「『はす』も『れんこん』も『すいれん』も、どれも同じモノじゃないの?」
水面上に咲く「はす」の花と、穴の空いた見た目が特徴の野菜の「れんこん」。
この二つにはある共通点があるのですが、なんだか分かりますか?
実は、れんこんを漢字で書くと「蓮根」となり、はす(蓮)の字が名前に含まれているのです。
では次に、「はす」と「睡蓮(すいれん)」の違いはなんでしょう?
どちらも水面上に咲く花であり、はすは漢字で書くと「蓮」になるので、いざ言われてみると違いなんてないように感じるかもしれませんね。
でも実は、それぞれ少しずつ違いがあるんです。
今回は
- 「はす」と「れんこん」の関係性
- 「はす」と「睡蓮」の違い
- 「はす」と「睡蓮」に似た「ヒツジグサ」や「フキ」
について、詳しくご紹介していきます。
「はす」とは?見た目の特徴など
「はす」は漢字で「蓮」と書き、ハス科ハス属の水生植物です。
水生植物とは、水の底の土や泥に根を張り、水面上に葉と花を展開する植物のことで、「睡蓮」もこの水生植物の仲間です。
幅が広く、丸みのある花びらがお椀のように広がっていて、同じように丸く大きな一枚の葉を持っているのが「はす」の特徴です。
また、花も葉も水面に接している(浮かんでいる)のではなく、水面よりも高い位置に展開するのも、ハスの特徴の一つです。
ちなみにハスの葉には水を弾く特性があり、浸透することなく葉の表面で玉状になった水が流れ落ちることによって葉の表面上を綺麗に保つ作用があります。
これはロータス効果(ハスは英語で「Lotus(ロータス)」)と呼ばれます。
- 衣服などの生地
- 屋根材
- 食べ物の容器
などにも応用されています。
「れんこん」とは?見た目の特徴など
「れんこん」は漢字で「蓮根」と書きますが、正確にはハスの地下茎のことです。
根っこじゃなくて、茎だったんですね。
「れんこん」→「れんくき」っていうネーミングには、なかなか慣れませんけどね。
私たちが普段、口にする「れんこん」は、食用に品種改良を施された食用ハスの地下茎です。
れんこんの他に、地下茎を食べる植物(野菜)としては、
- ジャガイモ
- 里芋
- にんにく
などが挙げられます。
一本の長い茎ではなく、いくつかの節に分かれているのが特徴で、茎を切ってみると断面には大小さまざまな穴が空いています。
この穴は空気が少ない泥の中において、れんこん自身の呼吸を助ける役割を持っています。
日本では「覗き込んだ時に先が見通せる」ことに通じるとして、縁起物として扱われ、正月のおせち料理にもよく用いられます。
- 煮物
- きんぴら
- ひき肉などの具を挟んで揚げたもの
- ポテトチップスのように薄切りにしたれんこんを揚げたもの
のように、おかずやおやつ、おつまみにするなど、豊富な用途で食されます。
「睡蓮(すいれん)」とは?見た目の特徴など
睡蓮とはハスと同じく、水底の土に根を張り、水面上に葉と花を展開する水生植物の仲間です。
朝に開いた花が、夕方ごろになると眠る(睡眠する)ように閉じることから、この名が付いたとされています。
ハスがハス科ハス属であるのに対して、睡蓮はスイレン科スイレン属の植物であり、生物学上では違う植物として分けられます。
また、水面よりも高い位置に葉と花が展開されるハスと違い、睡蓮は水面上に浮かぶように花が咲き、葉も水面上に広がるようにして浮かびます。
花びらや葉の形もハスとは差異があり、睡蓮の花びらは細長くシャープな形をしており、葉は同じような丸型ですが切れ込みが入っています。
さらに、ハスの根(地下茎)は先述の通り穴が空いていますが、睡蓮の根は中身が詰まっているのも違いの一つです。
「ヒツジグサ」とは?見た目の特徴など
ヒツジグサとは漢字で「未草」と書き、スイレン科スイレン属に属する水生植物の一つです。
スイレン属の植物で名が知られているものは50種類ほどありますが、ヒツジグサは日本国内で自生している唯一のスイレン属です。
「未(ひつじ)」が名前に入るのは、かつて日本で使用されていた十二時辰(十二支を使った時間の表し方)が元になっていて、未の刻(午後2時頃)になると花が開くため、この名が付いたとされています。
また、漢名(中国での名前)では「睡蓮」と呼ばれますが、日本において睡蓮は、
- ヒツジグサの別名
- スイレン属の植物の総称
としても使用されます。
「フキ」とは?見た目の特徴など
フキとは、キク科フキ属の植物で、春の山菜の一つとして知られるフキノトウはこのフキの花茎のことを指します。
大きな丸い形の葉は一部が切れており、上から見るとハートのような形にも見えます。
葉の形こそハスや睡蓮と似ていますが、フキは水生植物ではなく山野に生える山菜の一つです。
「はす」「れんこん」「睡蓮」「ヒツジグサ」「フキ」の違いと見分け方は?
それぞれについてご紹介したところで、改めて
- 「はす」
- 「れんこん」
- 「睡蓮」
- 「ヒツジグサ」
- 「フキ」
それぞれの違いをまとめてみましょう。
「はす」「れんこん」「睡蓮」「ヒツジグサ」「フキ」の違い
- はす→ハス科ハス属の水生植物で、水面より高い位置に花と葉を展開する。
幅広く丸みのある花びらと円形の葉を持ち、葉には水を弾く特性がある。 - れんこん→ハスの地下茎のこと。
いくつかの節に分かれていて、茎の中に大小さまざまな穴が空いている。 - 睡蓮→スイレン科スイレン属に属する水生植物で、水面に浮かべるようにして花と葉を展開する。
ハスと比べるとシャープな形の花びらをしており、円形の葉には切れ込みがある。 - ヒツジグサ→日本に元から自生している唯一のスイレン属の植物。
ハスやスイレンと比べて、花は小ぶり。 - フキ→キク科フキ属の山菜で、花茎はフキノトウと呼ばれる。
ハスや睡蓮と同じように大きな円形の葉を持っている。
しかし水生植物ではなく、山菜のひとつです。
さいごに
「はす」「れんこん」「睡蓮」「ヒツジグサ」「フキ」それぞれの意外な共通点や違いについて、お分かりいただけたのなら幸いです。
もしハスの花や睡蓮の花を見かけたら、ぜひご自身でも見比べてみてくださいね。