- 「時計の針が6時をさす」
- 「目薬をさす」
- 「焼き鳥を串にさす」
- 「花瓶に花をさす」
これらの「さす」は全て違う漢字で書きます。
このように、「さす」という言葉には多くの意味や漢字があります。
ややこしくて、覚えるのも難しいですよね。
そこで今回は、「さす」の漢字の使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
「さす」を漢字で書くと?どんな種類がある?
「さす」と読む漢字の中で、漢字も読み方も常用漢字表に載っているものは、
- 「刺す」
- 「指す」
- 「差す」
- 「挿す」
になります。
この他にも、
- 途中で辞める、し残す、中止する といった意味の「止す」
- 光が照りいる、光が当たる といった意味の「射す」
- 門や戸、錠錠などを閉ざし閉める といった意味の「鎖す」
- 液体などをそそぎ入れる といった意味の「注す」
- 液体を入れる、色を付ける といった意味の「点す」
などもありますが、一般的にはあまり使われません。
また、この中で、「射す」「鎖す」「注す」「点す」は、同じ意味を持つ、「差す」が使われることがほとんどになります。
「さす」の漢字!使い分けは難しい?コツや覚え方を例文で解説!
一般的によく使われる
- 「刺す」
- 「指す」
- 「挿す」
- 「差す」
の使い分けは、それぞれの漢字の意味を理解することで分かりやすくなりますよ。
「刺す」の使い方
「刺」には、突き刺すもの、とげ、針といった意味があります。
したがって「刺す」は、突き立てる、突き通す、突き通して縫うという意味合いになります。
ですので、
- 「指にとげを刺す」
- 「雑巾を刺す」
などのように、先の尖ったもので物体に突き入れるといったことを表す時に用います。
「指す」の使い方
「指」には、手足のゆび、さし示すといった意味があります。
したがって「指す」は、方向を示す、それと分かるようにする、ある方向へ進むという意味合いになります。
ですので、
- 「時計の針が六時を指している」
- 「鳥は南を指して飛んで行った」
などのように、示す、目指すといったことを表す時に用います。
また、駒を目指す方向に進めるといった意味で、「将棋の駒を動かす」ことを、「将棋を指す」と表現します。
「挿す」の使い方
「挿」には、はさむ、物の間にさし込むという意味があります。
したがって「挿す」は、細長いものを入れる、さし込む、はさむという意味合いになります。
ですので、
- 「コンセントを挿す」
- 「髪に櫛を挿す」
などのように用います。
「差す」の使い方
「差す」ですが、非常に多くの意味があります。
その中でもよく使われるのが
- 何かが表面に現れる
- 何かが生じる
- 何かをかざす
という意味です。
例えば、
- 「頬に赤みが差す」
- 「嫌気が差す」
といった場合は、「頬に赤みが現れる・生じる」といった意味になります。
また、「傘を差す」といった場合は、「傘をかざす」といった意味になります。
他にも、
- 悪い気持ちを起こすといった意味の「魔が差す」
- 細長い光がすき間から入るといった意味の「光が差す」
といった使い方もされます。
このように、「差す」には多くの意味があり、他の「さす」とも重なる意味も多いです。
「さす」を使うなら、ほとんどの場合、この「差す」を使っていれば問題ありませんよ。
「針(ピン)」「傘」「目薬」「棒」「鍵」「ストロー」「光」「USB」の場合はどの「さす」を使う?
「さす」の漢字。使い分けのコツがわかったところで、さっそく例題で練習してみましょう。
例題①:針(ピン)を「さす」
「針(ピン)をさす」の場合、「針(ピン)」という、先の尖ったものを突き立てるという意味になります。
したがって「針を刺す」が正解です。
例題②:傘を「さす」
「傘をさす」の場合は、「傘」を空や太陽に向かってかざすという意味になります。
したがって「傘を差す」が正解です。
例題③:目薬を「さす」
「目薬をさす」の場合、
- 「点眼」という言葉もあることから、「目薬を点す」
- 液体を注ぎ込むといった意味から、「目薬を注す」
という表現も出来ます。
ですが、どちらも常用漢字表にない表現になるので、現在では一般的には、「目薬を差す」が正解です。
例題④:棒を「さす」
「棒をさす」の場合、「棒」という、細長いものをさし込むという意味になります。
したがって「棒を挿す」が正解です。
例題⑤:鍵を「さす」
「鍵をさす」の場合も、「鍵」という、細長いものをさし込む、(鍵穴に)挿入するという意味になります。
したがって「鍵を挿す」が正解です。
例題⑥:ストローを「さす」
「ストローをさす」の場合は、細長い「ストロー」を挿入するイメージが強いので、「挿す」と思われるかもしれませんね。
でも実際には
- 先が鋭角に尖っているストローもある
- 穴をあけてストローを突き刺す
という行為になります。
したがって「ストローを刺す」が正解です。
例題⑦:光が「さす」
「光がさす」の場合は、
- 「光が差す」
- 「光が射す」
どちらも使えます。
ただし、「射す」の場合は、「西日が射す」のように、光が当たるというニュアンスで使われます。
一方、「差す」の場合は、
- 光が当たる
- 光が生じる
- 光が現れる
といった広範囲のニュアンスで使うことが出来ます。
例題⑧:USBを「さす」
「USBをさす」の場合は、「USBを挿入する」という意味で使われます。
したがって「USBを挿す」が正解です。
さいごに
以上、「さす」の漢字の使い分けについて解説してきました。
それぞれの「さす」の、主な意味ををまとめますね。
「さす」漢字の使い分けまとめ
- 「刺す」:先の尖ったもので突き入れる
- 「指す」:方向などを示す
- 「差す」:何かが表面に現れる・生じる・かざす
- 「挿す」:細長いものを入れる
- 「止す」:途中で辞める
- 「射す」:光が当たる
- 「鎖す」:門や戸に錠をする
- 「注す」:液体などをそそぎ入れる
- 「点す」:液体(目薬)を入れる
このようになります。
基本的には、「差す」を使っておくと間違いありません。
ただし、限定的な使い方をするものもあるので、意味をよく理解して使い分けて下さいね。