「足を洗うって、きれいにするってこと?」
「足を洗う」は、何かをやめたり離れたりするときによく使う言葉です。
刑事もののドラマや、時代劇などでもよく耳にしますね。
ただし、全ての状況で使えるわけではありません。
ここでは、「足を洗う」の意味や使いかたを分かりやすく解説していきます。
「足を洗う」の意味や語源は?間違い例と正しい例は?
「足を洗う」には
- 悪い仲間から離れる。好ましくない生活をやめる。
という意味があります。
- 「ギャンブルにはまると足を洗うのが大変だ」
- 「彼は刑務所から出た後は犯罪から足を洗い、罪を償って生きています」
のように使います。
分かりやすいシチュエーションとしては
- 「A君、いじめっ子のグループと付き合うのやめたんだって」
- 「B君の成績が良くなったのは、家でゲームをするのをやめたからみたいだよ」
といった状況が「足を洗う」になります。
「ギャンブル」や「刑務所」といった表現よりも、この様な表現の方が子どもにも身近に感じられるかもしれませんね。
「足を洗う」の由来はいくつかありますが、有力なものとして、仏教から来ている言葉と言われています。
昔の僧侶は裸足で修行を行っていました。
寺に帰った際、当然汚れている足を洗います。
その際、汚れた足を洗うことで、俗界の煩悩を「清め洗い落とす」と考えたことが、「足を洗う」の由来になったと言われています。
そのため「足を洗う」は、「悪い行いをやめる、関係を断つ」といった意味で使われるようになったと言われています。
ちなみに、
- 「ボランティア活動から足を洗う」のように良いことからやめるような場合
- 「飲食業の仕事の世界から足を洗う」のように悪いことがなく、ただ単純に何かから離れる場合
このような時にも「足を洗う」を使うことはできます。
ただし、こういった使い方をした場合、前の職業などの印象が悪く見られる可能性があるので注意が必要です。
「足を洗う」の類語、言い回し、対義語は?英語では何ていう?
「足を洗う」と同じような意味の言葉はいくつかあります。
同じ「足」を使う慣用句として、「足を抜く」があります。
「足を抜く」は
- 好ましくない関係を打ち切る、不本意な関係から抜け出す
という意味があります。
昔、芸者や女郎といった泥沼のような商売から抜け出すことを「足抜け」と言いました。
ですので、「足を抜く」を使う時の抜け出そうとする対象は
- 「悪い生活環境」
と言えます。
「足」と対照的な言葉の「手」を使った慣用句としては、「手を切る」があります。
「手を切る」には
- それまでの関係を断つ、縁を切る
といった意味があります。
- 「長年付き合いのあった業者と手を切った」
- 「一年前に彼女と手を切ってから一度もあっていない」
などのように、「手を切る」を使う時の抜け出そうとする対象は
- 「悪い人間関係」
と言えます。
「足を洗う」の対義語としては、「手を染める」があります。
「手を染める」には
- 関係を持ち始める、手を付ける
という意味があり、
- 「子どもの頃に聞いた尺八に心を打たれ、大人になってから尺八に手を染めるようになった」
- 「見よう見まねで、両親のやっている農業に手を染めるようになった」
などのように、何かを始める・物事の始まりのような意味で使われます。
- 「犯罪に手を染める」
- 「悪事に手を染める」
などのように、悪いことを始めるときに使うイメージがありますが、特に限定はされていません。
もともとは、「書初め」や「お食い初め」などと同じように、「何かをし始める」という意味の「初める」という漢字が使われていました。
それが、染物をした際手についた染料がなかなか落ちなかったことから、
- 「始めると容易に抜けだせない」
という解釈から、「手を染める」になったと言われています。
また、「足を洗う」の意味が「悪い行いをやめる」なので、それに対して「手を染める」も悪い行いをイメージさせたのかもしれません。
「足を洗う」の英訳は
- 「wash one’s hands of」
になります。
直訳すると「手を洗う」になります。
これはキリスト教の故事の中で、「何かをあきらめて関係を断つこと」の意味で使われているからです。
「足」と「手」。
同じ意味を表すのに、日本とは反対の言葉になるんですね。
「足を洗う」と「身を退く」の違いは?
「身を退く」は
- それまで身を置いていた地位や立場から離れる
という意味になり、
- 「学問の世界から身を退こうと思っている」
- 「彼は今シーズンで現役から身を退くつもりだ」
- 「彼女は危険を感じて、その場から身を退いた」
のように使います。
自らの意志でやめる・離れるという意味では同じですが、
「足を洗う」は
- 悪い仲間から離れる、好ましくない生活をやめる
というシチュエーションで使われますが、
「身を退く」の場合は、
- これまでの地位や立場をやめる、今の位置から離れる(しりぞく)
のようなシチュエーションで使います。
さいごに
以上、「足を洗う」の意味や使い方を解説してきました。
悪いことをやめるときに使うイメージが強いですが、最近では、悪行・正業関係なく、やめたり離れたりするときにも使うことが多いそうです。
正しい言葉の意味を知って、正しく使ってみて下さい。