「枝豆と秘伝豆って、見た目が似ているけど同じもの?」
居酒屋に行くと、おつまみのメニューには必ずと言っていいほど枝豆がありますよね。
指でさやから豆を押し出して食べるのが楽しくて、ついつい手が伸びてしまう……なんてこともあります。
ところで、一口で枝豆と言ってもさまざまな種類があることをご存知ですか?
今回は枝豆とその仲間である秘伝豆や茶豆、さらにそら豆やずんだについてお話ししていきます。
「枝豆」とは?見た目の特徴など
まず最初に、一番基本となる「枝豆」についてご説明します。
「枝豆」はマメ科ダイズ属の植物の種子…
つまり大豆を、未成熟のうちに収穫した青果のことを指します。
完全に熟して硬くなった状態で収穫すると「大豆」、未成熟で青く柔らかいうちに収穫したものが「枝豆」と呼ばれるわけですね。
枝豆は鮮やかな緑色のさやの中に、同じく緑色の豆がいくつか入っています。
この一番ポピュラーな緑色のさやに緑色の豆が入ってる枝豆は、白毛豆(青豆)という種類のものです。
さやに入ったままの豆を枝付きの状態で茹でたことから、枝豆という呼び名が付いたとされています。
これが「枝豆」という名前の由来です。
ちなみに栄養学的には、大豆と枝豆は別物として扱われ、
- 大豆は豆類に分類される
- 枝豆は緑黄色野菜に分類される
という違いがあります。
枝豆に含まれる栄養素はタンパク質やビタミンB1・B2の他、アルコールを分解するアミノ酸が豊富に含まれています。
お酒のおつまみに塩茹でした枝豆というのは、理に適った組み合わせというわけですね。
また、同じ大豆という植物ではありますが、
- 枝豆として食べるのに向いている品種
- 成熟させて大豆として収穫するのに向いている品種
に分かれているため、例えば枝豆として食べるための品種を成熟させて大豆として収穫することは種子を得る場合以外はほぼ行われません。
「秘伝豆」とは?見た目の特徴など
「秘伝豆」とは青大豆の一種で、岩手県や山形県などの東北地方で主に栽培されています。
一般的な枝豆は熟すると黄色っぽい大豆になりますが、青大豆は熟しても青いままです。
先ほど枝豆の項目で枝豆として食べる品種と大豆として食べる品種がある、とお話ししました。
秘伝豆は枝豆状態でも大豆の状態でも甘味が強くて、美味しく食べられると言われています。
生産が盛んな東北地方では、乾燥大豆を水で戻してから好みの硬さに茹で、出汁などに浸して味を染み込ませて食べる「ひたし豆」としてよく食べられます。
「茶豆」とは?見た目の特徴など
「茶豆」とは、新潟県や宮城県、山形県などで多く栽培されている茶色い薄皮が特徴的な枝豆の仲間です。
さやは普通の枝豆(青豆)と同じく緑色ですが、中の豆が茶色がかった薄皮に覆われています。
また、さやにも茶色の産毛が生えていることがあります。
枝豆と比べると豆そのものの味が濃く、噛むと甘味が広がるため枝豆よりも美味しいと感じる人が多いようです。
味の違いは栄養の違いにも表れており、茶豆は枝豆よりもアミノ酸や糖分が豊富に含まれています。
「だだちゃ豆」とは?見た目の特徴など
「だだちゃ豆」とは、山形県の庄内地方特産の茶豆の一種です。
栽培する土地が合わないと風味が落ちてしまうことから、ごく限られた地域でのみ生産され、ブランド豆として扱われます。
少しシワの入ったさやに茶色の産毛が生えており、豆と豆の間が深くくぼんでくびれが出来るのが特徴です。
「だだちゃ」というのは「お父さん」「おやじ」という意味を持つ庄内地方の方言です。
かつて庄内藩を治めていた殿様がこの豆を食べた時、あまりの美味しさに「どこのだだちゃが作った豆だ」「あのだだちゃが作った豆が食べたい」と言ったことから、この名前が付いたとされています。
生の状態や塩茹でしたものはもちろん、茹でた豆を潰して餡子にしたずんだを使用した菓子などの加工品もあります。
