「お口を開けてくださ~い」
認知症利用者様の食事介助、すんなり口を開けてくれる利用者様ばかりではありません。
むしろ、開けてくれない利用者様って多いですよね。
そんな利用者様にどう対応したらいいか、私なりの対処法を伝授いたします。
開口しない利用者様の食事介助はこんな状況に
開口してくれない利用者様の食事介助は、以下のようになることが経験上多いです。
- 口を閉じているにもかかわらず、無理やり口を開けようとする
- 利用者様の興味のありそうな質問をして、答えている間に食事を口に運ぶ
これらはどちらも悪い例です。
どう悪いか、以下に簡単に説明します。
1.口を閉じているにもかかわらず、無理やり口を開けようとする
力を入れているにもかかわらず、無理やり口を開けようとするのは危険です。
利用者様も力を入れているわけです。
万が一にも口を開けても、利用者様に指をかまれる恐れもあります。
それ以前に、利用者様が口を怪我しかねません。
よって、絶対にむりやり口をあけようとしてはいけません。
2.利用者様の興味のありそうな質問をして、答えている間に食事を口に運ぶ
利用者様の興味があることを質問すると、利用者様は口を開けてくれることはあります。
一見よさそうな対応ですが、利用者様は食事には興味を示していないでしょう。
そんな時に食事を口の中に入れても、食事を吐き出されることがあります。
吐き出されるだけならまだよいですが、本人が自発的にのみ込もうとしないために、気管に食物が入る恐れがあります。
そんなことになると、誤嚥性肺炎という重大な病気になるリスクがあります。
よって、利用者様が食事以外に興味を示して口を開けても食事を口に運んではいけません。
食事介助時に開口しない利用者様への対処法は?
では、食事介助時に開口しない利用者様には、どのように対処すればよいでしょう?
私の考える対処法は以下の通りです。
- 食べものであることを認識していただけるような声掛けをする
- 利用者様の好きな食べ物を食べていただく
- 時間を空けてみる
それぞれについて、わかりやすく解説しますね。
1.食べものであることを認識していただけるような声掛けをする
まずは食べ物であることを説明してみましょう。
利用者様にとって、目の前の食べ物は必ずしも食べ物として見えているとは限りません。
目の前にあるものはそもそも何なのか、分かっていない可能性だってあります。
何かわからないもの、あなただって食べようと思わないですよね?
よって、まずは食事であることの説明をして認識していただけるような声かけをします。
2.利用者様の好きな食べ物を食べていただく
利用者様が好き好んで食べようとするものを食べていただくことも有効です。
なぜなら、単純に食べていただこうとしていたものが、嫌いだったということもあるからです。
嫌いなものは食べたくないけど、好きなものならば食べるということはよくあるのです。
認知症利用者様だって、食事と分かって食べないこともあるのです。
よって、好きな食べ物を優先して食べていただくという方法もあります。
3.時間を空けてみる
時には時間を空けてみるという方法もあります。
利用者様は今、おなかがすいていないからかもしれません。
おなかがすいていないのに食物は欲しくありませんよね。
他の物を食べた後でもうほしくない、という可能性もあります。
また、便秘気味で、お腹がしんどい時もあります。
どちらにしても、すぐに食べたくない可能性は高いです。
よって、少し時間を空けて様子を見るのも手だと思います。
食事介助時の声かけのコツは?
ここで、食事介助時の声かけのコツについてお話しします。
それは、今から食べていただくものについて、説明することです。
なぜなら、食べ物と分かっても何かわからない場合もあるからです。
特にミキサーにかけているものや、一口大にカットされている食べ物のように原型をとどめていない食事形態の時もあります。
今から食べていただくものについて、魚なのか肉なのか、それとも野菜なのかについて説明しましょう。
可能ならば料理名を教えて差し上げましょう。
また、「おいしいですよ」と言ってあげるのもよいでしょう。
利用者様も得体のしれないものは食べたくないものです。
食べ物の情報を利用者様に教えてあげるのがコツです。
まとめ
認知症とはいえ、利用者様が口を開けてくれないことには、何かしら理由があります。
認知症だから訳も分からず、という行為なんてまずありません。
利用者様の気持ちをくみ取ることは、介護士にとって持っておきたいスキルです。
間違っても、無理に食べさせるような事だけは控えましょう。
認知症の方も、嫌なことだけはずっと覚えているものなのです。
食事は本来楽しいものです。
利用者様にとってもあなたにとっても、食事介助の時間は楽しい時間にしてくださいね。