面と摩擦し抵抗が生じるからです
身体を小さくまとめることにより、少しでも摩擦抵抗を抑えることができるのです。
例えば同じ重さの大小の荷物を想像してみてください。
大きい荷物も小さい荷物も、同じ重さにも関わらず、小さい荷物の方が動かしやすいのではないでしょうか。
よって、水平移動の際には身体を小さくまとめることが重要です。
水平移動のコツ3:声かけをする
水平移動する際には、今からする旨を伝えましょう。
介護全般に言えることですが、声かけは重要です。
なぜなら、今から何をするのかわからないと、介護される側は怖いでしょうし、抵抗される恐れもあるからです。
そうなると、余計な力も必要になります。
また、介助する側もされる側も怪我をする恐れがあります。
よって、必ず今から水平移動することを伝えましょう。
さいごに
いかがでしょうか。
介護において、ボディメカニクスは切っても切れない関係です。
介護をする上では、いかに無駄な力を行使しないかが重要になります。
小さな力で適切な動きをすることにより、あなたの体への負担を軽減できます。
また、介助される側の安心にもつながります。
いいことずくめなのです。
ぜひボディメカニクスをマスターして、適切な介助を続けていってくださいね。