「よろこぶ」を漢字にする場合、一般的には、「喜ぶ」という字を使います。
しかし、ビジネスシーンでの挨拶分や年賀状などでは、「慶ぶ」という表現になります。
この他にも、「よろこぶ」と読む漢字は、いくつかありますが、どう使い分ければいいでしょうか?
なかなか難しいですよね。
そこで今回は、「よろこぶ」の漢字の、意味や使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
「よろこぶ」を漢字で書くと?どんな種類がある?一覧でチェック
「よろこぶ」の漢字には、
- 漢字も読み方も常用漢字表にある
- 「喜ぶ」
- 漢字は常用漢字で、読み方が常用外漢字の
- 「悦ぶ」「歓ぶ」「慶ぶ」「賀ぶ」「款ぶ」「喩ぶ」「説ぶ」
- 漢字も読みも常用漢字表にない
- 「欣ぶ」「熙ぶ」
などがあります。
「よろこぶ」という言葉を漢字で書くと、思ったよりたくさんの表現がありました。
常用漢字表にあるものから、常用外のものまで、多岐にわたる漢字が使用されていますね。
この多様性の背景には、日本語の豊かさと、言葉のニュアンスの違いが影響しています。
「喜ぶ」は常用漢字表にある基本的な表現です。
一方で、「悦ぶ」「歓ぶ」「慶ぶ」「賀ぶ」「款ぶ」「喩ぶ」「説ぶ」などは、漢字は常用漢字に含まれているものの、読み方が常用外となっています。
また「欣ぶ」「熙ぶ」のように、漢字も読みも常用漢字表に含まれていない表現も存在します。
日本語の豊かさと深さを感じると同時に、言葉の選び方一つで、伝えるメッセージが変わることに驚きました。
言葉の持つ力を再認識する良い機会ですね。
「よろこぶ」の漢字!使い分けは難しい?コツや覚え方を例文で解説!
「よろこぶ」を漢字表記する場合、ほぼ「喜ぶ」の表記で問題ありません。
「喜」という漢字は、人の感情の基礎になる、『喜怒哀楽』にも含まれているように、当たり前に感じる「嬉しい」という気持ちを表しています。
ですので、「喜ぶ」は、理由や内容は問わず、嬉しい出来事があった際に用いることが出来ます。
他の漢字を使う際は、特に決まりはありません。
その漢字の意味から、微妙なニュアンスを伝えるときに、あえて用いるようになります。
例えば「悦ぶ」の場合、「悦」という漢字は、心の中の不安、不信などが消えて喜ぶという意味を持つことから、自分自身の個人的なよろこびといったニュアンスになります。
「悦ぶ」の例文
- 「事が順調に運び悦ぶ」
- 「希望が叶い悦ぶ」
このような使い方になります。
また「歓ぶ」の場合は、「歓声」という言葉もあるように、「歓」という字が、大声をあげてよろこぶという意味を持つことから、楽しみよろこぶ、にぎやかによろこぶといったニュアンスになります。
「歓ぶ」の例文
- 「試合に勝って皆で歓んだ」
- 「宝くじが当たり、歓んで涙を流した」
このような使い方になります。
次に、「慶ぶ」の「慶」は「慶事」という言葉もあるように、人のよろこびを祝いに行くという意味を持ちます。
「慶ぶ」の例文
- 「同僚の結婚を慶んだ」
- 「新年の慶びを申し上げます」
このように、めでたいことを祝う、めでたい事柄に対しよろこびの気持ちを表すといったニュアンスで使われます。
「祝賀会」といった言葉にも使われている、「賀」を使った「賀ぶ」も「慶ぶ」と同じように、めでたいことを祝うといったニュアンスで使われます。
「よろこぶ」の漢字!ビジネスや公用文ではどれを使う?
公用文で使う場合は、慶事ごとであっても、「喜ぶ」を使います。
これは、「喜ぶ」以外の漢字が、常用漢字ではないためです。
ビジネスシーンや、上司・年長者に送るお祝い状で使われるのは、「慶ぶ」が使われます。
ほとんどの場合が、「お慶び申し上げます」といった、挨拶の定型文として使われるのが一般的になります。
ただし、最近ではオールマイティな意味を持ち、常用漢字でもある、「喜ぶ」を使うことも多くなっています。
迷ったときは、「喜ぶ」を使っても問題ありません。
「喜ぶ」「悦ぶ」「歓ぶ」「慶ぶ」「欣ぶ」を英語にすると?ニュアンスの違いは?
「喜ぶ」「悦ぶ」「歓ぶ」「慶ぶ」「欣ぶ」を英語にすると、どういった表現になるでしょうか?
ニュアンスの違いを理解しておけば、使い分けもしやすくなりますよ。
「喜ぶ」「悦ぶ」「歓ぶ」「慶ぶ」「欣ぶ」を英語にすると…
- 「喜ぶ」
- 嬉しい、楽しい、幸せなといったニュアンスになるので、
- →「happy」
- 「悦ぶ」
- 「自分自身のよろこび、満足して」といったニュアンスになるので、
- →「pleased」
- 「歓ぶ」
- 「歓喜する、大喜びする」というニュアンスになるので、
- →「exult」
- 「慶ぶ」
- 「祝う、祝辞」といったニュアンスになるので、
- →「congratulate」
- 「欣ぶ」
- 「喜ぶ」と同じようなニュアンスになるので、
- →「happy」
「よろこぶ」と読む漢字には、異なるニュアンスがあり、英語への翻訳も、若干異なります。
日本語の繊細な感情や状況を表現するためのもので、それぞれが持つニュアンスに基づいて、適切な英語に訳されます。
一つの「よろこぶ」という感情を表現するのに、こんなに多様な言葉が存在するのは、日本語の大きな魅力ですよね。
さいごに
以上、「よろこぶ」の漢字や使い分けについて解説してきました。
同じ「よろこぶ」でも、感情や状況で様々な表現がありましたね。
漢字の意味をよく理解して、その時々に合った表現、使い分けをしてください。