どんな音楽が好き?って聞くと、
- 「邦楽が好き」
- 「jpopが好き」
などと、答えられます。
この「邦楽」と「jpop」。どちらも日本の音楽のことになりますが、具体的にはどの様に違うのでしょう。
ここでは、「邦楽」「jpop」の違いなどを、わかりやすく解説していきます。
「邦楽」とは?歴史や特徴、言葉の使い方など
現代では「邦楽」のことを、日本のポピュラーミュージック全般を意味する言葉として使われることが多くなっています。
ですが、本来「邦楽」とは、日本で作られた音楽全般を指す言葉なのです。
その中でも、伝統的・古典的な音楽を指す言葉でした。
日本の伝統的・古典的な音楽には、
- 宮中音楽として、笙(しょう)や篳篥(ひちりき)などの楽器で奏でる 「雅楽」
- 能の舞台で演じられる 「能楽」
- 仏典に旋律を加えた歌曲である声明、和讃といった 「仏教音楽」
- 世俗で育まれた歌曲などの 「民謡、吟詠」
- 箏(琴)、尺八、三味線を使った合奏曲である 「三曲」
などがあります。
邦楽の歴史は、
- 7世紀ころ百済(朝鮮半島)から伝わった伎楽(ぎがく)
- 8世紀には、ベトナムから林邑楽(りんゆうがく)
- 平安初期には、中国から渤海楽(ぼっかいがく)
といった楽舞(音楽に合わせて舞う舞のこと)が伝わり、これらが宮廷などで演奏される「雅楽」として伝承されていきました。
中世になると、
- 琵琶を用いた琵琶楽(平家物語などが有名)
- 能楽の詞章(浄瑠璃などの音楽的要素のある演劇作品の文章)を音楽的に謡って表現した謡曲
などに発展していき、江戸時代になると、宮廷や舞台だけでなく、箏(琴)、尺八、三味線を使った合奏曲である、三曲などが民衆の間に広まっていきました。
邦楽の特徴の一つは、楽譜になります。
例えば西洋の楽譜は、音符の表記ですが、「尺八」の楽譜は、「ロツレチハ」というカタカナ表記で、しかも縦書きになります。
また、音階の数も、
- 西洋音楽はドレミファソラシド(CDEFGAH)の7つの音階
- 「尺八」の場合は、「ロツレチハ」の5つ音階
を用います。
使われる歌詞も、叙述的で、伝統的言葉遣いが多く用いられています。
最近では、ポピュラーミュージックとしての「邦楽」と区別する形で、伝統的・古典的な邦楽のことを、「純邦楽」と表記する所も多く、CDショップなどのコーナー分けでは、こちらの表記が多く使われています。
「jpop」とは?歴史や特徴、言葉の使い方など
「jpop」とは、日本で制作されたポピュラー音楽のことを言い、1980年代後半から90年代に確立した、日本独自のスタイルを持つポップスになります。
「Japanese Pop」を略した、和製英語で、1998年10月に開局したFMラジオ局「J-WAVE」が作ったものといわれています。
海外の音楽しか流さないことが売りだった「J-WAVE」が、洋楽と並列に聞ける邦楽として扱ったのが始まりになり、それまでの歌謡曲やニューミュージックなどに比べ、洋楽の影響を受けたメロディー、コード進行、リズムに影響を受けつつ、日本人向けのコードや印象的なサビなどが特徴になります。
当時は、
- 小沢健二
- ピチカートファイブ
- フリッパーズギター
などといった、いわゆる「渋谷系」と呼ばれる曲が中心でした。
現在では、
- King GnuやOfficial髭男dismなどのようなロック調のもの
- 初音ミクのようなボーカロイド
など、多岐なジャンルにわたっており、もともと感覚的な分類であったので、明確な定義やジャンル分けは特に無いと言えます。
「邦楽」と「jpop」の違いと使い分けは?
「邦楽」と「jpop」は、
- 「邦楽」:和楽器や日本の伝統的・古典的音楽を中心に据えた音楽
- 「jpop」:洋楽に影響を受けたポピュラーな音楽
という違いがあります。
ただし、厳密に言うと「邦楽」は、日本で作られた音楽全般を指すので、「jpop」は、邦楽の中の一ジャンルといえます。
和楽器や日本の伝統的・古典的音楽を中心に据えた音楽、といった意味で使われる「邦楽」は、現在では、「純邦楽」という言葉で表現されることが多くなってきています。
「邦ロック」「歌謡曲」「アニソン」とは同じもの?
「邦ロック」「歌謡曲」「アニソン」はどれも「jpop」と同じように、邦楽の中の一ジャンルになります。
「邦ロック」とは「邦楽ロック」の略で、最も簡単に言うと、日本産のロックになり、1960年代後半に「はっぴぃえんど」が、海外のロックサウンドに日本語の歌詞をのせて歌ったのが始まりといわれています。
「歌謡曲」とは、広い意味で日本の代表的なポピュラー音楽、大衆音楽全般のことを言います。
元々は、明治以降にアメリカやヨーロッパから入ってきた音楽のことを指していました。
昭和に入るまでは、日本の大衆歌曲は「流行歌」といわれていましたが、NHKラジオが「流行るか分からない歌を流行歌とするには適当ではない」としたことから、日本のポピュラー音楽全般で歌詞のある物も「歌謡曲」として扱われるようになりました。
「アニソン」とは「アニメソング」の略で、アニメソングの主題歌や挿入歌のことを言います。
昔は、「テレビマンガの歌」などと呼ばれ、童謡としての扱いがほとんどでした。
1970年頃になると、水木一郎、佐々木いさお、堀江美都子といった、いわゆるアニソン歌手といわれるような人も出てきました、
現在では、様々なアーティストが手掛けるようになり、曲調も、ロック調、ダンス調、ヒップホップ調など、多岐に渡るようになっています。
さいごに
以上、「邦楽」「jpop」の違いなどについて解説してきました。
どの音楽も、日本の音楽文化を豊かにしてきたものなので、それぞれに良さがあります。
この機会に、色々なジャンルの音楽を聴いてみてもいいかもしれませんね。