「白酒」「甘酒」「にごり酒」はどれも白濁したお酒です。
ぱっと見、似ているので、おなじものと勘違いしてしまいますよね。
しかし、実際には原料や製造過程など全く違うものなのです。
「甘酒」に関しては、お酒ですらないものもあります。
それぞれの違いを知っておけば、簡単に判別できますよ。
そこで今回は、「白酒」「甘酒」「にごり酒」の違いなどについて、わかりやすく解説していきます。
ちなみに今回のように、紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「白酒」とは?読み方、度数、飲み方、原料は?
「白酒」の読み方は、以下の通りです。
- 「しろき」:新嘗祭や大嘗祭のため造られる特別なお神酒のことで、新米を使って醸造された清酒の事
- 「はくしゅ」:どぶろくなどの白く濁ったお酒
- 「パイチュウ」:中国発祥の穀物を原料とする蒸留酒
など複数あり、それぞれ違ったものを指します。
ですが、一般的には「しろざけ」と読みます。
「白酒(しろざけ)」の原料は、蒸したもち米とみりん(又は焼酎、米麴)で、これを一ヶ月ほど熟成させ、軽くすりつぶして造ります。
とろみがあり、ほのかに甘みを感じる飲み口ですが、アルコール度数は、9~10%程度あります。
酒税法では、リキュール類に分類される、れっきとしたお酒です。
ですので、飲み方としては、日本酒と同じように、
- おちょこなどに注いでそのまま飲む
- 白酒のルーツである「桃花酒」にならい、小さな花びらを浮かべて飲む
など、いくつかの飲み方があります。
「甘酒」とは?読み方、度数、飲み方、原料は?
「甘酒」は「あまざけ」と読みます。
「酒」という字が付きますが、分類は酒類ではなく、清涼飲料水に分けられます。
「甘酒」には、
- 米、米麹、水を原料とする米麹甘酒
- 酒粕、砂糖 水を原料とする酒粕甘酒
の2種類があります。
米麴甘酒は、米麹と米を熟成発酵し、米を糖化して作られるもので、アルコールは含まれないのが特徴です。
一方、酒粕甘酒は、日本酒を造る際にできる副産物の酒粕を使用して作るので、作り方によっては、5%程度のアルコールが残ります。
ただし、市販されている酒粕甘酒のアルコール度数は、1%未満になります。
飲み方としては、薄めたりせずそのまま温めて飲むのが一般的です。
夏場などには、冷やしても美味しく飲めますよ。
また、炭酸や果汁で割ったり、ココアやきな粉を混ぜるなど、様々な飲み方が出来るのも特徴になります。
「にごり酒」とは?度数、飲み方、原料は?
「にごり酒」とは、白く濁った日本酒のことを指します。
ですので、原料は日本酒と同じで、米、米麹、水になります。
これに微生物の一種である、酵母を混ぜアルコール発酵させ、醪(もろみ)というものを作ります。
ここまでは一般的な日本酒の作り方と一緒になります。
これを濾して、
- 目の細かい袋に入れて絞ったものがいわゆる「日本酒」
- あえて目の粗い袋に入れて絞ったものが「にごり酒」
になります。
目の粗い袋に入れて絞ることで、「もろみ」に含まれる酵母や、溶け残った米麹などの「澱(おり)」と呼ばれるものが残ります。
そのため白濁した液体になるのです。
ちなみに、
- 「もろみ」を濾して絞ることで出来る液体が日本酒
- 残った固体部分が酒粕
になります。
見た目は違いますが、酒税法上では、一般的な日本酒と同じ清酒に分類されます。
アルコール度数も清酒と同じくらいの15%前後です。
にごり酒の飲み方としては、
- 澱(おり)と上澄みを合わせて飲む
- 澱(おり)と上澄みを別々に飲む
方法があります。
- 前者は、にごり酒らしい、まろやかでクリーミーな口当たり
- 後者では上澄みのすっきりした味わいと、にごり部分のとろりとした口当たり
飲み方によって、これらの両方が楽しめます。
また、にごり酒が苦手なら、炭酸水や果実・ヨーグルトなどを混ぜることで、爽快感が出て飲みやすくなりますよ。
「白酒」「甘酒」「にごり酒」「老酒」「マオタイ酒」の違いは?
「白酒」「甘酒」「にごり酒」は、どれも白濁した見た目の飲み物になります。
また、間違われやすいお酒に「老酒」「マオタイ酒」もあります。
実は、それぞれ原材料や製造方法が異なります。
それぞれの違いを以下にまとめました。
「白酒」「甘酒」「にごり酒」「老酒」「マオタイ酒」の違い
- 「白酒(しろざけ)」
- 原材料:蒸したもち米とみりん(又は焼酎、米麴)
- 製造方法:原料を一ヶ月ほど熟成させ、軽くすりつぶす
- アルコール度数:9~10%程度
- 分類:リキュールなどの混成酒
- 「米麹甘酒」
- 原材料:米、米麹、水
- 製造方法:原料を熟成発酵
- アルコール度数:1%未満
- 分類:清涼飲料
- 「にごり酒」
- 原材料:米、米麹
- 製造方法:酵母を混ぜアルコール発酵させ、醪(もろみ)を作り、目の粗い袋に入れて絞る
- アルコール度数:15%前後
- 分類:醸造酒
- 「老酒」
- 原材料:もち米などの穀物
- 製造方法:原料を醸造して作ったお酒を、陶器などに入れ長期間熟成させる
- アルコール度数:14~16%
- 分類:醸造酒
- 「マオタイ酒」
- 原材料:貴州特産の高梁(コーリャン)・小麦
- 製造方法:原料を醸造して作ったお酒を、さらに蒸留させる
- アルコール度数:50~54%
- 分類:蒸留酒
という違いがあります。
特に、「マオタイ酒」は高級なもので、製造に長いもので1年ほどかかるものもあります。
ひな祭りに飲むのはどれ?
ひな祭りに飲むものと言えば、「甘酒」を思い浮かべる人も多いと思います。
しかし本来は、「白酒(しろざけ)」を飲むのが風習でした。
ひな祭りは、元々中国で女の子の健やかな成長を願い、お祝いする「上巳(じょうし)の節句」が起源となっています。
中国では、桃の花びらを漬けたお酒、「桃花酒(とうかしゅ)」がありました。
桃は、
- 邪気を払う効果
- 百歳(ももとせ)まで生きるという長寿の意味
があることから使われるようになりました。
そのためひな祭りのことを、桃の節句と言うようになったそうです。
日本で「桃花酒(とうかしゅ)」ではなく、「白酒」が飲まれるようになったのは、どうしてでしょうか?
江戸時代に入ったころの、「大蛇をお腹に宿した女性が、白酒を飲んだところ、大蛇が消えたという伝説」によるという説があります。
ただし、「白酒」はアルコール度数が高く、子どもには飲めないということで、アルコールの入っていない「甘酒」で代用する風習が広まったのだそうです。
さいごに
以上、「白酒」「甘酒」「にごり酒」などの違いについて解説してきました。
どれもそれぞれ特徴があり、違った美味しさ・楽しみ方がありますね。
色々な状況や気分によって、飲み比べてもいいかもしれません。