「なぜ「油を売る」ことが仕事を怠けることにつながるの?」
「油を売る」という言葉は普段よく耳にする言葉です。
仕事を怠けたり、無駄な話で時間をつぶすという意味ですが、意味がつながりにくいですね。
ここでは「油を売る」の意味や由来などを分かりやすく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください。
「油を売る」の意味や語源は?間違い例と正しい例は?
「油を売る」には
- 仕事を怠ける、無駄話をして時間を過ごす
という意味があります。
分かりやすく言うと、「仕事をサボっている」ということになります。
でも、油を売って「仕事をしている」のに、なぜ「怠けている」という意味になるのでしょう?
もともとは、江戸時代に髪油を売る行商人が、お客さんと長時間雑談しながら油を売っていたことに由来します。
これは一見怠けているように見えますが、当時の油は量り売りで粘り気が強かったので、お客さんの器に移すまで長い時間がかかりました。
そのため油売りは、長い待ち時間を飽きさせないように、たくさん話をして時間をつないでいたのです。
その情景が怠けているように見えたことから、仕事中に無駄話などをして怠けていることを「油を売る」と言うようになったそうです。
「油を売る」の使い方としては、
- 「彼はいつもこの時間になると他の部署で油を売っている」
- 「こんな時間までどこで油を売っていたんだ」
などのように、「怠けていた」という場合に使います。
また、
- 「そこで油を売るひまがあるなら、こちらの作業を手伝ってください」
- 「今日は仕事が忙しすぎて油を売るひまもなかった」
などのように使う場合は、
- 怠けている時間
- 無駄話をしている時間
というニュアンスになります。
ただし、「油を売る」は「一時的に怠けていた」場合に使うので、
- 「今は、毎日が油を売るような生活になっている」
- 「彼のこれまでの人生は、油を売るような生き方でした」
などのように、長期間を表すような場合には使いません。
また、「油を売る」は基本的に周りから指摘されるときに使うので、
- 「ちょっと休憩室で油を売ってきます」
のように、自らの行動を表現するときには使いません。
「油を売る」の類語、言い回し、対義語は?英語では何ていう?
「油を売る」と似たような意味の言葉に「サボる」があります。
「油を売る」の分かりやすい表現としてもよく使われる「サボる」は、
- 怠ける、怠けて休む
という意味があります。
「サボる」の由来は、フランス語の「サボタージュ(sabotage)」になります。
本来は
- 労働者がわざと仕事に支障が出るような行動をして、企業の活動を妨害すること
を意味し、労働争議の戦術の一つになります。
ちなみに、「サボタージュ」の語源は、オランダ語で木靴を意味する「sabot」になります。
フランスの労働者が木靴「sabot」を使って、機械を破壊したことが由来とされています。
「油を売る」の対義語には「骨身を惜しまず」があります。
「骨身を惜しまず」は
- 苦労や面倒を嫌がらない
という意味になります。
- 「母親の介護のため骨身を惜しまずに尽くしました」
- 「他の人が休んでいるときに、骨身を惜しまず働いていた」
などのように使い、一身に働いたり、尽くしたりすることを表します。
同じような意味で、
- 「額に汗する」:一生懸命仕事をする
- 「汗水たらして働く」:一生懸命に働く
なども「油を売る」の対義語と言えます。
「汗」と「怠ける」は対照的なイメージなんですね。
「油を売る」の英訳の一つは、「怠ける」というニュアンスの
- 「loaf around」
があります。
「loaf around」は「ゴロゴロする」「ブラブラする」などの意味を持つ動詞になります。
何もしないで無駄に過ごしている=怠ける=油を売る
という表現になります。
他にも、「無駄話をする」というニュアンスの
- 「shoot the breeze」
があり、意味は
- 他愛もない話をする、あてもなくしゃべる
となります。
直訳すると「そよ風を撃つ」となり、無駄話をすることとは全く無関係になります。
一説には、昔カウボーイが暇つぶしに、そよ風に向かって銃を撃ったことに由来すると言われています。
「油を売る」と「道草を食う」の違いは?
「道草を食う」は
- 目的地へ行く途中で他の事に時間を費やす、途中で手間取る
という意味になります。
「無駄な時間を過ごす」という意味では「油を売る」と似た意味になります。
「道草を食う」の由来は、馬が道に生えている草を食べながら、ゆっくり進むので、なかなか目的地に着かない所から、
- 途中で時間がかかる、目的以外のことをする
と言うことを表します。
「油を売る」の場合は
- 無駄話をして一時的に怠ける
という意味でした。
なので、「油を売る」と「道草を食う」の違いは
- 「油を売る」:無駄話をして仕事などを怠ける、人目を盗んでサボる
といった場合に使う言葉。
- 「道草を食う」:目的地へ行くまでに他の事をして時間をかける
といった場合に使うという違いがあります。
さいごに
以上、「油を売る」について解説してきました。
「油を売る」仕事がなぜ怠けるという意味になったのか、わかっていただけたのではないでしょうか?
「どこで油を売っていたんだ」と言われないよう、勉強に仕事に取り組んでくださいね。