- 「有難う御座います」
- 「宜しくお願い致します」
これらの文章は、メールや議事録などでよく使う表現です。
漢字自体は間違っていませんが、違和感を感じるのではないでしょうか。
これらは、漢字の量に起因している部分があるのですが、なぜ漢字が多いと違和感を感じるのでしょうか。
そこで今回は、「有難う御座います」の漢字表記について解説していきます。
「有難う御座います」の漢字表記!ビジネスマナー的には正しい?気持ち悪い?
結論から言うと、ビジネスシーンで、「有難う御座います」と漢字で表記することは、ほとんどありません。
現在では、「ありがとうございます」と、ひらがなで書くのが一般的になります。
例えば、
- 先日は、お忙しい所、有難う御座いました
- 今後とも宜しく御願い致します
といった文章の場合、漢字自体は間違っていませんが、
- まじめ
- 堅苦しい
- 読みづらい
という印象を持つ人が多いと思います。
一方、
- 先日は、お忙しいところ、ありがとうございました
- 今後ともよろしくお願いいたします
のように、漢字を適度にひらがなに戻すことで、
- やさしい
- やわらかい
- 読みやすい
といった印象を与えることが出来ます。
ただし、これは、読みやすさや、字ずらの印象といった、感覚的なものでしかありません。
ですので、漢字で表記することが、決して間違いというわけではありません。
受け取る相手がどう思うか?がとても大事なんです。
「有難う御座います」とわざわざ漢字で表記するのはなぜ?
漢字で表記する理由としては、相手に印象付けをするということが挙げられます。
例えば、「挨拶状」や「御礼状」などでは、「有難う御座います」と、漢字で表記されることが多くあります。
これは、あらたまった書面の場合、くだけた印象よりも、
- 堅い
- まじめ
といった印象を持ってもらいたいので、漢字表記を用いています。
同じように、自分のルールとして、「公的な文章」「専門的な文章」などの時はかっちりした印象を与えたいという理由で、漢字表記にする場合もあります。
いずれにしても、漢字の持つ
- まじめ
- 難しい
といったイメージを利用することが、漢字表記を用いる理由と言えます。
「有難う御座います」漢字とひらがなの使い分けは?【ビジネスメールの場合】
- 有難う
- 有り難う
- ありがとう
- 御座います
- ございます
これらの漢字とひらがなの表記の組み合わせで、「ありがとうございます」にも、数パターンが考えられますね。
どの組み合わせがビジネスメールには合っているのでしょうか?
まず「ありがとうございます」のようなひらがなの文章は、柔らかく読みやすい印象を与えます。
逆に、「有難う御座います」のような漢字の多い文章は、固く読みづらい印象を与えます。
ビジネスメールの場合、読みやすく、内容が分かりやすい文章が求められるので、ひらがなが多い文章の方が正しいと思われがちです。
しかし、
- せんじつは、お忙しいところ、ありがとうございました
- こんごともよろしくお願いいたします
のようにひらがなが多すぎると、逆に、読みづらく稚拙な印象を与えてしまいます。
一般的に、読みやすい文章とは、漢字3割、ひらがな7割のものとされています。
ですので、先ほどの文章は、
- 先日は、お忙しいところ、有り難うございました
- 今後ともよろしくお願いいたします
とすると、より読みやすさが増します。
漢字とひらがなの割合は、文章全体に対してなので、
- 文章の長短
- 他の漢字の割合
によって、「有難う・有り難う・ありがとう・御座います・ございます」の組み合わせを変えて、作成するようにしてくださいね。
「有難う御座います」漢字の意味から考える「ありがとうございます」の由来は?
そもそも、「ありがとう」を「有難う」と書くのは、「有り難し(ありがたし)」という言葉が語源になります。
「有り難し」とは、「めったにない、めずらしい」という意味で、本来おこるはずがない、奇跡のようなことが起こった際に使った言葉なんです。
元々は、神様や仏様に対しての言葉だったものが、次第に人に対して使われるようになり、「相手に何かしてもらったときに、こんなことはめったにない」という感謝の気持ちを表す言葉になっていきました。
それが変化し、「有難う」という言葉になったと言われています。
つまり、「ありがとうございます」の「ありがとう」は、相手が何かしてくれることは当たり前でなく、「奇跡」のようなことという、「感謝の気持ち」が言葉の由来になっていると言えます。
さいごに
以上、「有難う御座います」の漢字表記について解説してきました。
他にも、
- 今日は → こんにちは
- 頂く → いただく
- 是非 → ぜひ
- 敢えて → あえて
などのように、間違いではありませんが、主にひらがなで表記される言葉は多くあります。
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状況によっては漢字表記にしたり、組み合わせたりした方が効果的な文章になる場合もありますので、上手く使い分けるようにしてくださいね。