寝たきりの人を車椅子に移乗するのってすごい大変ですよね。
移乗しようにも、人の体って結構重いし、何か良い移乗の方法はないものかって思いませんか?
分かります、私も最初は移乗するときに、こんな大変な事がずっと続くのだろうかって思っていました。
でも、大丈夫です!
移乗の仕方にコツがあったり、移乗に便利なグッズって存在するのです。
これからお話しすることを実行し、更に便利アイテムを使っていただければ、あなたにとっての移乗介助が格段に楽になります。
それでは、移乗の基本的な手順から便利グッズ、注意点までお話ししていきますね。
寝たきりの方の移乗介助の方法は?基本手順を確認
寝たきりの人の移乗は基本となる手順があるのです。
その基本手順がこちら。
- 声かけ
- 仰臥位から側臥位に体位変換する
- 側臥位から端座位にする
- 車椅子を近くまで寄せる
- 車椅子に移乗する
それぞれ簡単に説明します。
声かけ
まずは今から車椅子に移ることを伝えましょう
仰臥位から側臥位に体位変換する
要介助者の手を胸の前に組み、足を曲げていただきます。
そのあと介助者の方に引いて体位変換します。
側臥位から端座位にする
両足をベッドより外に出します。
足を外に出すことにより、重さで体が起きやすくなります。
要介助者の足を降ろしながら、端座位にします。
車椅子を近くまで寄せる
安全の為、車椅子を近くに寄せます。
先に寄せておくと、端座位になっていただく際に体が当たって怪我をする恐れがあります。
よって、端座位にした後に車椅子をすぐ近くに移動しましょう。
車椅子に移乗する
要介助者に軽く前にかがんでもらいます。
そのあと、要介助者の腰から脇を支えて、車椅子に移乗します。
寝たきりの方の移乗介助に便利なグッズと使い方
移乗介助する際に便利なグッズ、それはスライディングボードです。
スライディングボードとは、板状の福祉用具で、ベッドから車椅子への移譲の際に使われます。
スライディングボードの使い方の手順は以下の通りです。
- 要介助者を端座位になっていただき、車椅子を近くに寄せておきます。
- ベッドの高さを車椅子よりも高めにします。
- 要介助者に軽く前屈していただき、スライディングボードをお尻の下に差し込みます。
- スライディングボードの端が車椅子の座面に乗っていることを確認すします。
- 車いす側に要介助者の体を傾け、スライディングボードの上を滑らせて車椅子の上に移動します。
- 要介助者に前かがみになっていただき、スライディングボードを引き抜き、移乗完了です。
寝たきりの方のリクライニングベッドから車椅子への移乗介助における注意点は?
寝たきりのリクライニングベッドから車椅子への移乗介助における注意点は以下の通りです。
- 要介助者の怪我に注意する
- ボディメカニクスを最大活用する
それぞれについて説明しますね。
要介助者の怪我に注意する
移乗介助の際に要介助者に怪我させやすいので注意しましょう。
なぜなら、要介助者は皮膚状態もあまり良くないことが多いからです。
移乗の際に、車椅子に体をぶつけて表皮剥離(ひょうひはくり)したとか、起立性低血圧の為にひざ折れして転落したということは結構おきます。
こういったことは、移乗介助に慣れていても、あり得るのです。
それどころか、力任せに移乗介助しようものなら、骨折させてしまう可能性もあります。
よって、要介助者の怪我には細心の注意を払いましょう。
ボディメカニクスを最大活用する
移乗介助は介助者が体を壊す一番の要因です。
ボディメカニクスを最大限活用し、自らの腰痛予防対策をしましょう。
移乗時におけるボディメカニクスの原則は以下の通りです。
- 支持基底面積をしっかりとる
- 重心を低く持つ
- 要介助者との重心を近く持つ
- 要介助者の体を小さくまとめる
- 体全体を使い、大きな筋肉を活用する
- 水平移動する
- 押すのではなく引く
- てこの原理を利用する
それぞれ簡単に説明します。
支持基底面積をしっかりとる
支持基底面積とは体を支える為の床面積のことです。
両足を左右に大きく開けることにより、体が安定し、腰への負担も少なくなります。
重心を低く持つ
重心を低くすることにより、骨盤が安定し、ぎっくり腰や腰痛の予防になります。
要介助者との重心を近く持つ
要介助者と体を密着することにより重心が近くなり、安定感が増します。
要介助者の体を小さくまとめる
小さくまとめることにより、摩擦が少なくなり、運びやすくなります。
体全体を使い、大きな筋肉を活用する
移乗は腕力だけぢきがちですが、背中や腰、脚の大きな筋肉を使うことにより各筋肉への負荷が軽減します。
水平移動する
移乗って持ち上げると思われがちです。
でも、水平に動かすことにより重力の影響を受けにくくなります。
ただし、全く浮かさなければ表皮剥離のリスクがあることは注意してください。
押すのではなく引く
押す動作は腰への負担も大きくなります。
なので、押すことよりも引くことを優先しましょう。
てこの原理を利用する
支点・力点・作用点を意識して移乗や体位変換をすることにより、小さな力で最大限の動きにつなげることができます。
さいごに
移乗介助って、移乗する側も移乗される側も、体を痛めるリスクが高い介助なのです。
力だけで介助しようとすると、介助者か要介助者、どちらかは怪我を伴うことでしょう。
介護は力で行うことではありません。
相互の思いやりと、介助者の技術で成り立つものです。
怪我のない様に無理せず行ってくださいね。