入浴介助では、浴室の室温や、お湯の温度は何度くらいがちょうどいいでしょうか?
「お風呂が寒いからなんとかして!」
自分たちにとっては今の浴室の温度は暑いけど、高齢者の利用者様に「寒い」と言われた経験ありませんか?
高齢者さまに適した、お湯の温度や入浴時間はどのように設定すればいいのでしょう?
私も入浴介助に慣れるまでは、浴室は自分たちにとっては暑いのに、利用者様から温かくしてほしいという訴えに困惑していました。
実は入浴介助を受ける高齢者さまにとって、浴室の温度やお湯の温度には適温があるのです。
あなたもこれからお話しすることを聞いていただければ、どのくらいの温度設定にしたら良いか理解できます。
それによって、利用者様に満足いただけるような入浴介助を提供できるようになりますよ。
また、あなた自身も暑すぎると感じることは無くなるでしょう。
それでは、入浴介助の際の室温や湯温、そして入浴時間の目安についてお話ししていきますね。
入浴介助時の浴室の室温は何度にする?お湯の温度は?
入浴介助時の浴室の温度設定は、22〜24度にするとよいでしょう。
またお湯の温度は38~41℃が適正です。
介助者もこの位の温度ならば、そんなに暑く感じないでしょう。
まず、この適正な室温が利用者様にも配慮できている理由は以下の通りです。
- 利用者様は寒いから
- ヒートショックの恐れがあるから
それぞれについて説明しますね。
室温が22~24℃の理由1:利用者様は寒いから
利用者様は介助者と違って寒く感じるのです。
なぜなら、入浴するのに服を着ていないからです。
入浴介助する際に、介助者は服を着ています。
多少温度設定を低くしていても寒くはないでしょうし、介助の為に動くからむしろ暑く感じるでしょう。
でも、利用者様は入浴するために服を脱ぐ必要があります。
そんな状態で室温が低いと、寒く感じますよね。
室温が22~24℃の理由2:ヒートショックの恐れがあるから
浴室内でも脱衣前と脱衣後、浴槽の温度がそれぞれ変化しますよね。
あまり室温を低くしてしまうと、ヒートショックの恐れがあるのです。
脱衣所と浴槽の温度などに急激な変化があると、血圧が激しく上下してしまいます。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなります。
そのような症状がでるだけでも危険な上、浴槽内で起これば溺水の危険も招きます。
よって、ヒートショックの危険を避けるためにも、可能な限り室温は高めにしておくことが必要です。
次に、浴槽の湯温は38〜41度にするとよいでしょう。
その理由は以下の通りです。
- 38度位の温度だと、副交感神経が優位に立ちリラックスできるから
- 42度以上だと心臓に負担がかかるから
それぞれを詳しく解説します。
湯温が38~41℃の理由1:38℃位の温度だと副交感神経が優位に立ちリラックスできるから
38℃くらいの、ぬるめの温度だと、副交感神経が優位に働くからです。
副交感神経とは修復・休息・リラックス効果のある神経です。
ぬるいと入った気にならないと思うかもしれませんが、疲れを癒してくれるため、体にとっては良い温度なのです。
湯温が38~41℃の理由2:42℃以上だと心臓に負担がかかるから
42℃以上の温度にすると心臓に負担がかかるのです。
42℃以上の高温で入浴すると、皮膚の血管はまず収縮し、その後に拡張して心機能の高ぶりを招きます。
過剰に心臓が活動するために、一時的に血圧が激しく上昇し、高血圧や動脈硬化のある方ですと、症状を悪化させて危険です。
入浴時間の目安と根拠は?
入浴時間は10分以内にしましょう。
なぜなら、利用者様にとって入浴は刺激が強いことだからです。
入浴は筋肉のコリを取ったり、リラックス効果がある一方、末梢血管を拡張させたり、汗をかいて体力を奪われます。
また、入浴後に血圧や体温などバイタルサインが元に戻るのに2時間程度かかるとされます。
人によっては5時間かかるということもあります。
そのため、短時間で入浴するほうが安全で、良い効果を受けやすくなります。
「入浴介助の際の室温や湯温について」のさいごに
入浴は良い効果がたくさんあります。
でも、室温や湯温、時間を誤ると、事故にもつながりやすいのです。
せっかく気持ちよく入浴していただきたいのに、入浴介護中や退浴後に事故や体調の悪化を招くのは避けたいですよね。
適切な温度や時間設定を心がけ、利用者様にとっても介助者にとっても有意義な入浴介助にしてくださいね。