- 「のっぴきならない」
- 「よんどころない」
- 「抜き差しならない」
- 「やんごとない」
という言葉があります。
どの言葉も、「どうしようもない」といったニュアンスを伝えるときに使います。
ですが、字面も似ていることから、使い分けが難しく感じますね。
また、方言なのか、標準語なのかも分かりづらいです。
そこで今回は、「のっぴきならない」「よんどころない」「抜き差しならない」「やんごとない」の意味や使い分け方などを、わかりやすく解説していきます。
ちなみに今回のように、使い方の紛らわしい言葉は、ほかにもたくさんあります。
こちらの記事で特集していますので、使い分けができるかどうか、ぜひ挑戦してみてくださいね。
知識を深めよう!
「のっぴきならない」はどこの方言?
結論から言うと、「のっぴきならない」は、方言ではありません。
普段あまり聞かない言葉ですし、時代劇などで「のっぴきならねえな」といったセリフを耳にして、江戸言葉のような方言と思いがちです。
しかし「のっぴきならない」は、辞書にものっている標準語なのです。
「のっぴきならない」の意味や由来は?英語では何ていう?使い方を例文で解説
「のっぴきならない」は、避けることも退くこともできず、動きがとれないという意味になります。
後ろに、
- 「用事」
- 「事情」
- 「状況」
- 「立場」
といった言葉が続くことが多いです。
のっぴきならないの例文
- 「プロジェクトに失敗した彼は、現在のっぴきならない立場にいます」
- (プロジェクトに失敗した彼は、現在どうすることも出来ない立場にいます)
- 「先日のトラブルが原因で、今うちの会社はのっぴきならない状況だ」
- (先日のトラブルが原因で、今うちの会社はどうにもならない状況だ)
と、このように使います。
「退く(しりぞく)」「引く」という、避けることや逃れることを意味する二つの動詞から成る
- 「退き引き(のきひき)」
という言葉が由来になり、そこに打消しの「ならない」がついて、退くことことも引くことも出来ず、身動きが取れないという状態を表します。
英語では、「避けがたい」「不可避の」といった意味の
- 「unavoidable」
が一般的になります。
他にも、「避けられない」「免れない」といった意味の
- 「invitable」
「強制的な」「抵抗し難い」といった意味の
- 「compelling」
などで表現できます。
この時、日本語と同じように、
- 「situnation(状況)」
- 「circumstances(事情)」
といった名詞と併用して用いられます。
「のっぴきならない事情」の意味は?ビジネスでも使える?
「のっぴきならない事情」とは、自分では解決できない、どうしようもない事情という意味になります。
「よほどの事情がある」ということを表現しているので、
「のっぴきならない事情」の例文
- 「のっぴきならない事情により、今回は会議を欠席させていただきます」
- 「この件に関しては、のっぴきならない事情があるため辞退します」
などのように、ビジネスシーンでもよく使われます。
ただし、重大な事態を連想させる強い意味の言葉になるので、頻繁に使うことは控えた方がいい言葉になります。
「のっぴきならない」「よんどころない」「抜き差しならない」「やんごとない」の違いや使い分けは?
「よんどころない」は漢字で、「拠所無い」と書き、そうするより仕方がない、やむをえないという意味になります。
「のっぴきならない」と同じように、どうしようもない事情があるようなときに、
- 「よんどころのない事情で欠席します」
のように使います。
ただし、
「のっぴきならない」→ 追い詰められ身動きが取れずどうしようもない
というニュアンスで使うのに対し、
「よんどころない」→ そうするしかなく、仕方なく行う
というニュアンスの違いがあります。
「抜き差しならない」は、身動きが取れずどうしようもないという意味になります。
- 「先日のトラブルが原因で、今うちの会社は抜き差しならない状況だ」
と、このように、「のっぴきならない」と同じ使い方をします。
互いの意味の中に、
- 「のっぴきならない」:避けることも退くこともできず動きがとれない、ぬきさしならない
- 「抜き差しならない」:動きがとれない、のっぴきならない
が含まれているので、使い方は、ほぼ同じと言えます。
「やんごとない」は漢字で、「止ん事無い」と書きます。
一般的には、
- 「彼女はやんごとない生まれなので、振る舞いに品があります」
と、このように、家柄や身分が非常に高い、高貴であるという意味で使われます。
ただし、どうしようもない事情があるようなとき「のっぴきならない」と同じように、
- 「やんごとない事情で遅れます」
と使うこともあります。
この場合、重大であるため避けられない、重要でそのままにできないという意味になります。
しかし「のっぴきならない」と違い、そのままにできない、放っておけないといったニュアンスになります。
それぞれの使い分けとして、「欠席する理由」を例として考えてみましょう。
「のっぴきならない」「よんどころない」「抜き差しならない」「やんごとない」の使い分け
- それだけしかない → 「のっぴきならない」「抜き差しならない」
- そうするしかない → 「よんどころない」
- そのままにできない → 「やんごとない」
となります。
さいごに
以上、「のっぴきならない」「よんどころない」「抜き差しならない」「やんごとない」の使い分け方などについて解説してきました。
それぞれ日常生活よりも、ビジネスシーンで使われることが多いので、意味をよく理解して上手に使い分けて下さいね。