「わからない」を漢字変換すると、いくつか種類が出てきて、どれを使えばいいか迷うときがあります。
どの漢字候補も、それぞれ基本的な意味は同じです。
しかし表記の違いで、微妙にニュアンスが変わってきます。
そこで今回は、いくつかある「わからない」の漢字について、わかりやすく解説していきます。
「わからない」漢字ではどう書く?ひらがなが正しいの?
常用漢字で「わかる」と読む字は、「分かる」だけです。
ですので、その否定形である「わからない」の一般的な漢字表記は、「分からない」が正解です。
ただし、同じ「わからない」でも、ニュアンスが違う場合があります。
例を挙げますね。
- 「遠すぎて誰だかわからない」
- 「バッタとイナゴの違いがわからない」
のような、分別できない、識別できないといったニュアンス。
- 「この本は難しすぎて意味がわからない」
- 「彼は物事の良し悪しがわからない」
のような、理解できないといったニュアンス。
- 「まだ犠牲者の身元がわからない」
- 「情報が多すぎてどれが正解かわからない」
のような、判断できないといったニュアンス。
これらの違いがあります。
あなたが文章を書く場合、バランス的に、もし「ひらがな」ばかりにならないようでしたら、基本的にひらがな表記の方がいいでしょう。
「わからない」「分からない」「解らない」「判らない」「理解らない」の違いと使い分けは?
「解らない」は、物事の意味や価値などが理解できないという意味になります。
「解らない」の例文
- 「この問題の意味が解らない」
- 「私は英語が解らない」
このように、知識を用いても考えを導き出せないという場合に使います。
「判らない」は、物事の事情などがはっきりしない、明らかにならないという意味になります。
「判らない」の例文
- 「料理の味の違いが判らない」
- 「この証拠では犯人が判らない」
このように、判断がつかず物事をはっきり見分けられないという場合に使います。
その点、「分からない」の場合は、次のように考えます。
「分からない」の例文
- 「子どもには親の心は分からない」
このように、「分からない」には、
- 相手の事情、心情などについて理解できないという意味
- 「解らない」と同じ、物事の意味や価値などが理解できないという意味
- 「判らない」と同じ、物事の事情などがはっきりしない、明らかにならないという意味
が、それぞれあります。
ですので、
「わからない」漢字の使い分け
- ほとんどの場合や、何を使うか迷ったとき→→「分からない」
- 「理解できない」というニュアンスを付与したいとき→→「解らない」
- 「判明しない」「明らかにならない」というニュアンスを付与したいとき→→「判らない」
このような使い分けができます。
ちなみに、ひらがなで「わからない」とした場合も、意味は「分からない」と同じになります。
漢字とひらがなのバランスが悪くならないようなら、「わからない」を使っておく方が無難です。
また「理解らない」という表記を見かけることがあります。
これは「理解できない」といった意味からとった、当て字になります。
ですので、「理解らない」を「わからない」と読むのは、間違いになるので、仲間内以外での使用は避けた方がいいでしょう。
とは言え、歌詞や、アニメのセリフなどで、よく見かける当て字なので、読めなくもないですよね。
当て字に関する詳しい解説は、こちらの記事です。
よろしければご覧いただき、理解を深めてください。
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公用文ではどの「わからない」が使われる?
常用漢字で「わからない」と読む漢字は、「分からない」だけになります。
ですので、公用文などにおいて、「わからない」の漢字は全て「分からない」を使うことが適切とされます。
ちなみに、
「わからない」の使われ方
- 公用文では「分からない」
- 新聞、放送(テレビ)などでは「仮名表記」=「わからない」
- 学校の試験では「分からない」以外は間違い
というのが一般的になります。
さいごに
以上、「わからない」の漢字について解説してきました。
「分からない」は、常用漢字になるので公文書などで使われます。
「分からない」表記は、ほとんどの場面で使うことが出来ますが、表現の幅を広げ微妙なニュアンスを伝えられるよう、「解らない」や「判らない」の意味も理解して上手に使い分けて下さいね。