「もとより」という言葉、時おり耳にしますね。
「もとより」は、「もともと」という意味や、「もちろん」という意味で使われます。
でも実際にはどのような場面で使われるのでしょう。
また「もとより」を漢字で書くと、数種類あり、どの漢字を使えばいいのか、使い分けにも迷ってしまいます。
そこで今回は、「もとより」の漢字の意味や使い分けについて解説していきます。
「もとより」を漢字で書くと?どんな種類がある?一覧でチェック
「もとより」には、
- 初めから
- 以前から
- もともと
- 言うまでもなく
- もちろん
といった意味があります。
漢字では、
- 「物事の元、根本」「はじめ」という意味の漢字「元」を使った、「元より」
- 「もとから固まっている」という意味の漢字「固」を使った、「固より」
- 「もとからの」「普段の」という意味の漢字「素」を使った、「素より」
があります。
この他にも、「基より」「本より」「下より」はどれも「もとより」と読むことができます。
どの漢字表記でも、「もとより」の意味は同じになります。
一般的には、「元より」が使われます。
「もとより」の漢字とひらがな!使い分けは難しい?コツや覚え方を例文で解説!
- 「元より」
- 「固より」
- 「素より」
の読み方は、いずれも、常用漢字表にない読み方になるので、公用文などでは使われません。
ですので、一般的には、「もとより」のような、ひらがな表記を使用します。
あえて漢字を使う場合は、意味を強調するような時に用いられます。
例えば、
「もとより」の例文1
「このプロジェクトは、もとより成功するとは思っていませんでした」
という文章の場合、「このプロジェクトは、以前から成功するとは思っていませんでした」という意味になります。
これを、
- 「元より成功するとは思っていませんでした」とすると、「(以前から)根本的に成功するとは思っていませんでした」
- 「固より成功するとは思っていませんでした」とすると、「(以前から)あくまでも成功するとは思っていませんでした」
- 「素より成功するとは思っていませんでした」とすると、「(以前から)そもそも成功するとは思っていませんでした」
といったニュアンスになります。
「もとより」「そもそも」「もちろん」「言うまでもなく」の違いは?
「そもそも」の意味は、(接続詞として)最初、発端になります。
「もとより」も、初めから、「もともと」という意味があるので、ニュアンスとしては似たような言葉になります。
ただし、「そもそも」は、「そもそもの問題を作ったのはあなたなのだから、自分で解決してください」のように、今はこうだけど、もとをただせばこうであったという、物事の始めのこと(発端)を表す時に用います。
一方、「もとより」は、「私はもとより校長派であって、今も変わることはありません」のように、初めから変わりはないということを表す時に用います。
「もちろん」は、論じる必要のないほどはっきりしているさまという意味になり、「もとより」と同じく、結論が決まっている様子を表現する際に用います。
ただし、「もとより」が、「以前から」「初めから」といった、前から決まっているということを表すのに対し、「もちろん」は、今決めるまでもないほどわかりきっているといったことを表す時に用います。
「言うまでもなく」も「もとより」も、あれこれ言う必要のないほどわかりきったことという意味があり、どちらも同じように使えます。
例えば、
- 「この映画は、子どもだけでなく大人も楽しめるのはわかりきっていることです」
といった文章を言い換えると、
- 「この映画は、子どもは言うまでもなく、大人も楽しめます」
- 「この映画は、子どもはもとより、大人も楽しめます」
となり、どちらも同じ意味を表します。
ただし、「言うまでもなく」は、「あれこれ言う必要のないほどわかりきったこと」という、意味が一つしかありません。
一方、「もとより」には、
- 初めから
- 以前から
といった、複数の意味が含まれるという違いがあります。
さいごに
以上、「もとより」の漢字や使い分けについて解説してきました。
「もとより」には、
- 「以前から」「はじめから」
- 「言うまでもなく」
という二つの使い方が出来ます。
状況に合わせて上手に使い分けて下さいね。