”挨拶の言葉”と聞いて、あなたは最初に何を思い浮かべるでしょうか?
おそらく「こんにちは」を思い浮かべたことでしょう。
家族、友人、会社の同僚など、年齢性別問わず誰にでも気軽に使えるのが、この挨拶の特徴ですね。
日本人であれば、使わない人はいません。
しかし、この基本的な挨拶にある議論が勃発しているのです。
それが、「『こんにちは』と『こんにちわ』はどっちが正しい? 違いって何?」というもの。
FacebookやTwitterなどのSNSで、度々行われているこの議論。
10代~20代の年代の人が、SNSで「こんにちわ」を使いだしたのが発端となってるようです。
確かに声に出して読むと「こんにちわ」で間違いありません。
だからといって、文字に書き出す時に、どっちが正しいのかというと悩みどころですよね。
そこで今回は、「こんにちは」と「こんにちわ」の どちらが正しいのかを、わかりやすく解説します。
それではどうぞ!
「こんにちは」「こんにちわ」どっちが正しい?理由はなぜ?
文章にした時、正しい書き方は、「こんにちは」になります。
元々「こんにちは」は、
- 「今日は、とても寒いですね」
- 「今日は、ご機嫌いかがですか」
などといった、挨拶の後半部分を略した表現になります。
本来、「今日は、~」と後ろに文章が続くので、この場合の「は」は、助詞になります。
- 「私は、英語を習っています」
- 「彼は、夜遅くに帰ってきました」
などと言った場合の「は」と同じになります。
ですので、「こんにちわ」ではなく、「こんにちは」が正しい表記になるのです。
参考記事→
「は」と「わ」の違いは?使い分けのコツは助詞の理解!使い方をわかりやすく解説
「こんにちは」は「今日は」だった?語源を解説
そもそも「こんにちは」は、どういった歴史の中で生み出されたのか。
どちらが正しいのか知るために、まずは成り立ちから知っていきましょう。
そもそも「こんにちは」は、漢字にすると「今日は」と表記します。
「今日は」だと「きょうは」とも読めてしまうので、挨拶の時は平仮名表記にするんですね。
- 『今日はご機嫌いかがですか?』
- 『今日はお元気ですか?』
こういった日常会話が挨拶のように行われていました。
挨拶の「今日は~」の後半部分を省略して、「こんにちは」を挨拶として使うようになりました。
これが「こんにちは」の起源なのです。
「わ」ではなく「は」が正しい理由は?
語源から分かるように、「こんにちは」は「は」を使うのが正しいです。
「今日わ」なんてすごくおかしいですもんね。
そもそも国語辞典や広辞苑などの辞書には、「こんにちわ」という言葉自体が掲載されていません。
(誤用として載っている場合はあります。)
「こんにちわ」は、正しい日本語では無いため、フォーマルで使うのは控える方がいいかもしれませんね。
助詞の活用方法については、こちらでも詳しく解説しています。
よろしければ、ご覧ください。
「こんにちは」「こんにちわ」の違いは?なぜ間違われるの?
「こんにちは」と「こんにちわ」の違いは、その語源が、「今日は、ご機嫌いかがですか」といった挨拶の略語であることから、
- 「こんにちは」は正しい表記
- 「こんにちわ」は間違った表記
ということになります。
では、なぜ「こんにちわ」という表記が使われるのでしょう。
理由1
単純に声に出すと「こんにちわ(WA)」になるからです。
文字にする場合は、「こんにちは」になりますが、声に出す場合は「は(HA)」ではなく「わ(WA)」と発音することから、「こんにちわ」と書く人がいると考えられます。
理由2
「こんにちわ」と書いても問題はなかったという事も理由の一つと言えます。
「こんにちは」が正しい表記になったのは、1986年に発表された、「国による現代仮名遣いのルール」に明示されてからになります。
それまでは、「こんにちわ」という表記も一般的に使われていた表現でした。
理由3
若者たちの間での使用が増えた事も大きな理由になります。
若い人たちの間では、「こんにちは」といった、かしこまった挨拶をすることは多くありません。
むしろ
- 「こんちわ」
- 「ちわっす」
- 「ちわ~」
といった、親近感があるものが多く使われます。
そのため「こんにちわ」と表記することで、堅い印象にならないようにしていると考えられます。
「わ」の使い方については、こちらでも詳しく解説しています。
参考記事→
挨拶の「こんにちは」「こんばんは」漢字ではどう書く?使われる時間帯はいつからいつまで?
「こんにちは」「こんばんは」漢字で、
- 「こんにちは」 → 「今日は」
- 「こんばんは」 → 「今晩は」
と書きます。
使う時間帯に明確な基準は無い場合が多く、主に「日の出・昼・日没」が目安になります。
一般的には、
- 「こんにちは」:午前11時頃~午後5時まで
- 「こんばんは」:午後5時頃~午前4時半まで
になります。
ちなみに、職業などによっては、時間帯が決められているものもあります。
例えば、
- NHKの場合
- 「こんにちは」:午前9時~午後6時まで
- 「こんばんは」:午後6時~午前4時半まで
- 秘書検定の場合
- 「こんにちは」:午前10時頃~午後6時まで
- 「こんばんは」:午後6時~
- 百貨店などの接客業(店舗ごとで異なる))
- 「こんにちは」:午前11時~午後5時まで
- 「こんばんは」:午後5時~
と、このような決まりがあります。
ビジネスメールや文書で「こんにちわ」を使うとどうなる?間違いではない可能性もある?
現代仮名遣いのルールでは、「こんにちは」が正しい表記とされています。
ですので、メールや文章で「こんにちわ」を使うことは、基本的に間違いになります。
特に、ビジネスシーンで使うような場合は、❝正しい言葉を使えない人間❞といった印象を与える可能性があるので注意が必要です。
ただし、「こんにちわ」も、使ってはいけない決まりがあるわけではありません。
特に、親しい友人や気心の知れた仲間の間で、親しみを持って使う事は問題ありませんよ。
さいごに
以上、「こんにちは」「こんにちわ」の違いについて解説してきました。
正しい表記は、「こんにちは」になりますが、「こんにちわ」も一概に間違いとは言い切れませんでしたね。
状況を見て使い分ける事が大切になるので、使う相手をよく考えて挨拶をするようにしてください。
最後にまとめると、
- こんにちは
- こちらが正しい。
- 元々は「今日は」。
- 「今日はご機嫌いかがですか。」などの文章の後の部分が省略されて生まれた。
- こんにちわ
- こちらは間違い。
- 日本の辞書には「こんにちわ」の項目はない
- 「こんにちは」を略した「ちわっす」などの挨拶によって「わ」を使うようになっていた。
ということです。
日本人なら誰でも使う基本的な挨拶である「こんにちは」。
あなたは間違えないように気を付けてくださいね!