「そら豆」とは?見た目の特徴など
「そら豆」とはマメ科ソラマメ属の植物で、大豆と並んで一般的にもよく知られる食用豆の一種です。
枝豆(大豆)と比べると豆の粒が大きく、さやの中は白い綿のような産毛に覆われているのが特徴です。
- 空に向かって実るから「空豆」と呼ばれるようになった説
- 蚕(かいこ)という虫が絹糸を取るための繭を作る時期に美味しくなるから、もしくはさやの形が蚕を連想させるから「蚕豆(そらまめ)」と呼ばれるようになった説
など、名前の由来は様々です。
枝豆と同じように
- 塩茹で
- 煮物やスープ
に使われます。
そのほかにも、中華料理などでお馴染みの豆板醤の材料などにも使われます。
亜鉛や鉄分を多く含んでおり、貧血の解消や肌荒れの予防など、女性には嬉しい効果を持つ食材の一つです。
また、枝豆と比べると100gあたりのカロリーが低く、豆一つ一つが大きいことで、食べた時の満足感も大きくなるため、ダイエットや食事制限の時には向いていると言えるでしょう。
「ずんだ豆」とは?見た目の特徴など
「ずんだ」とは、枝豆またはそら豆の実をすりつぶして作られる緑色のペーストのことです。
「ずんだ豆」という豆があるわけではないので注意してくださいね。
このずんだに砂糖と塩少々を合わせて作られたずんだ餡を餅にまぶしたずんだ餅が、南東北(特に宮城県仙台市)を中心とした地域の郷土菓子として知られています。
名前の由来は豆を潰すことを「豆打(ずだ)」と呼び、そこから転じて「ずんだ」という呼び名が付いたとされています。
また、ずんだの誕生には戦国武将の伊達政宗が深く関わっているとされ、ずんだが広く伝わっている地域は政宗と関係がある地域でもあります。
餡子として餅や団子に絡めて食べたりシェイクに混ぜたりする他、甘味を加えずに塩味のみで作り料理に使用することもあります。
ちなみに、ずんだと見た目がよく似たものにうぐいす餡がありますが、こちらはグリーンピースをすり潰したものなので混同しないようにしましょう。
「枝豆」「秘伝豆」「茶豆」「だだちゃ豆」「そら豆」「ずんだ」の違いは?
一通りご紹介が終わったところで、改めて「枝豆」「秘伝豆」「茶豆」「だだちゃ豆」「そら豆」「ずんだ」の違いについてまとめて比べてみましょう。
「枝豆」「秘伝豆」「茶豆」「だだちゃ豆」「そら豆」「ずんだ」の違いまとめ
- 枝豆→大豆が成熟して硬くなる前に収穫したもの。
緑色のさやの中に豆が数粒入っており、塩茹でにしたり潰してずんだの元として使用したりする。
タンパク質やビタミンB1・B2、アミノ酸が豊富に含まれている。 - 秘伝豆→成熟しても青いままの青大豆の品種の一つ。
枝豆として食べても大豆として食べても甘みが強く、タンパク質が一般的な枝豆よりも豊富。
地元では好みの硬さに茹でて出汁に浸す「ひたし豆」として食べられることが多い。 - 茶豆→枝豆の種類の一つで、豆が茶色がかった薄皮に覆われている。
一般的な枝豆よりもアミノ酸や糖分が多く含まれ、豆そのものの味が濃く感じられる。 - だだちゃ豆→茶豆の品種の一つで、シワの入ったさやに茶色の産毛が生えているのが特徴。
栽培できる地域が限られるため、ブランド豆として扱われる。 - そら豆→枝豆よりも豆一粒一粒が大きく、さやの中は白い綿のような産毛に覆われている。
亜鉛や鉄分を多く含み、カロリーも同量の枝豆と比べると低いので、ダイエットや食事制限時に向いている。 - ずんだ→枝豆やそら豆をすりつぶして作られる緑色のペースト。
餡子にして餅や団子に絡めたりシェイクにしたり、塩味のみで味付けして料理に使用したりと、使い道は様々。
さいごに
いかがでしたか?
ポピュラーな枝豆やそら豆以外はなかなか見かけることがないかと思いますが、機会があればぜひ食べ比べてみてくださいね。
今回でそれぞれの違いがわかれば、味の違いも楽しめるようになりますね。