「ガイド」「ガイドライン」「ガイダンス」「オリエンテーション」という言葉は、仕事や日常でもよく使われます。
どれも、導くや案内するといったような意味にとられがちですが、それぞれ使い方も意味も違いがあります。
今回は例文を交えながら、「ガイド」「ガイドライン」「ガイダンス」「オリエンテーション」の使い分け方を解説していきます。
ぜひ参考にしてみて下さい。
「ガイド」の意味と使い方の例
「ガイド」には
- 案内する、先導する。
- 案内人
- 案内書、手引き。
といった意味があります。
ツアーガイド・バスガイド・ガイドブック・音声ガイドなど、今ではあなたも日本語感覚で使っているのではないでしょうか。
ただし、英語で「guide」を使う場合は、一緒に目的地へ行ったり、おすすめスポットを教えてくれたりする等の「案内する」というニュアンスになります。
- 団体旅行の案内をするような少しフォーマルな場合は「conduct」
ツアーコンダクターの「コンダクト」ですね。 - 付き添って案内をする、地図で示す等の「案内」の場合は「show」
見せるの意味の「show」です。 - 言葉で伝えたり示す場合の「案内」は「direct」
直接(ダイレクト)に伝えろから来ています。
など、場面によって違いがありますので注意が必要です。
「ガイドライン」の意味と使い方の例
「ガイドライン」の意味は、一般的に
- 政策、施策などの指針。指標。
- ワープロ、タイプなどの筆記のため、下にひく案内用の罫線。
になります。
日本においては
- 日米防衛協力のための指針の通称
という意味も含まれます。
これは、日本が他国に攻撃された時などに、自衛隊と米国の役割分担を定めた指針になります。
「ガイドライン」は他にも様々な分野で使われ、それぞれ特有の意味を持っています。
例えば、ビジネス分野の場合「仕事を進める上の基準・目安になる大まかな指標」を意味し、組織としての行動の方向性や、一定の罰則などが示されています。
- 会議で新商品のガイドラインが決定した。
のように使われます。
法律の分野でも、ビジネスと同じような指標を示しますが、内容は法律に沿って作成されます。
例えば
- 憲法第九条を基にガイドラインがつくられました。
のように使われます。
医療分野の場合は、組織の方向性や罰則等ではなく、重要な医療行為に対しての一般的、かつ最善となる医療法といった内容になります。
例えば
- ウェブサイトでは医療者用のガイドラインが確認できます。
のようになります。
また、医療者向けだけでなく、患者向けの簡易なガイドラインもあります。
「ガイダンス」の意味と使い方の例
「ガイダンス」には、
- 不慣れで事情が分からない者に対する、初歩的な説明や案内や催し。
- 児童・生徒・学生が、自分の適性を知り、進路を決定できるように指導すること。
という意味があります。
一般的には
- 音声ガイダンスに従って、ご希望の数字を押してくださいください。
- 就職活動ガイダンスを明日から行います。
- これから起業者向けガイダンスに行ってきます。
などのように、初心者向けであったり、基本的な操作や案内のような内容を指す場合に使います。
具体的には、電話のオペレーションであったり、手引書、説明会のような会合などになります。
どれも、基本的な説明や初心者向けの話になるので、内容的に作り込まれたものにはなっていません。
ただし、教育的観点からの「ガイダンス」の場合、基本的な説明や初心者向けの話だけではなく、進路指導や職業指導といった学校教育の中で展開される教育活動を意味します。
「オリエンテーション」の意味と使い方の例
学校に入学したり、会社に入社するとよく耳にするが「オリエンテーション」です。
日本語での「オリエンテーション」は
- 物事の進路や方針などを定める・方向づける
という意味で使われています。
もともとは、ラテン語の「オリエント」が語源になっていて、「東方」を意味します。
教会の祭壇を東向きに設置することが正しい建築様式と決めたことから、正しい方向を決める・方向づけるというようになっていきました。
ビジネスシーンでは、主に「説明」や「説明会」の意味で使われます。
例えば
- 入社式の後にオリエンテーションが行われます。
という場合は、新入社員に会社の概要・規範・仕事の内容の説明会になります。
- 新規事業に関してのオリエンテーションを始めます。
という場合は、新しい事業についての方向性をついての方向性を決める会議という意味になります。
また、学校や教育現場での「オリエンテーション」の場合は、単位の取り方や必要書類の記入方法など、学生生活を送るための必要情報を提供するものになります。
医療における「オリエンテーション」には、意識障害の指標となる見当識という特殊な意味もあります。
「ガイド」「ガイドライン」「ガイダンス」「オリエンテーション」の違いは?使い分けと簡単な覚え方は?
「ガイド」「ガイドライン」「ガイダンス」「オリエンテーション」はどれも、導く・案内するといった様な意味を持っていますが、それぞれ使い方が違います。
- 不特定多数の人を、案内したり導いたりする時に使われるのが「ガイド」
- 何かを知ろう・理解しようとしている初心者への手引きとして使われるのが「ガイダンス」
- 各分野での基準や大まかな方向性・指針を示すときに使われるのが「ガイドライン」
- 組織に加わるうえで、進路や進行の向きを方向づけする特に使われるのが「オリエンテーション」
というように使い分けることが出来ます。
- 「ガイド」ー「案内」
- 「ガイダンス」ー「初心者・手引き」
- 「ガイドライン」ー「方向性・指針」
- 「オリエンテーション」ー「方向づけ」
と言った単語と合わせて覚えておくと分かりやすいかもしれません。
さいごに
以上、「ガイド」「ガイドライン」「ガイダンス」「オリエンテーション」の違いを解説してきました。
どれも身近にあるものなので、何気なく見たり使ってきたと思います。
この記事でそれぞれの意味を理解して、今後の生活やビジネスシーンに役立てて下さい。