「うなぎの中国産って、国産より安いけど大丈夫なの?」
土用の丑の日に食べることでお馴染みのうなぎ。
専門店などで食べると少々値が張りますが、スーパーなどであれば比較的手頃な値段で売られているものもありますよね。
ところで、その比較的手頃な値段で売られているうなぎって、大体中国産だったりしませんか?
国産のものと比べると随分安価で売られているので、なぜこんなに安いのか、何かあるのではないかと不安に思ったことはありませんか?
そのおかげで
- 「国産のうなぎは美味しいし安全だけど高い」
- 「中国産のうなぎは安いけど、まずいし何が入っているか分からなくて危険」
というイメージがあるかもしれません。
しかし実際のところ、国産のうなぎと中国産のうなぎにはどんな違いがあるのでしょうか?
今回は国産のうなぎと中国産のうなぎの違いについて、いくつかの観点に分けて比べていきます。
うなぎの中国産と国産の違いは?天然と養殖、種類や獲れる場所が違う?
まず前提として、現在市場に流通しているうなぎは、ほとんどが養殖物で、天然物はほぼ出回っていません。
これは中国産も国産も一緒で、
- 中国産は中国の養殖場で育てられたうなぎ
- 国産は日本国内の養殖場で育てられたうなぎ
のことを指します。
取れた場所ではなく、どこで一番長く育てられたかによって国産・中国産の定義が変わっています。
この定義を前提とした上で、中国産と国産のうなぎの種類の違いについてお話しします。
日本国内で養殖されるうなぎは、ニホンウナギと呼ばれる品種です。
日本から南2000kmほどの海で産卵された稚魚が、海流によって日本沿岸に辿り着いた所を捕獲して養殖を行います。
中国産のうなぎはヨーロッパウナギと呼ばれる品種です。
アメリカの東1500kmほどの海で生まれた稚魚を北大西洋沿岸の国の漁師が捕獲し、それを中国の養殖業者が購入して養殖を行います。
ちなみに台湾産のうなぎは国産のものと同じニホンウナギであるため、「中国産のうなぎは苦手だけど台湾産は食べられる」という人もいるようです。
ただ、この品種による違いは微々たるものであり、よほどの食通でなければ気にならないでしょう。
うなぎの中国産と国産の違いは?大きさや見た目が違う?
中国産と国産のうなぎでは、大きさにも違いがあります。
一般的に中国産のものは大きく、国産のものは小さい傾向があります。
スーパーで売られているような切り身の状態で見分けるのであれば、
- 中国産は身の幅が広く肉や皮が厚め
- 国産は身の幅が細く肉や皮が薄め
このような違いがあります。
これは品種の違いよりも養殖場の仕組みの違いが関係している部分が大きいです。
つまり中国産のうなぎは、土に掘られた広い穴のような池で無造作に育てられており、その上見栄えをよくするために大きく太らせて出荷する傾向があります。
それに対して国産のうなぎは、養殖用に整備されたハウスで、うなぎ用に適切に管理された環境の中で育てられるため、うなぎ本来の自然な大きさの状態になるというわけです。
うなぎの中国産と国産の違いは?味や栄養、食感が違う?ゴムみたいなのはどっち?
品種や大きさなどの違いがお分かりいただけたところで、肝心な味や食感の話をしましょう。
- 国産のうなぎは旨味が濃く、身や皮が薄めで固く引き締まっているのが特徴です。
- 中国産のうなぎは脂が多く、身や皮が厚く弾力が強いのが特徴です。
「あれ?うなぎって脂が多いイメージがあるけど?」と思いましたか?
そうなんです。
実は中国産のうなぎと知らずにお店で食べていたりするんですよね。
うなぎが苦手な人が気にする「ゴムみたいな弾力の食感」は、皮が厚い中国産に多い傾向にあります。
しかし、国産のうなぎなら全くないという訳でもないので一概には言えません。
うなぎ自体に含まれる栄養素に関しては、国産も中国産もほぼ変わりません。
そこは気にしなくても良いでしょう。
うなぎの中国産と国産の見分け方は?値段や見た目、ラベル、触感、安全性について
では、実際にスーパーなどで購入する際の見分け方はどうしたら良いのでしょうか。
先ほどお話しした通り、
- 国産うなぎは身の幅が細く肉や皮が薄め
- 中国産は身の幅が広く肉や皮が厚め
という見た目の違いがあるため、両方を手に取って比べることが出来れば分かりやすいです。
見た目の違いの他には、「ラベルに記載される産地」で見分けるという方法があります。
スーパーなどでは値段のラベルの部分に
- 「国産」
- 「中国産」
と産地が分かるように掲示されています。
さらに国産の場合は「静岡県産」「鹿児島県産」など、細かい産地が書かれていることが多いため、そこに注目すれば一目瞭然でしょう。
続いて、「値段で見分ける方法」です。
最初にお話しした通り、中国産のうなぎは国産のうなぎに比べて、安価で販売されていることがほとんどです。
これはうなぎの種類の違いに理由があります。
国産うなぎのニホンウナギの稚魚は、漁獲量が昔に比べて激減してしまったために値段が高騰している……というのが現状です。
それに対して中国産うなぎでよく使用されるヨーロッパウナギは、比較的安価で稚魚が手に入ります。
その上中国での養殖にかかるコストも低く抑えられるため相対的に安いうなぎとなるのです。
ところが、最近は日本国内でもヨーロッパウナギを輸入して養殖していることもあるため、値段が抑えられた国産うなぎが販売されていることもあります。
なので、見た目やラベルに記載されている産地で確かめるのが一番確実な方法と言えそうです。
見ただけではわからないからと言って、ラップの上から指で突いたり触ったりするのはマナー違反なので注意してくださいね。
最後に、安全性について。
2005年、中国産の養殖うなぎから合成抗菌剤が検出され問題となりました。
うなぎ以外の食品でも異物が検出され、スーパーなどから中国からの輸入食品が撤去されたりしたことで、中国産=危険という印象が強く残っているかもしれません。
しかし、その問題が起きた後、輸出する中国側も、輸入する日本側も、新たな検査を義務付けて基準を強化しています。
そのため以前よりも安心して中国産のうなぎを食べられるようになっているのは確実です。
とはいえ、養殖場の仕組みの違いなどを踏まえると国産の方が安心できる……というのも間違いではないでしょう。
まとめ
最後に、簡単に国産うなぎと中国産うなぎの違いをまとめて見てみましょう。
うなぎの中国産と国産の違いまとめ
- 国産はニホンウナギ、中国産はヨーロッパウナギという品種が多い。
- 国産は旨味が濃く、身や皮が薄めで固く引き締まっており、中国産は脂が多く、身や皮が厚く弾力が強い。
- 国産だとラベルに詳細な産地の都道府県や地名が書かれていることが多い。
- 中国産は国産と比べると比較的安価なものが多い。
- 検査基準が厳しくなったことで、昔に比べると中国産のうなぎも安心して食べられるようになってきている。
スーパーなどでうなぎを買う機会があれば気にしてみてくださいね。